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賃貸経営と民泊どっちが儲かる?
違い・許可・又貸し違法について徹底解説

そもそも「民泊」って何?
その定義と普及のきっかけ

インバウンド(=外国人旅行客)の急増によるホテル不足を補うために、
民間住宅の空き家や空室の民泊への転用が積極的に行われたのが、民泊急増の契機です。

民泊普及は、コロナ前のインバウンド急増への対応

インバウンドは2013年には年間約1千万人でしたが、政府の誘致施策などにより、コロナ禍直前の2019年には、年間3千万人を超えるまで急増しました。

そんな中、「国際的な宿泊予約サイトの普及により、民泊へのアクセスが容易になった」「観光振興を目的とした国家戦略特区の認定を受けた地域では、民泊に旅館業法を適用しないことが認められた」「自治体が空き家活用のために民泊運用を弾力化し、イベント開催時の「イベント民泊」や「ボランティア民泊」などを特例承認した」といったことが、民泊普及をより加速させました。

民泊の急増による法整備

民泊が増加するにつれて、「宿泊客と住民間のトラブル」「行政の許可を受けない「モグリ」の民泊」といった問題も増えました。

民泊の増加による問題を受けて、2018年6月に民泊新法(住宅宿泊事業法)が施行され、民泊の法的位置づけと要件が定められました。また、自治体が条例に基づいて民泊営業に規制をかけることも可能になり、近隣トラブル防止のための規制が確立されました。民泊の要件と法的位置づけが明確化されたことにより、インバウンドの宿泊ニーズに対応するため、空き家や空室の民泊への転用が増加しました。コロナ禍直前の2020年3月末の届出件数は約13万件となっており、2018年の民泊新法施行時より約10万件増加しています。インバウンド需要と法整備を受けて、民泊営業は不動産投資の方法の一つとして注目されるようになりました。

民泊は本当に、賃貸物件の空室対策として有効?

賃貸経営オーナー様の中でも、空室対策として、一度は「民泊」経営を考えたことがある人は多いでしょう。
訪日外国人観光客(インバウンド)の需要を狙った「民泊」経営は、利回りの良い新しい不動産投資として数年前から大流行。
空室対策にとどまらず、賃貸経営から民泊経営に舵を切ったオーナー様も多くいらっしゃいました。

民泊の落とし穴

民泊の急速な広がりとともに、宿泊客のマナーや地元住民とのトラブルなど、深刻な問題も増加。2017年には民泊新法が整備され、今では民泊経営には様々な要件クリアや許可取得が必要になっています。さらに新型コロナウィルスの世界的流行で、観光業界は大打撃。インバウンドの激減とともに、民泊業から手を引く業者やオーナー様も増えました。

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事業・許可・管理まで、賃貸経営と民泊3つの違い

賃貸経営オーナー様の中でも、空室対策として、一度は「民泊」経営を考えたことがある人は多いでしょう。
訪日外国人観光客(インバウンド)の需要を狙った「民泊」経営は、利回りの良い新しい不動産投資として数年前から大流行。
空室対策にとどまらず、賃貸経営から民泊経営に舵を切ったオーナー様も多くいらっしゃいました。

  • 01

    賃貸経営は不動産賃貸業、民泊は旅館業

    賃貸経営と民泊は、そもそも事業形態が違います。
    賃貸経営は「不動産賃貸業」、民泊は「旅館業」に分類されます。

    民泊はさらに、旅館業の中でも「住宅宿泊事業」と呼ばれます。不動産賃貸業にあたる賃貸経営は、1ヶ月以上の中長期間、住宅を「居住者」に貸して賃料を受け取ります。旅館業にあたる民泊は、原則として1ヶ月未満の短期間、住宅を「宿泊者」に提供して宿泊料を受け取ります。

  • 02

    民泊には許可がいる許可の違い

    賃貸経営=「不動産賃貸業」を営むにあたっては、特別な資格や行政許可を取得する必要はありません。

    民泊=「旅館業(住宅宿泊事業)」を営むには、「旅館業法」「住宅宿泊事業法(=民泊新法)」「建築基準法」「消防法」によって定められた、様々な要件をクリアする必要があります。また消防法では、不動産賃貸業の物件は「一般住宅」扱いですが、民泊物件は旅館・ホテル・宿泊所などと同じ「防火対象物」扱い。

    「防火対象物」となる民泊物件は、スプリンクラーの設置数など、「一般住宅」より厳しい消防基準が適用されます。建築基準法でも民泊物件は「特殊建築物」扱いとなり、住宅などの「一般建築物」に比べて、避難経路の確保などに厳しい建築基準が適用されます。近隣からの理解・消防設備・建築基準などのハードルをクリアし、保健所から旅館業の営業許可が出て初めて、民泊業を営むことができます。

  • 03

    賃貸には賃貸管理、民泊には住宅宿泊管理代行

    居住目的の賃貸物件と違い、不特定多数が短期間に出入りする民泊は、衛生管理にも厳しい基準が設けられています。例えば不動産賃貸業に求められる管理内容には、「退去者が出たあとの原状回復」「経年劣化等による建物修繕や設備交換」などがあります。

    賃貸経営オーナーは、居住者が賃貸物件に住む上で必要な物件や設備管理を行います。一方、民泊オーナーには公衆衛生上の施設の維持管理責任があり、「宿泊者がチェックアウトしたあとのハウスクリーニング」「リネン交換」「消耗品やアメニティ類の補充」「家具家電のメンテナンス」などが必要になります。

