1. 突然の停電!まずは「電気が戻れば大丈夫」と考えない
ある賃貸マンションで、夜間に突然の停電が発生しました。
原因は建物そのものの故障ではなく、台風の影響による地域一帯の停電でした。
入居者から管理会社へ、
「部屋の電気が全部消えています」
「共用廊下も真っ暗です」
「エレベーターも止まっています」
と、次々に連絡が入ります。
管理会社では、まず停電範囲を確認します。
建物全体なのか、特定の住戸だけなのか。
周辺の建物も停電しているのか。
ブレーカーなど建物側の異常ではないのか。
ここで重要なのは、原因を確認する前に設備業者を呼んでしまわないことです。
地域停電であれば、建物内の設備業者を手配しても、すぐに復旧できるとは限りません。
まずは、
「地域停電なのか」
「建物設備の故障なのか」
「特定の住戸だけなのか」
を切り分けることが重要です。
そして数時間後、電力会社側の復旧作業が完了し、建物にも電気が戻りました。
入居者からも、
「電気がつきました」
という連絡が入り、管理会社もオーナー様も一安心。
ところが、翌朝になって別の入居者から連絡が入ります。
「電気はついているのですが、お湯が出ません」
ここから、停電後の本当のトラブルが始まりました。
2. 電気は復旧したのに、設備が動かない!
停電後に特に注意したいのが、電気を使用して動作する設備です。
一度電源が落ちることで、設備が停止したままになったり、設定がリセットされたり、エラー表示が出たりする場合があります。
① 給湯器が使えない
停電後によく確認したい設備の一つが給湯器です。
電気が復旧しても、給湯器が正常に再起動しない場合があります。
入居者から、
「キッチンのお湯が出ない」
「シャワーが水しか出ない」
「給湯器のリモコンにエラーが出ている」
といった連絡が入ることがあります。
この場合、いきなり給湯器本体の故障と判断するのではなく、電源・ブレーカー・リモコン表示などを確認する必要があります。
また、給湯器によっては停電後に時計設定などが必要になる場合もあります。
② エアコンが動かない
停電復旧後、
「電気はついているのにエアコンだけ動かない」
というケースもあります。
特に夏場の停電では注意が必要です。
停電が復旧してもエアコンが自動的に運転を再開するとは限らず、リモコン操作が必要になる場合があります。
また、室外機やブレーカーなどの確認が必要になるケースもあります。
真夏の室内は短時間でも高温になるため、エアコンが使えないという連絡は、単なる「設備不具合」として後回しにしてはいけません。
③ オートロック・インターホン
マンションの場合、停電によってオートロックやインターホンなどの設備に影響が出ることがあります。
電源復旧後も正常に動作しない場合には、設備側のリセットや点検が必要になることがあります。
オートロックが正常に作動しない場合は、防犯面にも関係するため、早急な確認が必要です。
④ 給水ポンプ
意外と見落としやすいのが「水」です。
マンションやアパートでは、建物によって電気を利用した給水設備が設置されています。
停電によって給水ポンプが停止すると、電気が復旧しても水が正常に供給されないケースがあります。
「電気は戻ったのに、水が出ない」
という場合には、建物の給水設備を確認する必要があります。
これは入居者の生活に直結する重大なトラブルです。
⑤ エレベーター・機械式駐車場
エレベーターや機械式駐車場も、停電時には停止します。
電気が復旧しても、安全確認や復旧操作が必要となり、すぐに通常運転へ戻らないことがあります。
特に機械式駐車場は、無理に操作すると事故につながる可能性があるため、入居者自身に操作をさせるのではなく、管理会社や専門業者による確認が必要です。

