不動産賃貸経営は、単に家賃収入を得るだけの事業ではありません。土地・建物を所有するということは、固定資産税・都市計画税・所得税・相続税といった複数の税金と向き合う必要があり、これらを正しく理解し、適切に対策を講じるかどうかで、長期的な資産形成の成果は大きく変わります。
特に近年は、税制改正や不動産価格の変動、インフレの進行など、オーナーを取り巻く環境が大きく変化しています。そのため、従来の知識だけでは不十分であり、最新の税制と実務に基づいた戦略的な賃貸経営が求められています。
本稿では、税理士・不動産コンサルタントの視点から、アパート・マンション経営における税金の全体像と、実務で効果の高い節税方法を体系的に解説します。
1. 賃貸経営に関わる税金の全体像
賃貸経営で発生する税金は、大きく次の4つに分類できます。
- 固定資産税・都市計画税(保有時)
- 所得税・住民税(運用時)
- 相続税・贈与税(承継時)
- 消費税(事業規模による)
このうち、特に節税効果が大きいのは「固定資産税・所得税・相続税」の3つです。賃貸経営の税務戦略は、この3つをどう最適化するかにかかっています。

2. 固定資産税・都市計画税の節税
小規模住宅用地の特例を最大限活用する
固定資産税は毎年1月1日時点で土地・建物を所有している人に課される税金です。都市計画税は市街化区域内の不動産に課税されます。
しかし、住宅用地には非常に強力な軽減措置が用意されています。
小規模住宅用地の特例
- 小規模住宅用地(200㎡以下):固定資産税が1/6、都市計画税が1/3に軽減
- 一般住宅用地(200㎡超):固定資産税が1/3、都市計画税が2/3に軽減
つまり、1戸あたりの敷地を200㎡以下に抑える設計にするだけで、土地全体の税負担が劇的に下がります。
実務で効果の高い節税手法
① アパートの戸数を増やし、敷地を均等に分割する
例:2000㎡の土地に10戸のアパートを建てる → 各戸の敷地を200㎡以下に割り当てれば、全戸が小規模住宅用地扱いとなり、固定資産税は1/6、都市計画税は1/3に軽減。
② 自宅+賃貸の「併用住宅」で節税
自宅部分と賃貸部分を明確に区分し、それぞれ200㎡以下に割り当てることで、両方に軽減措置を適用できます。
③ 更地をアパート用地に転換する
更地は住宅用地の特例が使えず、固定資産税が高額になります。 アパートを建てて住宅用地に変えることで、評価額が1/6に下がり、税負担を大幅に軽減できます。
専門家の視点
固定資産税の節税は、建物を建てる前の設計段階でほぼ決まります。 建築士・税理士・不動産コンサルタントが連携し、敷地の割り方や建物配置を最適化することが重要です。
3. 所得税・住民税の節税
経費計上と損益通算が鍵
賃貸経営の所得は、「家賃収入 − 必要経費」で計算されます。 ここで重要なのが、経費計上の正確さと損益通算の活用です。
経費として認められる主な項目
- 修繕費
- 管理委託費
- 減価償却費
- ローン利息
- 火災保険料
- 税理士報酬
- 広告費
- 共用部の水道光熱費
- 賃貸用車両のガソリン代(条件あり)
特に、減価償却費とローン利息は金額が大きく、節税効果が高い項目です。
損益通算で給与所得の節税も可能
不動産所得が赤字の場合、給与所得など他の所得と相殺できます。 これにより、所得税・住民税が減額され、手取りが増える仕組みです。
実務でよくあるケース
- 新築アパートは減価償却費が大きく、初期は赤字になりやすい
- ローン利息が多い時期は赤字になりやすい → 結果として給与所得の税負担が軽減される
ただし、修繕費と資本的支出の区分、事業的規模の判定など、税務判断が難しい部分も多いため、専門家の確認が不可欠です。

4. 相続税の節税
賃貸物件は最強の相続税対策
不動産は、相続税対策として非常に優れた資産です。 理由は、相続税評価額が大きく下がるためです。
貸家建付地の評価減
賃貸物件が建っている土地は、自用地よりも評価額が低くなる特例があります。 さらに、建物自体も固定資産税評価額(建築費より低い)で評価されるため、現金よりも相続税評価額が下がりやすいのです。
小規模宅地等の特例(最大80%減)
賃貸住宅の敷地は、条件を満たせば最大80%の評価減が適用されます。 これは相続税対策として最も強力な制度のひとつです。
専門家の視点
相続税対策は、建物の建築や土地活用など、時間を要する施策が多いため、早期の計画が重要です。 特に、老朽化物件の建て替え、土地の分割、賃貸併用住宅の建築などは、相続発生直前では間に合いません。
5. 税金対策を成功させるための実践ポイント
① 専門家チームをつくる
- 税理士
- 不動産コンサルタント
- 建築士
- 司法書士
これらが連携することで、最適な税務戦略が実現します。
② 法人化は慎重に判断
法人化は節税効果が高い一方、社会保険加入や事務負担の増加、出口戦略の複雑化などのデメリットもあります。
個人・法人のどちらが有利かは、収入規模・家族構成・将来の相続計画によって変わります。
③ 税制改正に注意
不動産関連の税制は頻繁に改正されます。 特に、小規模宅地の特例、損益通算の制限、固定資産税の見直しなどは、今後も変更の可能性があります。

6. まとめ:賃貸経営は「税務戦略」で成果が決まる
不動産賃貸経営は、税金の仕組みを理解しているかどうかで、手元に残る利益が大きく変わります。
- 固定資産税は「小規模住宅用地の特例」が鍵
- 所得税は「経費計上」と「損益通算」で最適化
- 相続税は「貸家建付地」「小規模宅地の特例」で大幅軽減
- 設計・用途・法人化などを総合的に判断することが重要
不動産は、税務戦略次第で資産価値が大きく変わる資産です。 長期的な視点で、専門家とともに最適なプランを構築することが、資産を守り、次世代へつなぐ最も確実な方法といえるでしょう。
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