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ペット飼育後の原状回復費用はどこまで請求できる?オーナーが知っておきたい負担範囲と注意点|アパート経営・マンション経営の知識

ペット可物件は、入居者からのニーズが高く、空室対策としても有効な募集条件のひとつです。特に近年は、犬や猫を家族の一員として暮らす方が増えており、「ペット飼育可」の条件があるだけで物件の魅力が高まるケースもあります。

一方で、オーナー様や管理会社にとって悩ましいのが、退去時の原状回復費用です。

「ペットによる床の傷は入居者に請求できるのか」
「臭いが残っている場合、消臭費用は請求できるのか」
「ペット可物件なのだから、多少の傷や臭いはオーナー負担になるのか」

このような疑問を持たれるオーナー様は少なくありません。

結論から言うと、ペット飼育によって発生した傷・汚れ・臭いなどが、通常の使用を超える損耗と判断される場合には、入居者へ原状回復費用を請求できる可能性があります。

ただし、すべての費用を無条件に請求できるわけではありません。請求できる範囲は、契約内容、損耗の程度、経年劣化、通常損耗との区別、特約の有無などによって変わります。

この記事では、ペット飼育後の原状回復費用について、オーナー様が知っておきたい基本的な考え方と、トラブルを防ぐための実務上のポイントを分かりやすく解説します。

目次

原状回復とは「新品に戻すこと」ではない

まず押さえておきたいのは、原状回復とは「入居時の新品同様の状態に戻すこと」ではないという点です。

賃貸物件では、入居者が通常の生活をしていれば、多少の汚れや劣化は当然発生します。たとえば、日焼けによるクロスの変色、家具を置いたことによる床のへこみ、設備の自然な劣化などは、通常損耗や経年劣化と考えられます。

国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」でも、通常損耗や経年変化については、原則として賃借人が負担するものではないという考え方が示されています。令和2年4月1日施行の改正民法でも、通常損耗や経年変化については賃借人の原状回復義務に含まれないことが明文化されています。

つまり、退去時に室内をきれいにするための費用であっても、それが通常使用による劣化や次の入居者を募集するための美装目的であれば、原則としてオーナー負担となります。

一方で、入居者の故意・過失、善管注意義務違反、または通常の使用方法を超える使用によって発生した傷や汚れについては、入居者負担として請求できる可能性があります。

ペット飼育による損耗は、この「通常の使用を超えるかどうか」が大きな判断ポイントになります。

ペット可物件でも、すべてがオーナー負担になるわけではない

ペット可物件の場合、入居者側から「ペット可で借りているのだから、ペットによる傷や臭いは当然想定内ではないか」と主張されることがあります。

たしかに、ペット飼育を認めている以上、多少の生活上の影響は想定されます。しかし、ペット可であることと、ペットによる損傷をすべてオーナーが負担することは別問題です。

たとえば、以下のようなケースは、通常の使用を超える損耗と判断されやすい内容です。

・犬や猫が柱、建具、巾木をかじった傷
・猫の爪とぎによるクロスや建具の破れ
・フローリングやクッションフロアの深い引っかき傷
・尿による床材の変色、腐食、臭いの付着
・室内全体に残る強いペット臭
・換気不足や清掃不足による臭気の蓄積
・飼育ルール違反による汚損や破損

東京都の消費生活情報でも、ペットによる汚損・破損、タバコのヤニや臭いなどは、一般的に通常の使用を超える損耗と判断される例として挙げられています。

そのため、ペット可物件であっても、ペットが原因で通常使用の範囲を超える傷・汚れ・臭いが発生している場合には、入居者へ原状回復費用を請求できる余地があります。


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請求できる可能性が高い原状回復費用

ペット飼育後の退去精算で、入居者負担として請求を検討しやすい項目には、以下のようなものがあります。

1. ペットによる床の傷や汚れ

犬や猫の爪によるフローリングの深い傷、クッションフロアの破れ、尿による変色や腐食などは、入居者負担として請求できる可能性があります。

ただし、床材そのものにも経年劣化があります。入居年数が長い場合や、もともと古い床材だった場合は、修繕費用の全額を入居者に請求するのではなく、経過年数や損耗の程度を考慮する必要があります。