3. 怖いのは「復旧したから大丈夫」と思ってしまうこと
停電後のトラブルで最も注意したいのは、「電気が戻った=すべて復旧した」と思い込んでしまうことです。
実際には、電気が復旧した後に、
「設備が動かない」
「警報が出ている」
「リモコンにエラーが表示されている」
「共用設備だけ復旧していない」
ということがあります。
さらに厄介なのが、停電直後は問題がなくても、時間が経ってから異常が発覚するケースです。
例えば、夜間の停電が復旧し、入居者がそのまま就寝。
翌朝になって、
「お湯が出ない」
「洗濯機が使えない」
「エアコンが動かない」
という連絡が入ることがあります。
管理会社からすると、停電が発生したのは前日の夜です。
しかし入居者からすれば、「今、設備が使えない」という問題です。
そのため、停電発生時には「復旧したかどうか」だけではなく、復旧後に設備が正常に動作しているかまで確認することが重要になります。
実際の対応で重要なのは「切り分け」
停電後のトラブルでは、最初から設備業者を手配するのではなく、まず原因を切り分けます。
例えば、
① 建物全体が停電しているのか
↓
② 周辺地域も停電しているのか
↓
③ 電力復旧後、建物全体の電気が戻ったか
↓
④ 特定の設備だけ動かないのか
↓
⑤ ブレーカー・電源・リモコンなどを確認
↓
⑥ 改善しない場合は専門業者へ連絡
という流れです。
この切り分けを行うことで、不要な業者手配を減らし、復旧までの時間も短縮できます。
4. 停電は「復旧後」まで見据えた管理が重要
停電は、いつ発生するか分かりません。
台風、雷、大雨、事故、電力設備の故障など、原因はさまざまです。
だからこそ、賃貸オーナー様には、「停電が起きたときにどうするか」だけではなく、「電気が戻った後にどう確認するか」まで考えておくことをおすすめします。
特に重要なのは、次の4つです。
1.停電の原因と範囲を確認する
地域停電なのか、建物設備の異常なのかを確認します。
地域停電であれば、電力会社の復旧状況を確認しながら対応します。
2.復旧後に設備を確認する
電気が戻ったら、それで終了ではありません。
給湯器、エアコン、インターホン、オートロック、給水設備、エレベーターなど、電気を使用する設備が正常に動いているか確認します。
3.入居者への案内を早めに行う
停電中はもちろん、復旧後にも設備が使用できない場合があります。
「電気は復旧していますが、設備によっては復旧まで時間がかかる場合があります」
など、事前に案内しておくことで、入居者の不安を軽減できます。
4.設備業者との連絡体制を整えておく
停電は夜間や休日に発生することもあります。
給湯器、電気設備、給水設備、エレベーターなど、それぞれ連絡先が異なるため、緊急時にすぐ確認できるよう、日頃から連絡先を整理しておくことが重要です。

4. オーナー様が知っておきたい「停電後のトラブル」
停電そのものは、オーナー様が防ぐことが難しいケースもあります。
しかし、停電後に発生するトラブルへの備えは、日頃の管理によって大きく変わります。
特に賃貸物件では、設備トラブルが発生すると、
「いつ復旧するのか」
「誰が対応するのか」
「費用は誰が負担するのか」
といった問題が発生します。
また、設備が長時間使用できない場合には、入居者から強い不満が寄せられる可能性もあります。
だからこそ、トラブルが起きてから対応するのではなく、「停電が発生した場合の初動対応」をあらかじめ管理会社と共有しておくことが大切です。
例えば、
・停電発生時の連絡先
・電力会社への確認方法
・建物設備業者の連絡先
・給湯器・電気設備などのメーカー情報
・共用設備の復旧方法
・入居者への案内方法
などを整理しておけば、緊急時にもスムーズに対応できます。
「停電したけれど、電気が戻ったから大丈夫」
ではありません。
本当に重要なのは、電気が復旧した後、建物と入居者の生活が正常な状態に戻っているかを確認することです。
賃貸物件では、設備の不具合が一つ発生するだけでも、入居者の生活に大きな影響を与えます。
突然の停電そのものを防ぐことはできなくても、停電後のトラブルを早期に発見し、適切に対応することはできます。
万が一のときに「どこへ連絡すればいいのか分からない」「設備業者がすぐに見つからない」とならないためにも、平常時から管理会社との連絡体制や設備情報を整理しておくことが、**賃貸経営における“もしもの備え”**につながります。
停電は「電気が消えた瞬間」から始まり、電気が戻ったところで終わるとは限らない。
このことを知っておくだけでも、停電後の設備トラブルへの対応は大きく変わります。
大切な資産を守り、入居者に安心して暮らしてもらうためにも、今一度、所有物件の「停電時・停電後の対応体制」を確認してみてはいかがでしょうか。

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