アパート経営にかかる8種類の税金| 節税対策のポイントは?
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- 賃貸経営得情報
東京で賃貸管理業をおこなう(株)アブレイズパートナーズです。
賃貸アパート経営には、様々な費用がかかります。
なかでも「税金」は、それらの費用の中で大きなウエイトを占めています。
・土地や建物の取得
・アパート経営の収益
・アパート経営の維持
・アパート経営の相続
・アパートの売却
に至るまで、あらゆる場面で「税金」が関わっているのです。
健全なアパートを行うには、
・どのような場面で
・どのような税金が
・どの程度必要になるか
を予め知っておくことが重要です。
それによって、計画的な納税準備や節税が可能になり、健全なアパート経営を長期間行うことができます。
ここからは、アパート経営に関わる8種類の税金についてお伝えします。
アパート経営にかかる8種類の税金
アパート経営にかかる税金は次の8種類です。
1.不動産取得税
2 .登録免許税
3 .所得税
4 .住民税
5 .個人事業税
6 .固定資産税
7 .消費税
8 .相続税
アパート経営の初期費用にかかる税金
不動産取得税と登録免許税は、アパートを建築したり、登記したりする際に必要な税金です。
不動産取得税
不動産取得税は土地を取得したり、建物を建設したりする際に課税される税金です。
税額は、固定資産評価額の3%〜4%になっています。
課税標準となる土地や建物の固定資産評価額は、自治体が定めており、取得費用や建築費と同額ではありません。
また、アパートを新築したり購入したりする場合は、床面積などに応じて、不動産取得税を減免する措置が設けられています。
登録免許税
登録免許税は、売買した土地・建物を登記する際に必要な税金です。
不動産を取得し、所有権移転登記を行った場合の税額は固定資産評価額の2%。
新築した建物の保存登記を行う場合の税額は固定資産税評価額の0.4%となっています。
固定資産評価額は、不動産取得税と同様に自治体によって異なります。
アパートの経営・維持に必要な費用はいくら?
アパート経営の収益にかかる税金
アパート経営の収益にかかる税金は、所得税・住民税・個人事業税です。
所得税
所得税は、所得金額に応じた税率にて算定されます。
所得金額 |
税率 |
195万円まで |
5% |
195万円から330万円まで |
10% |
330万円から695万円まで |
20% |
695万円から900万円まで |
23% |
900万円から1,800万円まで |
33% |
1,800万円から4,000万円まで |
40% |
4,000万円から |
45% |
アパート経営による所得は「不動産所得」とよばれ、アパート経営の収入から必要経費を差し引いた金額となります。
また所得税は、不動産所得だけでなく、給与所得など他の所得と合算して課税されます。
給与以外の年間所得(不動産所得や雑所得など)が20万円を超える場合は、確定申告が必要です。
不動産所得の算出1:アパート経営による「収入」
アパート経営による収入には、入居者から受け取る家賃・敷金・礼金・更新料などの全てが含まれます。
さらに、アパートを維持する共益費や、駐車場代、アパートの敷地内に設置した自販機の売上なども不動産収入に含まれます。
不動産所得の算出2:アパート経営による「経費」
アパート経営の必要経費に算入されるのは、次の費用です。
1.租税公課
不動産取得税や登録免許税、固定資産税などアパート取得や維持に必要な税金。
2.ローンの利息
アパートローンなど、土地取得や建物建築に必要な借入金の利息は必要経費になります。
ローンの返済額のうち、借入元本に相当する部分は必要経費にならないので注意が必要です。
3.共用部の水道光熱費
アパートの共用部を維持するために必要な水道光熱費や清掃費は、必要経費になります。
また、入居者に提供しているWiFi回線の使用料なども含まれます。
4.建物・設備の減価償却費
RC造りのアパートの税法上の耐用年数は47年とされており、建築費の2.2%を47年間にわたって、毎年減価償却費として経費に参入できます。
また、木造アパートの耐用年数は22年とされているので、建築費の4.6%を減価償却費として計上できます。
アパートを購入した場合に、減価償却の対象となるのは建物の価格だけで、土地の価格は減価償却の対象になりません。
ただし、中古のアパートを購入した場合は、土地と建物の価格が区分されていないことがあります。