たとえば、床全面の張替えが必要になったとしても、実際にペットが損傷させた範囲が一部であれば、原則としてその範囲に応じた負担を検討することになります。

2. クロスの破れやひっかき傷

猫の爪とぎによるクロスの破れ、犬が壁を引っかいた傷なども、通常損耗とは言いにくいケースが多いです。

特に、壁の下部や角部分に集中して傷がある場合、ペットによる損傷と判断しやすくなります。

ただし、クロスについても経過年数の考慮が必要です。一般的にクロスは年数の経過とともに価値が減少していくため、長期間入居していた場合には、張替え費用の全額を請求することが難しい場合があります。

3. 建具・柱・巾木のかじり傷

犬が建具をかじった、猫が柱で爪とぎをした、巾木に傷が多数あるといったケースも、入居者のペット管理に起因する損耗として請求対象になりやすい内容です。

建具や柱は補修で済む場合もあれば、損傷が大きい場合には交換が必要になることもあります。請求時には、単に「交換が必要」とするのではなく、なぜ補修では足りないのか、どの部分にどの程度の損傷があるのかを説明できるようにしておくことが大切です。

4. ペット臭の消臭・脱臭費用

ペット飼育後の原状回復で特にトラブルになりやすいのが臭いです。

ペット臭は目に見えないため、入居者とオーナー・管理会社の認識に差が出やすい項目です。入居者本人は臭いに慣れてしまっており、「そんなに臭わない」と感じる一方で、内見者や次の入居希望者には強く感じられることがあります。

明らかに通常のハウスクリーニングでは除去できない臭いが残っている場合、専門的な消臭・脱臭作業の費用を請求できる可能性があります。

ただし、単に「ペットを飼っていたから消臭費用を請求する」という形では、トラブルになる可能性があります。退去時の室内状況、臭いの程度、契約書の特約内容、見積書の明細などをもとに、合理的に説明できることが重要です。

5. 尿による床や壁の腐食・シミ

ペットの尿による損傷は、比較的入居者負担として説明しやすい項目です。

尿が床材に染み込み、変色、腐食、臭気の原因になっている場合は、通常の生活による損耗とはいえません。特に、床材の下地まで影響が出ている場合は、表面のクリーニングだけでは改善できず、張替えや下地補修が必要になることもあります。

このような場合には、写真を残し、どの部分にどの程度の被害があるのかを明確にしておくことが重要です。

請求が難しい、または注意が必要な費用

一方で、ペット飼育があったからといって、すべてのリフォーム費用を入居者に請求できるわけではありません。

以下のような費用は、請求時に注意が必要です。

1. 経年劣化している設備や内装の全面交換費用

もともと古くなっていたクロスや床材を、退去をきっかけに全面的に張り替える場合、その全額を入居者に請求するのは難しいことがあります。

たとえば、入居期間が長く、クロス自体の価値が相当程度減少している場合、たとえ一部にペットの傷があったとしても、張替え費用全額を請求すると過大請求と受け取られる可能性があります。

原状回復費用は、あくまで入居者の責任によって発生した損耗を回復するための費用です。物件価値を高めるためのリフォーム費用や、次の募集に向けたグレードアップ費用は、原則としてオーナー負担と考えるべきです。

2. ペット飼育とは関係のないリフォーム費用

退去後に、キッチン交換、浴室交換、間取り変更、デザイン性を高めるための内装変更などを行う場合、それらは通常、原状回復ではなくリフォーム・バリューアップ工事に該当します。

