「新築だから、しばらくは修繕の心配もないだろう」――そう考えているオーナー様も多いのではないでしょうか。
確かに、新築物件は設備や建物が新しく、入居者にも魅力的に映ります。しかし、新築だからといってトラブルが起こらないわけではありません。むしろ、入居が始まって初めて発覚する不具合や、建物の使用が始まってから気づく問題もあります。
入居者にとっては、待ちに待った新生活のスタートです。そのタイミングで設備が使えなかったり、室内に不具合が見つかったりすれば、物件への期待が大きい分、不満も大きくなりかねません。
今回は、新築賃貸物件で実際に注意しておきたいトラブルの例と、オーナー様が事前に取り組んでおきたい対策をご紹介します。
新築だから安心していたのに……入居直後にトラブル発生!
新築マンションのオーナー様が、完成した物件の入居募集を開始。無事に複数の入居者が決まり、いよいよ新生活がスタートしました。
ところが、入居開始から間もなく、管理会社に次々と問い合わせが入ります。
「エアコンをつけても冷たい風が出ない」
「浴室のお湯が安定しない」
「キッチンの収納扉がきちんと閉まらない」
「雨が降ったあと、窓の周辺が濡れている」
いずれも、入居者が日常生活を始めて初めて気づいた不具合でした。
新築物件では、竣工時に検査が行われていても、すべての設備を実際の生活環境で長時間使用するわけではありません。そのため、引渡し時の確認では見つからなかった問題が、入居後に表面化することがあります。
また、建物や設備の施工に問題があるケースだけでなく、リモコンの設定、給排水設備の使用方法、部品の調整など、比較的軽微な原因によるものも考えられます。
しかし、入居者からすれば「新築なのに、なぜ使えないのか」という気持ちになるのも無理はありません。
こうした初期トラブルへの対応が遅れると、入居者の不満が募り、管理会社への問い合わせが増えるだけでなく、物件やオーナー様に対する印象にも影響してしまいます。

新築物件で注意したい4つのトラブル
① エアコン・給湯器などの設備不具合
新築物件であっても、エアコンや給湯器、換気設備、インターホンなどに不具合が生じる可能性があります。
設備本体の初期不良だけでなく、配線や配管の接続、設定、施工上の問題など、原因はさまざまです。
特に、エアコンや給湯器が使えない場合、入居者の生活に直接影響します。季節によっては、健康面や生活上の負担にもつながるため、迅速な状況確認が必要です。
② 水漏れ・排水不良などの給排水トラブル
キッチンや洗面台、浴室、洗濯機置き場などの給排水設備も、入居後に不具合が見つかることがあります。
例えば、排水管の接続部からの漏水、排水の流れが悪い、蛇口の接続部から水がにじむといったケースです。
水漏れは、発生場所や状況によっては階下の住戸や共用部分にまで被害が広がるおそれがあります。新築物件であっても、少量の漏水だからといって放置するのは危険です。
③ 建具の不具合・内装の仕上がりへの指摘
「ドアが床に擦れる」「収納扉の開閉がスムーズではない」「クロスに浮きや隙間がある」など、建具や内装に関する指摘も考えられます。
一つひとつは小さな不具合でも、入居者にとっては毎日目にする部分です。新築物件に対する期待が高いからこそ、わずかな傷や仕上がりの違和感が気になる場合もあります。
また、建物や建具の状態は、温度や湿度の変化などによって変わることもあります。見つかった不具合が施工上の問題なのか、調整で改善するものなのかを確認することが大切です。
④ 雨漏り・外壁・共用部分の不具合
室内だけでなく、建物全体にも目を向ける必要があります。
例えば、雨が降ったあとに窓周辺や天井に水染みが見つかる、共用廊下に水がたまる、外壁やシーリング部分に気になる箇所がある、といったケースです。
こうした問題は、入居前の短時間の確認だけでは見つけにくいことがあります。発見が遅れると、内装や家財への被害、入居者からの苦情につながる可能性があります。

新築物件の不具合は、誰が費用を負担するのか?
新築物件で不具合が発生した際、オーナー様が気になるのは「修理費用は誰が負担するのか」という点ではないでしょうか。
施工上の問題や設備の初期不良であれば、施工会社や設備メーカーの保証などによって対応できる可能性があります。ただし、新築だからといって、すべての修理が無償になるわけではありません。
保証の対象となるかどうかは、不具合の原因、保証内容、保証期間、契約条件などによって異なります。
そのため、不具合が発生した際には、まず原因を確認し、施工会社やメーカーに保証の適用範囲を問い合わせることが重要です。
また、住宅の品質確保の促進等に関する法律では、新築住宅のうち対象となる部分について、売主等に引き渡しから10年間の責任が定められています。主に構造耐力上主要な部分や雨水の浸入を防止する部分が対象となりますが、エアコンや給湯器など、すべての設備が一律に10年間保証されるという意味ではありません。
さらに、入居者から不具合の連絡があった際、オーナー様側で原因を確認せずに修理を手配すると、本来利用できた保証や施工会社による対応について、確認が難しくなることもあります。
緊急の漏水などは被害拡大を防ぐ対応を優先しつつ、施工会社や管理会社と連携して、状況や修理内容を記録しておきましょう。

新築物件だからこそ、入居後の管理体制が重要!
新築物件は、築年数の経過した物件と比べて設備や内装が新しく、入居者募集においても大きな魅力となります。
しかし、その魅力を長く維持するためには、完成時の検査だけでなく、入居開始後の対応も欠かせません。
オーナー様が意識しておきたいポイントを、最後に整理します。
オーナー様が意識しておきたい5つのポイント
① 入居前の確認を徹底する
設備の動作確認、通水・排水確認、建具や内装のチェックなどを行い、気になる箇所は写真で記録しておきましょう。
② 保証書・取扱説明書を整理する
設備ごとの保証期間、保証内容、連絡先をまとめておくと、不具合が発生した際にスムーズに対応できます。
③ 施工会社との連絡体制を整える
引渡し後に不具合が見つかった場合の窓口や対応方法を、事前に確認しておきましょう。
④ 入居者からの連絡には迅速に対応する
不具合の原因がすぐに判明しなくても、まずは状況を確認し、今後の対応について入居者へ説明することが大切です。連絡がないまま放置されると、不満が大きくなりやすくなります。
⑤ 不具合の内容と対応履歴を残す
発生日、発生場所、写真、修理内容、施工会社とのやり取りなどを記録しておくことで、再発時の確認や保証対応にも役立ちます。
新築物件の管理は、建物が完成したら終わりではありません。入居者が安心して暮らせる状態を維持し、問題が起きた際に適切に対応することが、長期的な入居満足度と物件の資産価値を守ることにつながります。

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