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コロナ禍が賃貸住宅市場に与えた影響と賃貸ニーズの変化

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2022.10.01
  • 賃貸経営得情報

2020年から始まったコロナ禍は、世界中に大きな混乱をもたらし、未だに終息の見通しは立っていません。

ただし、私たちの日常生活や経済活動は、ようやく徐々に正常化に向かいつつあるようです。

しかしコロナ禍は、賃貸住宅市場にもさまざまな影響や変化もたらしました。

そこで、

■コロナ禍が賃貸住宅市場に与えた影響

■コロナ禍による賃貸住宅ニーズの変化

■コロナ禍による賃貸住宅市場の今後の動向

■コロナ禍による賃貸経営の変化

について解説します。

コロナ禍によって、賃貸住宅市場にどんな影響があったのか知りたい」

社会情勢の変化に対応した賃貸経営をおこないたい

と考えている大家さんは、ぜひ参考にしてください。

コロナ禍が賃貸住宅市場に与えた影響

公益財団法人日本賃貸住宅管理協会の調査によれば、コロナ禍による賃貸住宅経営へのおもな影響は

1.家賃滞納率の上昇

2.クレーム・家賃の値下げ要求・解約の増加

となっています。

1.家賃滞納率の上昇

コロナ禍により、賃貸住宅の家賃滞納発生率は全国平均で0.9%から1.1%に上昇し、件数ベースでは約20%増加しました。

画像出典:公益財団法人日本賃貸住宅管理協会|2020年下期賃貸住宅景況調査

コロナ禍の家賃滞納を救う「住宅確保給付金」とは

コロナ禍で困窮する人の家賃負担を助成するために、厚生労働省は「住居確保給付金」の支給要件緩和・期間延長などをおこなっています。

「住居確保給付金」では、一定要件を満たした人の家賃相当額が、原則3ヶ月~最大9ヶ月分(※)助成されます。

(※2022年12月までは最大12ヶ月分まで延長可能予定)

家賃相当額は、自治体から大家さんに直接支給されるため、家賃滞納・解約といった大家さんの賃貸経営リスクも救う制度といえます。

【住居確保給付金のおもな特徴】

対象者 ・離職・廃業から2年以内の人
・休業等により収入が減少している人
・世帯収入合計額が基準値以下の人 等
おもな要件 ハローワークで求職活動を行なっていること 等
助成内容 ・家賃相当額が3ヶ月間支給される
 (※自治体から大家に直接支給される)

・申請は2回まで延長可能で、最大9ヶ月間支給
 ( ※2022年12月までは最大12ヶ月まで延長可能)
支給額の例 東京23区内で3人世帯であれば、月額約7万円が上限

全国社会福祉協議会の調査によると、住居確保給付金の利用者数は、コロナ前の2019年には年間4,000件でした。

ただし、コロナ禍が発生した後は、2020年4〜10月の半年間で約11万人に激増しました。

年率換算すれば、住居確保給付金の利用者は、コロナ禍前の約60倍に膨らんだことになります。

家賃滞納が起こったときの5つの対応。裁判から時効まで徹底解説

2.クレーム・家賃の値下げ要求・解約の増加

コロナ禍が発生後は、クレームや問い合わせ・家賃の値下げ要求などの件数が増加しました。

また、コロナ禍直後の2020年上期には、賃貸契約の解約も急増しました。

画像出典:公益財団法人日本賃貸住宅管理協会|2020年下期賃貸住宅景況調査

コロナ禍後に増加したクレームや問い合わせの詳細は不明ですが、コロナ禍後の傾向から見れば、家賃の支払いの滞納・猶予などに関するものが多数を占めると思われます。

賃貸管理はクレーム対応が8〜9割!大家さんのベストなクレーム対応法とは

コロナ禍による賃貸住宅ニーズの変化

コロナ禍は、賃貸住宅市場のニーズにも変化を及ぼしています。

おもな変化として

1.オンライン内見ニーズの増加

2.テレワーク対応の設備ニーズの増加

3.単身者の利用が減少

4.駅近より間取りの広さを重視

があげられます。

1.オンライン内見ニーズの増加

コロナ禍によって対人接触を避けるため、オンライン内見のニーズが増加するとともに、導入する不動産仲介事業者も増加しました。

オンライン内見は、物件を実際に見ることができないので、得られる情報が限られます。

ただし、VR(バーチャルリアリティ)技術の発展により、物件内部を360度のパノラマ映像で提供することもできるようになりました。

また、ストリートビューを併せて提供すれば、物件の近隣の様子をネットで見ることもできるので、入居者が得られる情報は格段に増えます。

オンライン内見は、対人接触を減らすだけでなく、転勤などで遠方に居住する人にとって利便性が高く、今後さらなる導入・発展が見込まれます。

2.テレワーク対応の設備ニーズの増加

2022年4月に公益社団法人日本生産性本部が行った調査によれば、テレワークの実施率は

・全企業:20%超

・従業員数1,000名超の大企業:33%

になっています。

また、

・テレワークによって業務の効率が上がったと答えた人:60%超

・テレワークに満足していると答えた人:84%

となっています。

テレワークを肯定的に考える人の割合は年々増加しており、新しい働き方として定着し、テレワーカーは今後も増加していくでしょう。

参考:公益財団法人 日本生産性本部|新型コロナが働く人の意識に及ぼす影響を継続調査~第9回「働く人の意識調査」

これらの調査によれば、テレワークを行うための課題として挙げられているのは

・物理的環境の整備部屋、机、椅子、照明、部屋の遮音性など)

