賃貸物件に独立洗面台をつける際の費用は？|賃貸アパート経営・マンション経営の知識

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2025.06.16

1 独立洗面台とは
2 設置費用の目安
3 設置によるメリット
4 成功事例
5 独立洗面台設置の際の注意点
6 まとめ

はじめに

近年、賃貸物件の設備として独立洗面台の重要性が高まっています。特に単身向けのアパートやマンションでは、入居者の利便性を向上させ、物件の競争力を高める要素の一つとして注目されています。では、実際に賃貸物件に独立洗面台を設置する際の費用はどのくらいかかるのでしょうか。また、どのようなメリットがあるのかを詳しく解説します。

独立洗面台とは

浴室の中ではなく、別の専用スペースに設けられた洗面台のことを指します。このような独立した設置により、洗面や身支度といった日常的な動作を、入浴中の人を気にせずに行えるという利便性があります。

一般的に、昔からの賃貸物件では、浴槽・トイレ・洗面台が一体となった「ユニットバス」と呼ばれるタイプが多く見られます。そのため、洗面台が浴室内に組み込まれていることで、使用時に不便さを感じる入居者も少なくありません。たとえば、誰かがシャワーを使っている間は洗面台を使えなかったり、湿気やカビの心配があったりします。

こうした背景から、独立洗面台のある物件は、快適さや機能面でより優れていると評価される傾向にあります。その結果、独立洗面台の設置は物件の魅力や資産価値を高めるための有力な設備投資として、不動産オーナーや管理会社の間でも注目されています。

設置費用の目安

(1) 設備購入費

独立洗面台にかかる費用のうち、まず考慮すべきは本体となる洗面台自体の購入費用です。価格帯は、選ぶ製品の「機能性」や「デザイン性」によって大きく変わってきます。一般的な相場としては 5万円～15万円程度となっており、たとえばシンプルで必要最低限の機能を備えた製品であれば5万円前後で購入できます。一方、収納スペースが充実していたり、照明付きのミラー、引き出しが付いていたりする高機能タイプ、あるいは見た目にもこだわったハイグレードなデザインのものになると、15万円以上になることも珍しくありません。

(2) 工事費

既存の住宅や賃貸物件に独立洗面台を新たに設置する場合、洗面台本体の設置に加え、「給水管・排水管の接続」や「排水経路の確保」など、水回りの工事が必要です。このような配管工事の費用としては、一般的に 10万円～30万円程度が相場とされています。ただし、物件の構造や既存の設備状況によっては、配管の延長や新設といった追加作業が必要になるケースもあり、その場合はさらにコストが増加することがあります。

(3) その他費用

独立洗面台の設置に伴っては、以下のような追加費用が発生する可能性もあります。物件の状態や設置場所の条件に応じて、必要な工事内容が異なってきます。

・電気工事（照明やコンセントの増設）：

洗面所に照明を追加したり、電気シェーバー用のコンセントを設ける場合などに発生する工事費で、目安は約1万円～3万円程度。

・壁や床の補修費：

洗面台の設置位置に応じて、壁や床のクロス貼替え・補修が必要になることもあり、こちらは約2万円～5万円程度。

・収納棚やミラーの追加設置費：

洗面台周辺に便利な収納棚やミラーを取り付ける場合の費用で、相場として約5千円～3万円前後が見込まれます。

独立洗面台の設置には、シンプルな設備を最低限の工事で済ませた場合でも 15万円～20万円程度が必要です。一方で、設備や内装にこだわり、工事内容が複雑になる場合には 30万円以上かかる可能性もあるため、事前にしっかりと見積もりを取り、必要な費用を把握しておくことが重要です。

設置によるメリット

(1) 入居率の向上

近年の賃貸住宅市場においては、「独立洗面台付き物件を希望する入居者が増加している」という傾向が顕著です。とくに若年層や単身者、女性の入居者にとっては、洗面台が浴室から独立していることで、朝の支度やメイク、スキンケアなどの身だしなみを快適に行えるという利点が大きく評価されます。そのため、独立洗面台のある物件は競合物件と比べて利便性が高く、結果として空室期間の短縮や安定した入居率の維持につながる重要な設備といえるでしょう。

