不動産賃貸経営は、単なる「大家業」ではなく、緻密な税務戦略に基づいた「資産運用事業」です。本稿では、アパート・マンション経営において知っておくべき税金の基礎知識から、プロも実践する高度な節税手法、2024年以降の最新税制への対応までを徹底的に解説します。
第1章:不動産賃貸経営のメリット・デメリットと「税」の重要性
アパート・マンション経営が資産形成の柱とされる最大の理由は、その「節税効果」にあります。しかし、節税だけに目を奪われると経営の本質を見失います。まずは全体像を把握しましょう。
1.1 圧倒的な節税メリット
- 所得税・住民税の圧縮: 不動産所得は、実際の支出を伴わない「減価償却費」を経費にできるため、帳簿上の赤字を作り出し、給与所得と合算(損益通算)することで所得税の還付を受けることができます。
- 固定資産税の軽減: 更地にアパートを建てるだけで、土地の固定資産税は最大6分の1にまで減額されます。
- 相続税対策: 現金を不動産に換えるだけで、相続税評価額を30%〜70%程度引き下げることが可能です。
1.2 見逃せない経営リスク
- デッドクロス現象: ローンの元金返済額が減価償却費を上回ると、手元に資金がないのに税金だけが増える「デッドクロス」に陥るリスクがあります。
- 空室リスクと修繕積立: 税金対策ができても、入居率が下がればキャッシュフローは悪化します。長期的な修繕計画を税務計画に盛り込む必要があります。
第2章:賃貸経営にかかる主な税金の種類と仕組み
節税を考える前に、まずは「何を、いつ、誰に払うのか」を正確に整理しましょう。
2.1 保有中にかかる税金
- 固定資産税・都市計画税: 毎年1月1日時点の所有者に課される地方税です。市町村が定める評価額に基づきます。
- 所得税・住民税: 毎年の不動産所得(家賃収入ー経費)に対して課されます。所得が高いほど税率が上がる「超過累進税率」が適用されるため、高所得者ほど節税の恩恵が大きくなります。
- 事業税: 一定の規模(一般的に5棟10室以上)を超えると、都道府県から課される税金です。
2.2 取得時・売却時・相続時のかかる税金
- 不動産取得税・登録免許税: 購入時や新築時に一度だけかかる税金です。
- 譲渡所得税: 売却して利益が出た際にかかります。所有期間が5年を超えるか否かで税率が大きく変わります。
- 相続税・贈与税: 次世代に資産を引き継ぐ際にかかります。不動産経営における最大の「節税の主戦場」です。

第3章:固定資産税・都市計画税を劇的に下げる戦略
土地を所有しているだけでかかるコストをいかに抑えるかが、利回りを左右します。
3.1 住宅用地の特例を使い倒す
更地の固定資産税は高いですが、人が住む「住宅」が建っている土地には以下の特例が適用されます。
- 小規模住宅用地(200㎡以下の部分): 固定資産税が1/6、都市計画税が1/3。
- 一般住宅用地(200㎡を超える部分): 固定資産税が1/3、都市計画税が2/3。
3.2 【具体策】土地活用と設計の工夫
- 戸数による軽減面積の拡大: 200㎡の特例は「1戸あたり」に適用されます。例えば1,000㎡の土地に1戸の豪邸を建てるより、5戸のアパートを建てる方が、全面積に対して1/6の軽減を適用でき、圧倒的に有利です。
- アスファルト駐車場からの転換: 駐車場は「更地」扱いですが、その一部に賃貸住宅を建てることで、敷地全体または大部分を「住宅用地」として評価させることが可能です。
第4章:所得税・住民税を抑える「損益通算」と「経費」の深掘り
不動産所得の計算式は「総収入金額 ー 必要経費」です。いかに「正当な経費」を漏れなく計上できるかが鍵となります。
4.1 魔法の経費「減価償却費」
減価償却とは、建物の建築費を耐用年数に応じて分割して経費にする仕組みです。
- 木造(22年)、RC造(47年): 耐用年数が短いほど、1年あたりの経費額が大きくなり、短期間で強力な節税が可能です。
- 中古物件の活用: 中古物件は耐用年数が短くなるため、短期間で大きな赤字を作り出し、本業の所得を圧縮する「節税商品」としての側面を持ちます。
4.2 損益通算のパワー
