はじめに
賃貸経営において「家賃を上げる」というのは、単なる値上げではありません。 “価値を上げた結果として、適正な家賃を設定できるようになる”という意味です。
しかし、築年数が経過した物件や競合が多いエリアでは、 「家賃を上げるなんて無理では?」 と感じるオーナーも少なくありません。
実際には、適切な投資と戦略を取れば、築古物件でも家賃1万円アップは十分に可能です。
本コラムでは、実際に家賃1万円アップを実現した成功事例をもとに、 オーナーが今日から実践できるポイントを解説します。
家賃アップは“奇跡”ではなく“設計”で実現できる
家賃アップが難しいと言われる理由
多くのオーナーが家賃アップを諦めてしまう背景には、次のような誤解があります。
- 築年数が古いから無理
- 周辺相場が決まっているから無理
- 原状回復だけで十分だと思っている
- リフォーム費用が回収できるか不安
しかし、実際の成功事例を見ると、 “相場を上回る価値をつくる”ことで家賃アップは実現しています。

成功事例|築25年1Kで家賃1万円アップを実現したケース
ここでは、実際にあったケースをもとに、 「どのように家賃1万円アップが実現したのか」を具体的に解説します。
物件概要
- 築年数:25年
- 間取り:1K(20㎡)
- エリア:駅徒歩10分
- 退去前家賃:6.0万円
- 周辺相場:6.0〜6.3万円
この物件は、周辺相場から見ても“家賃アップは難しい”と判断されがちな条件でした。
課題の整理
退去後の室内を確認すると、以下の課題がありました。
- 設備は古く、見た目の印象が弱い
- 収納が少なく、生活動線が悪い
- 写真映えしないため、ネット反響が伸びない
- 競合物件との差別化ができていない
つまり、“選ばれない理由”が明確に存在していたのです。
実施したリフォーム内容と費用
費用対効果を最大化するための“最小限+α”戦略
家賃アップを狙う際に重要なのは、 「全部を新しくする」のではなく「入居者が価値を感じる部分だけ改善する」ことです。
今回実施したのは以下の4点です。
① 宅配ボックスの設置(共用部)
- 費用:約12万円
- 効果:単身者の必須設備化
- 理由:ネット通販利用者の増加により、反響率が大幅に上がる
宅配ボックスは「家賃アップに直結する設備」として近年最も効果が高い投資のひとつです。
② 独立洗面台への交換
- 費用:約8〜12万円
- 効果:検索条件にヒットしやすくなる
- 理由:単身者でも“独立洗面台必須”が増加
検索条件で「独立洗面台」をONにする入居者が増えているため、 反響数が2倍以上になるケースも珍しくありません。
③ アクセントクロス+照明交換
- 費用:約3万円
- 効果:写真映え・内見時の印象アップ
- 理由:低コストで“おしゃれ感”を演出できる
アクセントクロスは、費用対効果が非常に高いリフォームです。 特にZ世代・20代の入居者は“写真映え”を重視する傾向があります。
④ 室内物干し(ホスクリーン)設置
- 費用:約1.5万円
- 効果:雨の日の洗濯問題を解決
- 理由:女性入居者の満足度が高い

リフォーム後の家賃設定と反響の変化
家賃設定
- 旧家賃:6.0万円
- 新家賃:7.0万円(+1万円)
- 管理会社の査定:6.8〜7.0万円が妥当
周辺相場を超える設定でしたが、 設備価値と見た目の印象が相場を上回ったため、強気の設定が可能になりました。
反響の変化
リフォーム前後で反響は以下のように変化しました。
| 項目 | リフォーム前 | リフォーム後 |
|---|---|---|
| ネット反響数 | 8件 | 23件 |
| 内見数 | 2件 | 6件 |
| 申込までの期間 | 45日 | 12日 |
反響が約3倍に増え、申込までの期間は1/4に短縮。
家賃アップだけでなく、空室期間の短縮にもつながりました。
なぜ家賃1万円アップが実現したのか
理由① 入居者が“価値を感じる設備”に投資したから
宅配ボックス・独立洗面台は、 単身者にとって「あると嬉しい」ではなく「ないと選ばれない」設備になりつつあります。
理由② 写真映えを意識した内装にしたから
アクセントクロスや照明交換は、 ネット反響を増やすための最もコスパの良い投資です。
理由③ 競合物件との差別化が明確だったから
同じ家賃帯の物件と比較したとき、 「この部屋のほうが便利でおしゃれ」と感じてもらえる状態を作れたことが決め手でした。

家賃アップを狙うオーナーが押さえるべき3つのポイント
① “入居者の検索条件”を理解する
- 独立洗面台
- 宅配ボックス
- インターネット無料
- 写真映えする内装
これらは反響を増やすための重要な要素です。
② “費用対効果の高い場所”に絞って投資する
すべてを新しくする必要はありません。 入居者が価値を感じる部分だけ改善するのがポイントです。
③ 競合物件を必ずチェックする
家賃アップは“相場無視”ではなく、 相場を上回る価値を提供することで初めて成立します。

まとめ|家賃1万円アップは十分に狙える
今回の成功事例からわかるように、 家賃アップは「築年数」ではなく「価値づくり」で決まります。
- 宅配ボックス
- 独立洗面台
- アクセントクロス
- 室内物干し
これらのように、 入居者が“選ぶ理由”になる設備を整えることで、 家賃1万円アップは現実的な目標になります。
あなたの物件でも、 「どこに投資すれば家賃アップが狙えるのか」 という視点で見直すだけで、大きな成果につながります。