(2) 家賃の上乗せが可能

設備の充実度に比例して、賃料設定にも反映できる点は不動産経営において大きなメリットです。独立洗面台を導入することで、月額で2,000円～5,000円程度の家賃アップが見込めるとされており、物件価値の向上がそのまま収益性の改善へとつながります。初期投資としては一定のコストがかかりますが、長期的なスパンで考えると、継続的に得られる賃料収入の増加によって投資回収が期待できる点も魅力です。

(3) 物件の差別化

周囲の賃貸物件との明確な差別化を図るためには、設備面でのアップグレードが非常に効果的です。とくに築年数が経過した物件においては、古さを補うために内装のリフォームや設備の刷新が求められます。そのようなリノベーションの一環として独立洗面台を設置することで、新築や築浅の物件にも引けを取らない魅力を演出することが可能です。結果的に、より幅広い層の入居者にアプローチでき、物件全体の魅力度が向上します。

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成功事例

(1) 東京都内のワンルームマンション

東京都内の築20年のワンルームマンションでは、空室率が高くなっていたため、オーナーが独立洗面台の設置を決断しました。設置費用は約25万円でしたが、導入後の募集では家賃を3,000円アップしてもすぐに入居者が決まりました。結果として、年間36,000円の収益増加となり、約7年で投資回収が可能となりました。

(2) 大阪府のファミリー向け賃貸

大阪府の築15年のファミリー向け賃貸では、独立洗面台の設置により家賃を5,000円アップし、入居者の満足度向上につながりました。特に子育て世帯からの評価が高く、契約更新率が向上したことで、長期的な安定収益を確保できました。

(3) DIYによるコスト削減事例

あるオーナーは、コストを抑えるために DIYで独立洗面台を設置しました。中古の洗面台を購入し、配管工事のみ業者に依頼することで、総費用を約10万円に抑えました。この結果、家賃を2,000円アップし、約4年で投資回収が可能となりました

独立洗面台設置の際の注意点

(1) 物件の構造を考慮する

独立洗面台を後付けで導入する場合には、物件の構造や既存の配管状況を十分に考慮する必要があります。とくに築年数の古い建物や配管が壁や床の内部に埋設されている物件では、給水・排水管の延長や改修が困難となるケースもあります。そのため、自己判断で設置を進めるのではなく、専門の工務店や水道設備業者に事前の現地調査を依頼し、設置の可否や工事の難易度を確認することが非常に重要です。予期せぬ追加費用や施工トラブルを防ぐためにも、早い段階での専門家との相談をおすすめします。

(2) 初期費用と回収期間を計算する

設備投資として独立洗面台を設置する場合には、事前にしっかりと初期費用を試算し、回収までにかかる期間の見通しを立てることが大切です。たとえば、設置費用として合計20万円を見込んだ場合、仮に月額3,000円の家賃アップが見込めれば、投資回収には約5～6年を要する計算となります。これはあくまで一例ですが、物件の立地や築年数、ターゲット層によって家賃に上乗せできる金額は異なりますので、導入前には地域相場や競合物件との比較なども含めた慎重なシミュレーションを行うべきでしょう。

(3) 設備のグレード選び

洗面台にはさまざまな種類があり、高級感のあるデザイン性に優れたものや収納機能が充実しているものなど多くの選択肢がありますが、価格が高くなるほど必ずしも入居者にとって魅力的であるとは限りません。とくに賃貸住宅においては、「過度に豪華な設備」よりも「日常的に使いやすく、メンテナンスがしやすいシンプルな仕様」が好まれる傾向があります。そのため、市場ニーズやターゲット層を意識しながら、無理のない価格帯でコストパフォーマンスに優れた設備を選ぶことが肝心です。

まとめ

賃貸物件に独立洗面台を設置することは、入居者の満足度を高めるだけでなく、家賃の上乗せや物件の競争力向上につながります。しかし、設置にかかる費用や工事の難易度を事前に十分検討することが重要です。コストとメリットを見極めながら、適切な設備投資を行うことで、賃貸経営の成功へとつなげることができるでしょう。