ペットによる損傷と関係がない工事まで入居者に請求すると、精算トラブルにつながります。

原状回復費用として請求する場合は、「どの損傷に対して、どの工事が必要なのか」を明確に分けることが重要です。

3. 根拠が不明確な一律請求

「ペット飼育の場合は退去時に一律10万円請求」
「ペット消臭費用として必ず5万円請求」
「ペット可物件なので退去時は全額借主負担」

このような一律請求は、契約書に記載があっても、内容によってはトラブルになる可能性があります。

特約を設けること自体は可能ですが、入居者にとって一方的に不利すぎる内容や、具体性・合理性を欠く内容は、争いになった際に有効性が問題となることがあります。

特約を設ける場合は、負担内容、金額の目安、対象となる工事、通常損耗や経年劣化との関係をできるだけ明確にしておくことが大切です。

ペット特約は必ず入れておくべき

ペット可物件を運用する場合、契約書や重要事項説明書にペット飼育に関する特約を入れておくことは非常に重要です。

口頭で「ペット可です」と伝えるだけでは、退去時に負担範囲で揉める可能性があります。

特約には、たとえば以下のような内容を明記しておくとよいでしょう。

・飼育できるペットの種類、頭数、大きさ
・無断で別のペットを飼育した場合の取り扱い
・ペットによる傷、汚れ、臭いが発生した場合の原状回復負担
・消臭、脱臭、クリーニングが必要になった場合の費用負担
・共用部での飼育マナー
・退去時の確認方法
・敷金、礼金、償却、追加預り金の取り扱い

特に重要なのは、「ペットによる損傷は入居者負担」と抽象的に書くだけでなく、どのような場合に、どのような費用が発生する可能性があるのかを具体的に示すことです。

たとえば、以下のような表現が考えられます。

「賃借人は、飼育するペットに起因して本物件に傷、汚損、破損、臭気付着等が生じた場合、通常損耗および経年劣化を除き、その補修、交換、消臭、脱臭、クリーニング等に要する合理的な費用を負担するものとする。」

このように、通常損耗や経年劣化を除くこと、合理的な費用に限ることを明記しておくと、過度な請求ではなく、公平な負担として説明しやすくなります。

退去時にトラブルを防ぐための実務ポイント

ペット飼育後の原状回復では、請求できるかどうかだけでなく、どのように説明するかが非常に重要です。

退去精算でトラブルを防ぐためには、以下のポイントを意識しましょう。

入居前の室内写真を残しておく

退去時に「この傷は入居前からあった」「もともと臭いがあった」と言われるケースは珍しくありません。

そのため、入居前の室内写真を残しておくことが大切です。特に、床、壁、建具、巾木、水回り、収納内部などは、入居前の状態を記録しておくと、退去時の比較がしやすくなります。

写真は日付が分かる形で保管し、できれば入居者にも確認してもらう運用にすると、後日のトラブル予防になります。

退去立会い時に損傷箇所を具体的に確認する

退去立会いでは、「ペットによる傷があります」と大まかに伝えるのではなく、どの場所に、どのような損傷があるのかを具体的に確認することが重要です。

たとえば、

・リビング南側壁面のクロスに爪とぎ跡
・洋室入口の建具下部にかじり傷
・廊下のクッションフロアに尿染み
・室内全体にペット臭が残存

というように、場所と内容を明確に記録します。

可能であれば、写真とチェックシートをセットで残しておくと、請求時の説明がしやすくなります。

見積書の内訳を明確にする

原状回復費用の請求でトラブルになりやすいのが、「一式」表記です。

たとえば、「原状回復工事一式 250,000円」とだけ記載された見積書では、入居者から見て、何にいくらかかっているのか分かりません。

請求する場合は、できるだけ以下のように内訳を分けることが望ましいです。

・クロス張替え
・床材補修または張替え
・建具補修
・消臭、脱臭作業
・ハウスクリーニング
・廃材処分費
・諸経費

さらに、入居者負担分とオーナー負担分を分けて提示すると、精算内容の透明性が高まります。

入居者負担とオーナー負担を分けて考える

原状回復の実務では、すべてを入居者負担にするか、すべてをオーナー負担にするかという単純な話ではありません。

同じ部屋の工事でも、入居者負担部分とオーナー負担部分が混在することがあります。

たとえば、リビングのクロス全面張替えを行う場合でも、ペットによる傷が一部であれば、その損傷部分に対応する範囲は入居者負担、経年劣化や募集上の美装目的にあたる部分はオーナー負担と整理することがあります。

