「鍵を忘れた!」焦って壊した結果、思わぬ費用が発生することも
賃貸物件で意外と多いトラブルの一つが、**「鍵を忘れて部屋に入れない」**という鍵の閉め出しトラブルです。
仕事から帰宅したら鍵がない。
外出するときに鍵を持って出るのを忘れてしまった。
家族が先に出て、室内に鍵を置いたまま外に出てしまった。
このような状況になると、入居者様は一刻も早く部屋に入りたいと考えます。
そこで、管理会社や鍵業者へ連絡して開錠を依頼すれば大きな問題にならずに済むこともあります。
しかし、中には、
「何とか自分で開けよう」
「窓から入れないか」
「鍵を壊せば入れる」
と考え、無理に鍵やドアを操作してしまうケースがあります。
そして、鍵だけでなく錠前や玄関ドアまで破損。
結果として、
鍵の交換費用+修繕費用+業者の出張費用
など、当初想定していなかった費用が発生してしまうことがあります。
さらに、契約内容によっては違約金や所定の費用が発生するケースもあります。
「鍵を忘れて家に入れない!」そこからトラブルが始まった
ある管理物件で、夜間に入居者様から緊急の連絡が入りました。
「鍵を部屋の中に置いたまま外に出てしまい、部屋に入れません」
確認すると、玄関ドアは施錠されており、室内には鍵があるものの、入居者様は外に出た状態でした。
本来であれば、管理会社や鍵業者へ相談し、状況を確認したうえで開錠することが望ましいケースです。
ところが、入居者様は早く室内に入りたいという焦りから、自分で鍵を開けようとしました。
その結果、鍵だけでなくシリンダー部分まで破損させてしまいました。
最終的には専門業者による対応が必要となり、単純な「鍵の閉め出し」だったはずが、
・鍵業者の出張費・作業費
・シリンダー交換費用
・破損した部品の交換費用
・ドア周辺の修繕費用
などが発生することになりました。
入居者様としては「部屋に入れなかったから仕方なくやった」という認識かもしれません。
しかし、賃貸物件の場合、玄関ドアや錠前は建物側の設備です。
入居者様の不注意や無理な操作によって破損させたのであれば、修繕費用の負担が問題になる可能性があります。

「鍵を忘れただけ」でも、対応を間違えると被害が大きくなる
鍵の閉め出しトラブルで注意したいのは、最初のトラブルよりも、その後の対応によって被害が大きくなるケースがあることです。
① 無理に鍵を開けようとして錠前を壊してしまう
鍵がない場合、入居者様が自分で開けようとして、工具などを使って錠前を壊してしまうケースがあります。
鍵が開かないからといって、玄関ドアを強く押したり、シリンダーを無理に操作したりすれば、鍵だけでなく錠ケースやドア本体まで破損する可能性があります。
こうなると、単純な開錠作業では済まなくなります。
② 勝手に鍵業者を呼んで交換してしまう
もう一つ注意したいのが、入居者様が管理会社に連絡せず、自分で鍵業者を手配してしまうケースです。
緊急時にはやむを得ない場合もありますが、賃貸物件では、鍵の仕様や防犯設備などを管理会社・オーナー側で管理していることがあります。
既存の鍵と異なる製品へ勝手に交換してしまえば、退去時に原状回復が必要になったり、管理上の問題が発生したりする可能性があります。
特に、オートロックやマスターキーシステムなどが採用されている物件では、単純に市販のシリンダーへ交換すればよいとは限りません。

