はじめに:賃貸市場は「設備の差」で勝敗が決まる時代へ
少子化・人口減少が進む中、賃貸市場は「選ばれる物件」と「選ばれない物件」の二極化が進んでいます。 以前は「立地が良ければ埋まる」時代でしたが、今は違います。 同じ家賃帯なら“設備が良い物件”から埋まっていくのが現実です。
つまり、オーナーにとって設備リフォームは「コスト」ではなく、 空室を減らし、家賃下落を防ぎ、長期的な収益を最大化するための投資です。
本コラムでは、賃貸オーナーが知っておくべき「入居者が増えるリフォームの考え方」と「費用対効果の高い設備」を徹底的に解説します。
入居者が求める設備は“時代とともに変化する”
まず押さえておきたいのは、入居者が求める設備は10年前と大きく変わっているということです。
● 昔は「最低限の設備」で十分だった
- エアコン1台
- ガスコンロ
- ユニットバス
- 和室あり
- 収納少なめ
これでも入居者は集まりました。
● 今は「生活の質を上げる設備」が求められる
現代の入居者は、以下のような“生活の快適性”を重視します。
- ネット環境
- 水回りの清潔感
- 収納力
- セキュリティ
- デザイン性
- 省エネ性能
つまり、「古いけど住める」では選ばれないのです。

入居者が増えるリフォームの基本戦略
● ①「ターゲットを決める」ことが最重要
リフォームは“誰に住んでほしいか”で内容が大きく変わります。
例:ターゲット別に求められる設備
| ターゲット | 求められる設備 |
|---|---|
| 単身者 | ネット無料、宅配ボックス、独立洗面台 |
| カップル | 2口コンロ、収納、デザイン性 |
| ファミリー | 追い焚き、浴室乾燥、広いキッチン |
| 高齢者 | バリアフリー、手すり、段差解消 |
ターゲットを決めずにリフォームすると、 「誰にも刺さらない中途半端な物件」になりがちです。
費用対効果が高い“入居が決まりやすい”リフォームBEST5
ここからは、実際に入居率が上がりやすい設備を紹介します。
1. インターネット無料化(Wi-Fi設備)
● 今もっとも効果が高い設備投資
入居者アンケートでは、 「ネット無料なら優先的に選ぶ」という声が圧倒的です。
● メリット
- 月額数千円の投資で空室が減る
- 単身者・学生に特に強い
- 家賃を2,000〜3,000円上げても決まりやすい
ネット無料は、最も費用対効果が高い設備投資のひとつです。
2. 水回りのリフォーム(特に洗面台・キッチン)
水回りは入居者の“決め手”になりやすい部分です。
● 特に効果が高いのは「独立洗面台」
- 女性人気が高い
- 単身者物件でも必須レベル
- 5〜10万円で設置可能なケースも多い
● キッチンは「2口コンロ」が強い
- 自炊派に刺さる
- カップル・単身者どちらにも効果大
水回りは古さが目立ちやすいため、 少しの投資で物件の印象が劇的に変わります。
3. 宅配ボックスの設置
ネット通販の普及により、宅配ボックスの需要は急上昇しています。
● メリット
- 単身者に圧倒的に人気
- 設置費用が比較的安い
- 共用部に置くだけでOK
宅配ボックスは、“あるだけで選ばれる物件”になります。
4. デザインリフォーム(アクセントクロス・照明)
大規模工事をしなくても、デザイン性を上げるだけで入居率は改善します。
● アクセントクロス
- 1面だけ色を変えるだけでおしゃれに
- 1〜2万円で可能
- 若い世代に特に人気
● LED照明
- 明るく清潔感が出る
- 電気代が安くなるため入居者にもメリット
「見た目の印象」は入居者の決断に大きく影響します。
5. セキュリティ強化(オートロック・TVモニターホン)
特に女性や単身者に強いアピールポイントです。
● TVモニターホンは必須レベル
- 工事費が安い
- 防犯意識の高い入居者に刺さる
● オートロックは可能なら導入したい
- 物件価値が大幅に上がる
- 家賃アップも狙える
セキュリティは、“安心を買う設備”として非常に評価されます。

実は“やっても意味がない”リフォームもある
オーナーが良かれと思ってやりがちな、 費用対効果が低いリフォームも存在します。
● ① 和室の畳を新品にするだけ
→ 和室自体が敬遠されるため、根本解決にならない → 思い切って洋室化した方が効果が高い
● ② 高級設備を入れすぎる
→ 家賃に反映できず、投資回収が難しい → ターゲットに合わない設備は無駄
● ③ 壁紙を全面張り替える
→ 汚れた部分だけで十分 → アクセントクロスで印象を変える方が安くて効果的
空室を減らすための“戦略的リフォーム”の考え方
● ① まずは「弱点」を見つける
- 競合物件と比べて劣っている部分
- 入居者からのクレームが多い部分
- 内見で離脱されるポイント
弱点を改善するだけで、入居率は大きく変わります。
● ② 家賃を上げられるリフォームを選ぶ
リフォームの目的は「空室対策」だけではありません。 家賃アップにつながる設備を選ぶことが重要です。
例:
- ネット無料 → +2,000円
- 独立洗面台 → +3,000円
- デザインリフォーム → +1,000円
家賃が上がれば、投資回収も早くなります。
● ③ 長期入居につながる設備を選ぶ
長く住んでもらうことは、空室対策の最も効果的な方法です。
長期入居につながる設備の例:
- 追い焚き機能
- 浴室乾燥
- 収納増設
- 断熱性の向上
「住みやすい物件」は退去率が下がり、収益が安定します。

リフォームの優先順位は「水回り → ネット → セキュリティ → デザイン」
多くの物件を見てきた中で、 入居率を上げるための優先順位は以下の通りです。
- 水回り(特に洗面台・キッチン)
- ネット無料化
- セキュリティ(TVモニターホン)
- デザイン(アクセントクロス・照明)
この順番で改善すると、最も効率よく入居率が上がります。
まとめ:リフォームは「入居者の心をつかむ投資」
賃貸物件のリフォームは、単なる修繕ではありません。 入居者に選ばれるための戦略的な投資です。
- ターゲットを決める
- 費用対効果の高い設備を選ぶ
- 弱点を改善する
- 家賃アップを狙う
- 長期入居につながる設備を導入する
これらを意識するだけで、 物件の魅力は大きく向上し、空室は確実に減っていきます。
