ネットショッピングやフードデリバリーが日常的に利用されるようになり、玄関前などに荷物を届ける「置き配」が広く普及しています。
入居者にとっては、在宅していなくても荷物を受け取れる便利なサービスです。オーナー様にとっても、宅配ボックスの設置や再配達の削減など、入居者の利便性を高める方法として注目されています。
しかし、便利な一方で、置き配をきっかけとしたトラブルも発生しています。
「玄関前に置かれた荷物がなくなった」
「隣の部屋に荷物が届けられてしまった」
「共用廊下に荷物が何日も放置されている」
このような問題は、入居者同士のトラブルだけでなく、管理会社への苦情や建物の安全管理にも関係します。
今回は、置き配をめぐるトラブル事例と、賃貸オーナー様が知っておきたい対策についてご紹介します。
玄関前に置かれた荷物が消えた!便利なサービスが思わぬトラブルに
ある賃貸マンションでのことです。
仕事で帰宅が遅くなることが多い入居者が、ネット通販で購入した日用品の受け取りに置き配を利用していました。
ある日、配送完了の通知が届いたため帰宅してみると、玄関前に置かれているはずの荷物が見当たりません。
配送業者の通知には配達済みと表示されていましたが、周辺を探しても荷物は見つかりませんでした。
入居者は「誰かに持ち去られたのではないか」と考え、管理会社へ連絡しました。
管理会社が状況を確認したものの、共用廊下には防犯カメラがなく、荷物がなくなった経緯をすぐに特定することはできませんでした。
入居者からは「防犯カメラを設置してほしい」「安心して荷物を受け取れるようにしてほしい」と要望が寄せられ、オーナー様も対応を検討することになりました。
一方、別の物件では、配達員が部屋番号を間違え、隣の住戸の玄関前に荷物を置いてしまうケースもありました。
荷物を受け取った入居者が誤配に気づいて管理会社へ連絡したため大きな問題にはなりませんでしたが、もし気づかずに開封してしまったり、荷物を処分してしまったりすれば、さらにトラブルが複雑になる可能性があります。
また、共用廊下に置かれた荷物が数日間放置され、ほかの入居者から「通行の邪魔になる」「防災上、問題はないのか」と苦情が寄せられることも考えられます。
置き配は便利なサービスですが、利用方法や建物の環境によっては、盗難・誤配・共用部の管理といった問題につながることがあるのです。

オーナー様が知っておきたい置き配トラブル3選
① 荷物の盗難・持ち去り
置き配で特に心配されるのが、配達された荷物の盗難や持ち去りです。
オートロック付きのマンションであっても、ほかの入居者と一緒に入館する、入居者の後ろについて建物内へ入るなど、第三者が共用部に立ち入る可能性はあります。
また、道路から玄関前が見える建物や、外部の人が出入りしやすい物件では、荷物が第三者の目に触れやすくなります。
荷物がなくなった場合、入居者は配送業者や販売店への問い合わせを行うことになりますが、管理会社にも「防犯対策をしてほしい」という相談が寄せられることがあります。
オーナー様が注意したいポイント
- 物件のエントランスや共用部の防犯性を確認する
- 宅配ボックスの設置や利用環境の改善を検討する
- 防犯カメラを設置する場合は、設置場所や撮影範囲、個人情報への配慮も検討する
- 盗難の相談があった際は、配送状況などを確認し、必要に応じて警察や配送業者への相談を案内する
② 部屋番号の間違いによる誤配
置き配では、配達員が指定された場所へ荷物を置くため、部屋番号の見間違いや入力ミスなどによって、別の住戸へ誤配される可能性があります。
例えば、似た部屋番号が並んでいる建物や、玄関扉に部屋番号の表示がない物件では、誤配のリスクが高まることがあります。
誤配された荷物を別の入居者が受け取った場合、善意で管理会社へ届けてくれることもありますが、受け取った人が不在だったり、誤配に気づかなかったりすると、荷物の所在確認に時間がかかってしまいます。
また、荷物の中身が知られてしまうことへの不安から、入居者同士の関係が悪化するケースも考えられます。
オーナー様が注意したいポイント
- 各住戸の部屋番号表示が分かりやすいか確認する
- 入居者から相談があった場合は、配送業者や販売店への問い合わせを案内する
- 誤配された荷物を見つけても、宛名や中身を必要以上に確認したり、勝手に開封したりしないよう案内する
- 荷物の受け渡しや保管を管理会社が行う場合は、対応方法をあらかじめ決めておく
③ 共用廊下やエントランスへの荷物放置
置き配の荷物が共用廊下やエントランスなどに長時間置かれ、問題になるケースもあります。
玄関前に荷物を置くことが認められている場合でも、建物の管理規約や消防上の制約などによっては、置き場所に注意が必要です。
特に、共用廊下や階段などの避難経路に荷物が置かれていると、災害時の避難や消防活動の妨げになるおそれがあります。
また、大きな荷物や複数の荷物が通路を塞いでしまうと、ほかの入居者が通行しにくくなり、苦情につながることもあります。
オーナー様が注意したいポイント
- 共用廊下や階段などに荷物が放置されていないか確認する
- 管理規約や消防上のルールに照らして、置き配の場所や方法を確認する
- 荷物が通行や避難の妨げになっている場合は、速やかに状況を確認する
- 入居者に対し、荷物を長時間放置しないよう案内する