このように、負担区分を分けて考えることで、入居者にも納得してもらいやすくなります。


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オーナーが注意すべき「過大請求」のリスク

ペット飼育後の原状回復では、実際に大きな損傷や臭いが残ることもあります。そのため、オーナー様としては「できるだけ入居者に負担してもらいたい」と考えるのは自然なことです。

しかし、根拠が不明確な請求や、経年劣化を考慮しない全額請求は、トラブルの原因になります。

特に注意したいのは、以下のような請求です。

・ペットを飼っていたという理由だけで全面張替え費用を請求する
・実際の損傷範囲を超えて工事費用を請求する
・経年劣化した設備の交換費用を全額請求する
・契約書にない費用を退去時に突然請求する
・見積書の内訳を示さず高額請求する

このような請求は、入居者から不信感を持たれやすく、消費生活センターへの相談や法的トラブルに発展する可能性もあります。

大切なのは、「請求できるものを、根拠を持って、適正な範囲で請求する」という姿勢です。

ペット可物件を安定運用するために大切なこと

ペット可物件は、うまく運用すれば空室対策として非常に有効です。

ペットを飼える物件を探している入居者は一定数いる一方で、ペット可物件はまだ限られています。そのため、条件が合えば長期入居につながりやすいというメリットもあります。

しかし、退去時の原状回復ルールが曖昧なまま運用してしまうと、オーナー様、入居者、管理会社の間でトラブルが発生しやすくなります。

ペット可物件を安定して運用するためには、以下の3つが重要です。

1つ目は、契約時にルールを明確にしておくことです。
ペットの種類や頭数、飼育方法、退去時の負担範囲を事前に説明しておくことで、後日の認識違いを防げます。

2つ目は、入居前後の状態を記録しておくことです。
写真やチェックリストを活用し、入居前の状態と退去時の状態を比較できるようにしておくことが重要です。

3つ目は、退去精算を公平に行うことです。
入居者負担にできる部分と、オーナー負担とすべき部分を整理し、合理的な説明ができる形で請求することが、トラブル防止につながります。

まとめ:ペット飼育後の原状回復費用は「根拠」と「範囲」が重要

ペット飼育後の原状回復費用は、ペット可物件であっても、入居者に請求できる場合があります。

特に、ペットによる床や壁の傷、建具のかじり傷、尿によるシミや腐食、強いペット臭などは、通常の使用を超える損耗として、入居者負担を検討できる代表的な項目です。

一方で、通常損耗や経年劣化、次の入居者募集のための美装工事、グレードアップ目的のリフォーム費用まで、すべて入居者へ請求できるわけではありません。

退去時のトラブルを防ぐためには、契約書の特約整備、入居前後の写真記録、退去立会い時の確認、見積書の明細化、負担区分の整理が重要です。

ペット可物件は、適切に運用すれば空室対策や長期入居につながる有効な選択肢です。だからこそ、原状回復のルールを事前に明確にし、オーナー様と入居者の双方が納得できる管理体制を整えておくことが大切です。

ペット飼育後の原状回復でお悩みのオーナー様は、契約内容や退去時の状況を踏まえたうえで、適正な負担範囲を確認することをおすすめします。

(参考情報)
本記事は、国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」および東京都消費生活総合センターの賃貸住宅退去時トラブルに関する情報を参考に、一般的な考え方を整理したものです。実際の請求可否は、契約書の内容、特約の有無、損耗状況、入居期間、個別事情によって異なります。


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