    民泊は賃貸経営に比べて、ハウスクリーニングの回数が頻回で、リネン・消耗品・アメニティ・家具家電類の補充やメンテナンスも必要なのが特徴です。客付から原状回復・入居者からのクレーム対応まで、賃貸経営に必要な管理業務を代行する賃貸管理会社があるように、民泊業界には民泊管理会社があります。

    民泊管理会社は民泊オーナーから委託を受け、Air bnbなどの民泊サイトを活用して客付をし、宿泊者のチェックイン対応からクレーム対応、ハウスクリーニング業者などの手配まで、民泊に必要な管理業務を代行します。民泊管理会社は、「住宅宿泊管理業者」として国土交通大臣に登録が必要です。

賃貸経営と民泊どっちが儲かる?

賃貸経営と民泊、どっちが儲かるか?というのは一概に断言できません。
しかし一般的に、賃貸より民泊の方が利回りは2倍以上高いと言われています。

賃貸より民泊の方が利回りは2倍以上高い

稼働率が高ければ、回転の速い民泊の方が大きな利益が出る可能性が高いと言えます。しかし「稼働率が高ければ」というのが非常にネック。

民泊の稼働率を高くする条件としては、やはり立地が非常に重要です。賃貸経営でも、もちろん駅近・周辺施設が便利などの立地条件は重要ですが。民泊の場合、「観光客のニーズがある立地」かどうかがネックになります。周辺に観光地やビジネス出張などが見込める施設があり、周辺の宿泊施設より安価で民泊を提供できれば、稼働率は上がる可能性があります。

民泊業を始めるには相当な初期投資が必要

「消防設備など民泊用物件へのリフォーム」「近隣住民への説明会開催」など、民泊業を始めるには相当な初期投資が必要です。また賃貸住宅として経営する物件のうち、いくつかの空室を民泊に転用する場合は、居住者への説明も必要です。

民泊として利用している部屋がある物件は、居住用の賃貸物件としては人気が大幅に下がるリスクもあります。賃貸物件を民泊に転用する場合は、初期投資を回収できるだけの宿泊ニーズを慎重に見極める必要があります。

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民泊には営業日数の上限がある

2018年に施行された民泊新法では、民泊の法的位置づけを明確にすると共に、以下の規制が設けられました。
規制は、ホテルや旅館など既存の宿泊業界の保護と、民泊増加による地域トラブルが頻発する懸念に備えるために設けられました。
そのため立地が良く人気のある場所で民泊を経営していても、収益には一定の制限があるといえます。

民泊の営業日数制限と罰則

  • 1.民泊の営業日数は年間180日を上限とする。
  • 2.自治体は条例によって、180日よりも短い期間に営業日数を制限することができる。
  • 3.180日を超えて営業する場合は、旅館業法の許可が必要となる。
  • 4.180日を超えて無許可で営業を続けた場合、旅館業法違反となり、6ヶ月以下の懲役または100万円以下の罰金が科される可能性がある。
  • 5.営業日数の計算期間は、毎年4月1日正午から翌年4月1日正午までの1年間とする。

民泊のインバウンド需要について

コロナ禍によるインバウンド需要の消滅は、民泊を含む観光業界全体に大きな打撃を与えました。
観光庁の調査によれば、コロナ禍後は「民泊の事業廃止届けが増加」「民泊の営業届出数が減少」に転じており、
民泊は大きな転機に直面していると言えるでしょう。

今後のインバウンド需要の見通し

コロナ禍前の2019年には、訪日外国人観光客は3千万人を超え、その7割が中国、韓国、台湾、香港など東アジア諸国からの訪日者が占めています。特に中国からの訪日観光客は900万人を超え、インバウンド全体の3割以上を占めていたのです。

コロナ禍によりインバウンド需要が壊滅

コロナ禍で壊滅したインバウンドは、政府の入国制限緩和策によって少しずつ回復の兆しを見せています。ただし、2022年9月時点でも中国政府は厳格なゼロコロナ政策を続けており、中国からのインバウンドは実質ゼロとなっており、コロナ禍前に回復する見通しは立っていません。

中国からの訪日観光客が復活しなければ、インバウンド需要が完全に回復することはないでしょう。そのため、現時点では民泊経営が賃貸経営より儲かるとは言えないでしょう。

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注意したい民泊の違法営業

民泊は、少し前までは特別な許可も必要なく、手軽に始められて利回りの高い美味しいビジネスでした。
しかし2017年に民泊新法が整備されてからは、行政許可や消防設備の充実など、
厳格な法令遵守が必要になり、参入ハードルが上がっています。

ヤミ民泊や又貸し

無許可で民泊を営業すれば、旅館業法違法となり、罰金100万円が課されることも。無許可のいわゆる「ヤミ民泊」の他にも、賃貸物件の入居者が勝手に民泊を経営する「又貸し民泊」も違法です。

又貸しの違法民泊は、近隣住民から騒音・人の出入りの激しさといったクレームが寄せられて発覚するケースがほとんど。賃貸経営オーナー様は、故意のヤミ民泊はもちろんのこと、入居者の又貸し違法民泊にも十分気をつける必要があります。

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