置き配トラブルは、オーナー様の責任になるのか?
置き配トラブルが発生すると、オーナー様や管理会社はどこまで対応する必要があるのでしょうか。
まず押さえておきたいのは、置き配で荷物がなくなったからといって、直ちにオーナー様が荷物の代金を負担することになるわけではないという点です。
荷物の盗難や誤配については、配送時の状況、置き配の指定内容、販売店や配送業者の利用条件、実際の経緯などによって対応が異なります。
荷物の紛失が疑われる場合は、まず配送業者や販売店へ問い合わせ、必要に応じて警察へ相談することが基本となります。
一方、オーナー様には、建物や共用部分を適切に管理するという観点から、設備や管理体制に問題がないか確認することが求められます。
例えば、荷物が避難経路を塞いでいる場合や、共用部の防犯上の問題が繰り返し指摘されている場合には、状況に応じて改善を検討する必要があります。
ただし、オーナー様があらゆる盗難を防止する義務を負うわけではなく、個々のケースで管理上の問題があったかどうかなどを踏まえて判断することになります。
また、宅配ボックスを設置している物件であっても、荷物の紛失や誤配が完全になくなるわけではありません。設備の設置だけでなく、利用ルールや管理方法も重要です。

オーナー様が実践したい!置き配トラブルを防ぐ5つの対策
置き配によるトラブルを完全になくすことは難しいものの、事前の対策によってリスクを軽減することは可能です。
オーナー様には、次の5つのポイントを意識していただきたいと思います。
① 宅配ボックスの設置を検討する
宅配ボックスは、玄関前に荷物を置く機会を減らす方法の一つです。
物件の規模や入居者数、設置スペース、費用などを考慮しながら、導入を検討してみましょう。設置後も、故障や長期占有がないか確認することが大切です。
② 置き配に関するルールを明確にする
建物の管理規約や消防上のルールなどを確認し、共用廊下や階段などに荷物を置くことの可否を整理しましょう。
入居者向けの案内文などでルールを周知しておけば、認識の違いによるトラブルを防ぎやすくなります。
③ 防犯対策を見直す
エントランスの施錠状況や共用部の照明、防犯カメラの有無などを確認しましょう。
防犯カメラを設置する場合は、撮影範囲や録画データの取り扱いなどにも配慮し、適切な運用ルールを設けることが重要です。
④ 入居者からの相談に迅速に対応する
荷物の紛失や誤配などの相談があった場合は、配送状況や発生時の状況を確認し、必要な問い合わせ先を案内しましょう。
管理会社で対応できることと、配送業者や販売店などへの問い合わせが必要なことを整理し、入居者が次に何をすればよいか分かるように説明することが大切です。
⑤ 共用部の巡回・点検を行う
エントランスや廊下などに荷物が放置されていないか、定期的に確認しましょう。
特に、通行や避難の妨げとなっている場合は、放置せず、状況に応じて速やかに対応することが重要です。

まとめ:便利なサービスだからこそ、建物全体のルールづくりが大切
置き配は、入居者にとって便利で、今後も利用される機会が多いサービスです。
しかし、盗難や誤配、共用部への荷物放置など、利用方法や建物の環境によっては思わぬトラブルにつながることがあります。
オーナー様にとって大切なのは、置き配を一律に禁止するかどうかだけではなく、建物の構造や防犯性、共用部の安全性、入居者の利便性を踏まえた管理方法を検討することです。
宅配ボックスの設置、ルールの周知、防犯対策、定期的な巡回など、できることから取り組んでいきましょう。

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