こうした場合は、中古アパートの建物価格を推定して減価償却を行うことが必要です。
中古アパートの購入価格に占める建物の割合を推定するには、土地・建物の固定資産税評価額によって按分する必要があります。
5.修繕費
入居者が退去後の原状回復費用や、共用部の補修や照明の交換など、アパートの維持管理に必要な費用や、災害で壊れた設備の修理費用は、支出した年の経費に参入できます。
ただし、耐震工事や美観維持など、建物の資産価値を向上するための支出は、資本的支出になり、耐用年数に応じて減価償却の対象になります。
修繕費として必要経費に算入できるのは
・1つの修理、改良などの金額が20万円未満のとき
・3年以内を周期として行われる修理、改良などであるとき
に該当する場合です。
(参考:国税庁「よくある税の質問」)
6.賃貸管理会社に払う手数料
管理委託契約に基づいて賃貸管理会社に支払う管理手数料は必要経費に算入されます。
7.火災保険料
建物や設備に付帯した火災保険料は、必要経費に算入されます。
ただし、経費になるのは掛け捨て部分の保険料だけで、満期返戻金がある保険の積立部分は経費になりません。
8.その他の費用
アパート経営にかかる事務費や消耗品代、通信費、税理士報酬なども必要経費に算入できます。
不動産所得は赤字の時こそ、確定申告がお得
不動産所得は常に黒字になるわけではなく、収入から必要経費を差し引くと、赤字になる場合があります。
不動産所得は他の所得と損益が通算されるので、赤字額は他の所得から控除できます。
そのため、不動産所得が赤字のときに確定申告をすると、所得税が還付され、節税になります。
初めてでもわかるアパート経営の確定申告!必要書類や経費の落とし方は?
住民税
確定申告にて算定した所得の10%が、住民税として翌年に徴収されます。
住民税率は、所得金額に左右されません。
多くの自治体で住民税は、10%の税率となっています。
個人事業税
不動産賃貸業を営む事業者は、所得の5%が個人事業税として徴収されます。
ただし、個人事業税には290万円の控除があるため、不動産所得が290万以下であれば課税対象になりません。
アパート経営の維持にかかる税金
アパートの維持に必要なのは、固定資産税・消費税です。
アパートの経営・維持に必要な費用はいくら?
固定資産税
賃貸アパートの土地・建物には、固定資産税が課され、毎年自治体が定めた土地・建物の評価額の1.4%が徴収されます。
ただし、固定資産税は、土地・建物の用途や種類、広さなどによって様々な軽減措置が設けられています。
賃貸アパートでは、住宅用地の軽減措置を受けることができます。
これにより
・土地の固定資産税は評価額の6分の1
・建物の固定資産税は評価額の2分の1(築後3年間)
が減税となります。
消費税
家賃や敷金・礼金・更新料や共益費などアパート経営に関する収入の大半は、消費税が非課税なので、オーナー様は、消費税を納税する必要はありません。
ただし、アパートの維持管理に必要な委託管理費や補修費には消費税が含まれています。
将来税率がアップすれば、これらの維持費も値上がりするため収益が減り、家賃の値上げが必要になることがあるでしょう。
アパート経営の相続にかかる税金
アパートの維持に必要なのは、相続税です。
アパート相続で知っておきたい4つの分割方法と税金
相続税
相続税はアパートを継承した時、または親族に継承させる場合に必要な税金です。
相続税は、被相続人が死亡した時から、10か月以内に現金で納付する必要があります。
そのため不動産など換金性が低い資産を相続すると、相続税の捻出に苦労したり、相続割合で親族間のトラブルが発生したりすることがあります。
スムーズな事業継承と相続のためには、予め相続税に相当する現預金を用意しておくか、被相続人が終身生命保険に加入しておくことが必要です。
経営しているアパートを売却したときにかかる税金
経営しているアパートを売却した際の、所得に対しても
・所得税
・住民税
が徴収されます。
アパートを売却した際の所得は、売却費から必要経費となる
・建築費および購入費
・仲介手数料
・印紙税
・登記費用
・クリーニング費用
・修繕費用
などを除いた金額です。
アパートを売却した際の所得は、譲渡所得になります。
譲渡所得は、黒字ではなく赤字となった場合でも、ほかの不動産所得や給与所得との損益通算はできません。
(参考:国税庁「不動産を譲渡して譲渡損失が生じた場合」)
アパートの建築費や購入費が不明の場合は?