サラリーマン大家さんの場合、不動産経営の赤字(主に減価償却によるもの)を給与所得から差し引くことができます。これにより、既に源泉徴収された所得税の「還付」が受けられます。
4.3 計上漏れ厳禁の経費リスト
- 借入金利: ローン返済のうち、利息部分は経費になります(土地購入分の利息には一部制限あり)。
- 租税公課: 固定資産税、不動産取得税、印紙税など。
- 損害保険料: 火災保険や地震保険。
- 管理委託費・修繕費: 日々の管理や退去時のクリーニング代。
- 専従者給与: 家族を従業員として雇用し、給与を支払うことで所得を分散できます(青色申告が必要)。
第5章:相続税対策の「3大特例」と最新の規制
不動産は、相続対策において「最強の武器」ですが、2024年の税制改正によりルールが一部厳格化されました。
5.1 貸家建付地による評価減
自分で住んでいる土地より、人に貸している土地の方が「権利が制限されている」とみなされ、評価額が約15%〜21%下がります。さらに建物自体も、借家権割合(30%程度)が適用され、評価が下がります。
5.2 小規模宅地等の特例
賃貸用の土地(貸付事業用宅地)は、200㎡までの面積について、評価額を50%減額できます。これは非常に強力なルールです。
5.3 【重要】2024年からの「タワマン節税」規制
かつては市場価格と相続税評価額の乖離を利用し、タワーマンションの上層階を買うことで極端な節税が可能でした。しかし最新の改正では、この乖離を是正する計算式が導入され、以前ほどの劇的な効果は得られなくなりました。これからは「節税一点突破」ではなく、実質的な資産価値を重視した物件選びが求められます。

第6章:経営を最適化する「法人化(プライベートカンパニー)」
経営規模が大きくなってきたら、個人から法人へ切り替えるべきタイミングが来ます。
6.1 法人化のメリット
- 税率の固定: 個人の所得税(最大45%+住民税10%)に対し、法人税の実効税率は約30%前後で頭打ちになります。
- 所得の分散: 家族を役員にすることで、所得を分散し世帯全体の税率を下げられます。
- 経費の範囲: 生命保険料や社宅など、法人の方が経費として認められる範囲が広がります。
6.2 法人化の損益分岐点
一般的には、不動産所得が800万円〜1,000万円を超えたあたりが法人化の検討ラインと言われます。設立費用や社会保険料の負担増を考慮しても、法人の方が残るお金が多くなるからです。
第7章:成功のための出口戦略と納税準備
賃貸経営の「勝利」は、売却して現金を手にするか、無事に次世代に引き継いだ時に確定します。
7.1 長期譲渡と短期譲渡
物件を売却する際、所有期間が5年を超えると「長期譲渡所得」となり、税率が約20%に下がります。逆に5年以内(短期譲渡)だと約39%もの税金がかかります。売却時期の見極めは、経営判断において最も重要な要素の一つです。
7.2 納税資金の確保
節税ばかりを優先し、キャッシュをすべて物件購入に回すと、いざ相続が発生した際に「不動産はあるが、相続税を払う現金がない」という事態に陥ります。これを防ぐため、生命保険の活用や、計画的な現金の蓄積が必要です。
まとめ:プロのアドバイスを武器にする
不動産賃貸経営における税務は、毎年のように変化する法律や、個人の資産状況によって正解が異なります。
- 早期の計画立案: 相続は「発生してから」では遅すぎます。10年前、20年前からの準備が数千万円の差を生みます。
- 専門家ネットワーク: 収益性に強い不動産会社、税務に強い税理士、登記のプロである司法書士と連携しましょう。
次のステップへのご案内
本稿では全体像を解説しましたが、個別の土地診断や、現在の所得に基づいた節税シミュレーションはより専門的なアプローチが必要です。
「自分の持っている土地でアパートを建てた場合、具体的に年間いくらの節税になるのか?」 「今の年収で不動産を買った場合、還付金はいくら戻ってくるのか?」
具体的な数字に基づいたシミュレーションの作成も可能です。ぜひ一度、専門のコンサルタントによる個別相談をご検討ください。
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