鍵トラブルでは「違約金」が発生することもある?
オーナー様からすると、ここが気になるところではないでしょうか。
「入居者が鍵を壊した場合、違約金を請求できるのか?」
結論としては、契約内容や実際の状況によって異なります。
鍵を忘れたという事実だけで、当然に違約金が発生するわけではありません。
一方で、賃貸借契約書や特約に、
・鍵の紛失時の交換費用
・無断で鍵を交換した場合の費用
・鍵や錠前を破損した場合の修繕費用
・契約違反に対する違約金
などについて具体的な定めがある場合には、その内容に基づいて対応できる可能性があります。
そのため、まず確認したいのが賃貸借契約書や特約の内容です。
国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」でも、鍵を紛失した場合の交換費用について借主負担とする事例が紹介されています。また、実際の裁判例として、鍵の紛失に伴う鍵交換費用や、貸主側が対応した出動費用について借主負担が認められたケースも掲載されています。
つまり、
「鍵を忘れたから違約金」
と一律に考えるのではなく、
「契約上どのような費用負担が定められているのか」
を確認することが重要です。
🔑「鍵交換費用」と「違約金」は分けて考える
ここはオーナー様にもぜひ知っておいていただきたいポイントです。
例えば、入居者様が鍵を紛失してしまい、防犯上の理由からシリンダー交換が必要になった場合。
この場合、
実際に発生した鍵交換費用
と、
契約上定められた違約金
は、基本的に別の問題として整理する必要があります。
さらに、入居者様が鍵を壊してしまったことで、錠前本体やドアまで修繕する必要が生じたのであれば、その修繕費用についても原因や契約内容に応じて検討することになります。
例えば、
「鍵を忘れたため、管理会社へ連絡せず自分で錠前を破壊した」
というケースと、
「鍵を紛失したため、管理会社へ連絡して指定業者に開錠してもらった」
というケースでは、発生する費用も、その原因も大きく異なります。
したがって、請求する際には、
何の費用なのか
なぜその費用が発生したのか
を明確にすることが大切です。
🔑 違約金が問題になりやすいケース
例えば、契約書に「入居者の故意・過失による鍵の破損や無断交換について、所定の違約金を支払う」といった具体的な特約がある場合です。
この場合、契約条項の内容や実際の行為を確認したうえで、違約金の請求を検討することになります。
特に、
①入居者が鍵を紛失した
②管理会社へ連絡せず勝手に鍵を交換した
③契約上指定された鍵と異なる製品を取り付けた
④さらに元の仕様へ戻すための費用が発生した
というように、単なる「鍵の閉め出し」から契約違反や原状回復の問題へ発展している場合には、契約内容を確認する必要があります。

鍵トラブルは「壊す前に連絡」が最大の予防策
鍵の閉め出しは、誰にでも起こり得る身近なトラブルです。
「鍵を忘れてしまった」
「鍵を部屋の中に置いて出てしまった」
「鍵を紛失した」
こうした状況自体は、必ずしも大きな問題ではありません。
問題なのは、焦って自分で鍵や錠前を壊してしまったり、管理会社へ相談せず勝手に交換してしまったりすることです。
その結果、
鍵の開錠費用だけで済むはずだったものが、
へと膨らんでしまう可能性があります。
さらに、契約内容によっては違約金が問題になるケースもあります。
オーナー様が意識しておきたい4つのポイント
① 鍵の紛失・閉め出し時の連絡先を明確にする
入居時に、鍵を紛失した場合や部屋に入れなくなった場合の連絡先を案内しておきましょう。
「困ったら管理会社へ連絡する」というルールを入居者様に理解してもらうことが、被害拡大の防止につながります。
② 契約書・特約の内容を確認する
鍵の紛失や破損、無断交換などについて、どのような費用負担が定められているのかを確認しておきましょう。
特に、鍵交換費用と違約金がどのように規定されているかは、あらかじめ整理しておくことが重要です。
③ 鍵の仕様を把握しておく
一般的なシリンダーだけでなく、オートロック、電子錠、特殊シリンダーなど、物件によって鍵の仕様は異なります。
入居者様が勝手に別製品へ交換してしまうと、建物全体の管理に影響する可能性もあります。
④ トラブル発生時は「原因」と「費用」を整理する
鍵をなくしたのか、鍵を壊したのか、管理会社に無断で交換したのか。
まず原因を整理し、その結果としてどのような費用が発生したのかを明確にしましょう。
おわりに
鍵は、入居者様が毎日使用する身近な設備だからこそ、トラブルも起こりやすい設備です。
しかし、
「鍵を忘れた」
という小さなトラブルが、
「錠前を壊した」
↓
「シリンダー交換が必要になった」
↓
「ドアの修繕まで必要になった」
という大きなトラブルへ発展する可能性があります。
また、契約書に特約がある場合には、鍵交換費用や修繕費用だけでなく、契約上の違約金が問題となるケースもあります。
だからこそ、オーナー様としては、鍵に関するルールや費用負担について契約書・特約を確認し、入居者様にも分かりやすく案内しておくことが大切です。
そして、入居者様から「鍵を忘れて部屋に入れない」という連絡が入った場合には、
「自分で壊して開けようとせず、まず管理会社へ連絡してください」
と案内できる体制を整えておくこと。
このひと手間が、鍵の破損や余計な修繕費用、さらには入居者様との費用負担をめぐるトラブルを防ぐことにつながります。
鍵トラブルは、壊してからではなく、壊す前の一本の電話が大切です。

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