相続によりアパートを所有した場合に、建築費および購入費がわからないというケースもあります。
アパートの建築費や購入費がわからない場合は、売却費の5%が必要経費に算入されます。
アパートを所有していた期間で税金が変わる
アパートを売却した年の1月1日を基準として、所有期間が
・5年未満
・5年以上
によって、所得税と住民税の税率が変わります。
5年未満の場合:所得税+住民税の約39%
5年以上の場合・所得税+住民税の約20%
となります。
アパート経営で税金を安く抑えるポイント
健全なアパート経営を行うためにも、税金を安く抑えたいオーナー様も多いですよね。
アパート経営で節税につながるポイントをご説明します。
青色申告にて確定申告をおこなう
青色申告の最大の特徴は、最大65万円の青色申告特別控除が受けられることです。
65万円の特別控除のほかにも、
・アパート経営に専ら従事する家族従業員への給与が必要経費になる
・アパート経営に損失がでた分を翌年以後3年間にわたって必要経費にできる
などがあります。
青色申告にて確定申告をおこなう場合は、税務署へ事前に青色申告承認申請をしなければなりません。
また、青色申告にて確定申告をおこなう際は、
・アパート経営の取引を複式簿記により記帳している
・賃借対照表および損益計算書を確定申告書に添付する
などの要件があります。
大規模修繕の費用は減価償却費として必要経費にする
アパートの価値や耐久性を高める大規模修繕の費用は、資本的支出となり減価償却費として必要経費になります。
減価償却費とすることで、工事の翌年以降に修繕がない場合でも、必要経費に算入が可能。
複数年にわたり、必要経費となるので税金を安く抑えられます。
大規模修繕の具体的な内容としては、
・屋上の防水工事
・外壁塗装
・エレベーターの交換工事
・給排水設備の更新
などがあります。
賃貸アパートの大規模修繕はいつ何をすれば良い?費用相場も解説
減価償却費として必要経費にするシミュレーション
給排水設備の更新工事を減価償却費として計算するシミュレーションをご説明します。
アパートの給排水設備をすべて更新する工事を行なったケース。
給排水設備の更新費用は、総額150万円。
国税庁が公表している「主な原価償却資産の耐用年数表」によると、給排水設備の耐用年数は15年。
「減価償却資産の償却率等表」を確認すると、耐用年数が15年の償却率は0.067です。
150万円を0.067の割合で減価償却するため、毎年約10万500円が15年間にわたり、必要経費となります。
(参考:国税庁「減価償却のあらまし」)
まとめ
アパート経営には、下記のような税金がかかります。
・初期費用にかかる税金…不動産取得税・登録免許税
・収益にかかる税金…所得税・住民税・個人事業税
・維持にかかる税金…固定資産税・消費税
・相続にかかる税金…相続税
・売却にかかる税金…所得税・住民税
アパート経営は、税金の影響を大きくうけます。
たとえば空室が増えて収益が悪化すれば、納付する所得税は減ります。
しかし固定資産税は、収益に関係なく、毎年一定額を納付する必要があります。
さらに大都市部のアパートは、小規模な物件でも土地の評価額が高いので、固定資産税や相続税が高いという特徴もあります。
これらの税金の内容や特徴をしっかり理解して、健全な賃貸経営をおこないましょう。
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