値下げの前に大家さんがやるべき、すぐにできる空室対策完全ガイド|アパート経営・マンション経営の知識
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- リフォーム・原状回復
目次
はじめに
「もう3ヶ月も空室が続いている…」「競合物件は家賃を下げて募集しているらしい…」
所有する物件に空室が続くと、オーナー様の心には焦りが生まれ、「いっそのこと家賃を下げてしまおうか」という考えが頭をよぎるものです。そのお気持ちは痛いほどよく分かります。しかし、どうかその決断を下す前にもう一度立ち止まってください。安易な家賃の値下げは、賃貸経営における「劇薬」であり、長期的に見てご自身の首を絞めることになりかねないのです。
一度下げた家賃を再び上げることは、入居者がいる限り非常に困難です。それは目先の空室が埋まったとしても、将来にわたる収益の低下を意味します。さらに、「安い物件」というレッテルは物件全体の価値を下げ、優良な入居者を遠ざける原因にもなり得ます。
家賃の値下げは、あらゆる対策を講じてもなお、空室が埋まらない場合の最終手段。その前に、知恵と工夫でできることは無数にあります。本記事では、多額のコストをかけず、明日からでもすぐに実践できる具体的な空室対策を、オーナー様の強力な武器となるよう、徹底的に解説していきます。
なぜあなたの物件は空室なのか?まずは「原因分析」から始める
効果的な対策を打つためには、まず「なぜ空室が埋まらないのか」という根本原因を正確に把握する必要があります。闇雲に対策を打っても、時間と労力が無駄になるだけです。原因は大きく分けて「物件そのもの」「募集条件」「情報発信」の3つの側面に隠されています。
視点1:物件そのもの(ハード面)は魅力的か?
入居希望者が内見に訪れた際、最初に目にするのは物件そのものです。ここで「がっかり」させてしまっては、成約には至りません。
- 第一印象は清潔感で決まる:意外と見落としがちなのが、エントランスや廊下、集合ポスト、ゴミ置き場などの共用部です。雑草が生い茂り、チラシが散乱しているような物件に「住みたい」と思う人はいません。室内はもちろんのこと、建物全体に清潔感が漂っているか、厳しくチェックしましょう。
- 室内の「見えない部分」まで目を配る:ハウスクリーニング済みであっても、内見者の視点はシビアです。キッチンシンクや蛇口の水垢、浴室の隅のカビ、窓のサッシのホコリ、収納内部の臭いなど、細部まで徹底的に清掃が行き届いているか確認してください。特に水回りの清潔感は、物件の印象を大きく左右します。
- 時代遅れの設備が足を引っ張っていないか:例えば、洗濯機置き場が屋外にしかなかったり、お風呂がバランス釜だったり、エアコンが未設置だったりすると、それだけで敬遠される可能性があります。和室も、現代のライフスタイルでは好みが分かれるポイントです。
視点2:募集条件(ソフト面)は適正か?
物件に問題がなくても、募集条件が市場のニーズとずれている場合があります。
- 家賃設定の再検証:ご自身の物件の家賃が、周辺エリアの同じような築年数、広さ、設備の競合物件と比較して高すぎないか、客観的に見直しましょう。不動産ポータルサイトで近隣の物件を検索すれば、おおよその相場は把握できます。
- 高すぎる初期費用:家賃が相場通りでも、敷金・礼金が高額に設定されていると、入居のハードルは一気に上がります。特に引っ越しシーズンを過ぎると、入居者はできるだけ初期費用を抑えたいと考える傾向が強まります。
- 厳しすぎる入居条件:「ペット不可」「楽器不可」「事務所利用不可」「二人入居不可」など、条件を厳しくすればするほど、ターゲットとなる入居者の数は減っていきます。エリアの特性や物件のターゲット層を考慮し、本当に必要な条件か見直すことも重要です。
視点3:情報発信(マーケティング面)は十分か?