・自宅での執務環境の整備Wi-Fiなどの通信環境

が主です。

テレワークが普及するにつれて、賃貸住宅にはこうしたニーズに応えるための

・インターネット環境

・遮音性

・ワークスペースなどの間取り

といった設備が必要になるでしょう。

実際に、コロナ禍によって賃貸住宅の人気設備ランキングでは、高速インターネット回線遮音性の高い窓などのニーズが高くなっています。

■賃貸住宅の人気設備ランキング

順位 2019 2021
1 インターネット無料 インターネット無料
2 エントランスのオートロック 高速インターネット回線
3 宅配ボックス 宅配ボックス
4 浴室換気乾燥機 TVモニター付きインターホン
5 ホームセキュリティー 遮音性の高い窓
6 独立洗面台 BS・CSアンテナ
7 24時間利用可能ゴミ置き場 浴室換気乾燥機
8 ウォークインクローゼット エントランスのオートロック
9 ガレージ 防犯カメラ
10 追い炊き機能 24時間利用可能ゴミ置き場

参考:全国賃貸住宅新聞

アパート経営のインターネット導入費用とネット無料を収益化する3つの方法

大家さん必見!アパート無料Wi-fiとは?設置工事やおすすめ業者3選

3.単身者の利用が減少

コロナ禍によって、企業は新規採用や転勤を見送ることが増えました。

また、単身赴任のために企業が、単身者向け賃貸物件を契約することも少ないです。

4.駅近より間取りの広さを重視

コロナ禍によってテレワークのほかに、大学もオンラインによる授業を取り入れています。

そのため、通勤や通学のために電車などの公共交通の利用頻度が少なくなりました。

自宅で過ごす時間が増えていることから、より快適に過ごせるよう人気の間取りにも変化があります。

同棲中のカップルや夫婦の二人暮らしであれば、1LDKあれば充分ですが、

・テレワーク

・オンラインによる授業

にて、机やパソコン、資料などを自宅に置く必要があることから、1LDKでも手狭に感じるようになりました。

さらに仕事や授業に集中できるように、もう1部屋個室を追加して2LDKや2DKの需要が高くなっています。

Withコロナ 賃貸住宅市場の今後の動向

世界中に大きな混乱をもたらしたコロナ禍ですが、日本もようやく正常化に向かっています。

日本国内でも対人接触を減らすために、行われてきたさまざまな制限が緩和されているんです。

たとえば、外国からの入国制限。

外国から新規で入国できない時期もありましたが、令和4年10月11日からは入国制限が無くなりました。

そこで、今後の賃貸住宅市場で需要が期待される

・単身者向け賃貸住宅

・外国人向け賃貸住宅・シェアハウス

について解説します。

単身者向け賃貸住宅

コロナ禍により、大打撃を受けた全日本空輸株式会社は、3年ぶりに新卒採用を再開しました。

他企業においても、コロナ禍からの需要回復や人手不足解消を目的に採用が再開されています。

多くの企業が新卒採用を再開していることから、新社会人向けに単身者の賃貸住宅需要が期待できます。

また、文部科学省は2022年から大学へ対面授業を実施するよう通知しました。

今までオンラインによる授業が中心となっていたことから、実家で生活していた大学生も大学近くへ住むことが予想されます。

再び大学生の賃貸住宅需要も期待されます。

シェアハウスや外国人向け賃貸住宅

一般社団法人日本シェアハウス連盟は、令和4年5月以降のシェアハウスに関する問い合わせが増加傾向にあると分析しています。

問い合わせの増加要因は、入国制限が緩和された外国人留学生からの入居希望によるものです。

シェアハウスの最大の特徴は、家賃が安いこと。

外国人留学生にとって、他の居住者とのコミュニティも確保できることから人気の物件となっています。

また、人手不足を解消するために外国人従業員を受け入れる企業が増えています。

今後は、経済活動の回復に伴い外国人従業員も増えることが予想され、賃貸住宅需要も付随して需要が回復していくことが期待できます。

参考:全国賃貸住宅新聞

コロナ禍における賃貸経営の変化

コロナ禍によって対人接触の減少を図るため、様々な業界でテレワークの導入が推奨され、デジタル化の推進が国策となりました。

これにより、様々な業務のオンライン化・デジタル化が加速し、その一環として2022年5月から賃貸契約の電子契約化が開始されました。

こうしたトレンドは、デジタル化技術の発展と相まって、賃貸経営に関する業務の迅速化やリモート化が普及・促進されていくでしょう。

不動産取引の電子契約とは? 賃貸オーナーの3つのメリットや注意点

まとめ

コロナ禍によって、社会経済は混乱し、私たちの生活は大きな打撃を受けました。

賃貸住宅市場も、家賃滞納率や解約件数が上昇するなどの影響を受けています。

一方で、コロナ禍は、テレワークの普及を促し、デジタル化・オンライン化の推進をもたらしました。

今後の賃貸経営においては、こうした賃貸住宅ニーズや賃貸経営の変化・変革に機敏に対応していくことが求められます。

テレワーク普及による「賃貸ニーズの変化

→オンライン内見ニーズの増加

→インターネット設備、部屋の遮音性、ワークスペースなどの人気上昇

デジタル化による「賃貸経営の変化

→不動産取引の電子契約解禁

大きく変化する社会情勢に柔軟に対応しながら、安定した賃貸経営を続けていきましょう。

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