どんなに素晴らしい物件でも、その魅力が入居希望者に伝わらなければ意味がありません。
- 「写真の質」がすべてを決める:今の時代、入居希望者のほとんどは、まずスマートフォンやパソコンで物件情報を検索します。そこで魅力的でない写真しか掲載されていなければ、クリックされることすらなく、内見の候補にすら上がりません。暗い、画質が悪い、部屋が散らかって見える、写真の枚数が少ない、といった状態は論外です。
- 魅力が伝わらない説明文:「駅徒歩5分、南向きで日当たり良好」といったありきたりの説明文では、数多ある物件情報の中に埋もれてしまいます。物件の「売り」は何なのか、どんな人に住んでほしいのかが伝わる言葉でアピールできているでしょうか。
- 仲介会社との連携不足:募集を依頼している仲介会社の担当者は、あなたの物件の魅力を本当に理解し、熱意をもってお客様に紹介してくれているでしょうか。ただ物件情報を登録しているだけでは、その他大勢の物件の一つとして扱われてしまう可能性があります。
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原因分析ができたら、いよいよ具体的な対策の実行です。まずは、費用をほとんどかけずに、すぐに取り組める7つの方法をご紹介します。
1. 徹底的な清掃で「内見力」を劇的に上げる
「清掃済み」と「感動レベルの清潔感」は全くの別物です。内見は、入居希望者がその部屋での新生活を具体的にイメージする大切な機会。ここで「うわ、きれい!」というポジティブな驚きを与えることができれば、成約率は格段に上がります。
- プロの視点でチェック:オーナー様ご自身で、内見者になりきって部屋の隅々までチェックしてください。
- 玄関:ドアノブはピカピカか?たたきに砂やホコリは落ちていないか?靴箱の中に嫌な臭いはないか?
- 水回り:キッチンシンク、洗面台、浴室の蛇口は、自分の顔が映るくらい磨き上げられていますか?鏡に水垢はついていませんか?排水溝はきれいで、臭いはありませんか?
- 窓・ベランダ:窓ガラスは透明ですか?サッシのレールに黒い汚れは溜まっていませんか?ベランダに枯れ葉やゴミは落ちていませんか?
- 収納:クローゼットや押し入れの扉を開けてみてください。カビ臭かったり、ホコリが溜まっていたりしませんか?
- 共用部も忘れずに:前述の通り、共用部の美観は物件全体の価値を左右します。定期的に掃き掃除や拭き掃除を行い、切れた電球はすぐに交換しましょう。集合ポストに不要なチラシが溜まっていれば処分し、ゴミ置き場が常に整理整頓されている状態を維持することが重要です。
2. 「写真の撮り方」を変えるだけで反響は倍増する
不動産ポータルサイトは、物件の「顔」です。特に写真は、入居希望者が最初に目にする最も重要な情報。プロのカメラマンに頼まなくても、ちょっとしたコツで写真は見違えるほど魅力的になります。
- スマホでプロ並みに撮るコツ:
- とにかく明るく:天気の良い日の日中に撮影するのが基本です。室内の照明はすべて点灯させ、スマートフォンのカメラアプリの露出(明るさ)補正機能で、少し明るすぎるくらいに調整しましょう。
- 水平・垂直を意識する:柱や壁のラインが地面と垂直、床や天井のラインが水平になるように構えるだけで、写真は安定感のあるプロのような仕上がりになります。カメラのグリッド線表示機能を活用しましょう。
- 部屋の角から対角線上に撮る:部屋が最も広く見えるアングルです。できるだけ低い位置から、少し見上げるように撮ると、天井が高く見え、開放的な印象になります。
- 片付けは徹底的に:生活感のあるものはすべて片付け、モデルルームのようなスッキリとした空間で撮影します。
- 広角レンズを活用する:スマートフォンの広角モードや、数百円から購入できるクリップ式の広角レンズを使うと、狭い空間でも全体を写すことができ、部屋が広く見えます。
- 写真の枚数は多く、多角的に:リビング、各居室、キッチン、バス、トイレ、収納、ベランダからの眺望、外観、エントランス、宅配ボックスなど、最低でも20枚以上は掲載しましょう。様々な角度から撮影することで、入居希望者はより具体的に物件のイメージを掴むことができます。
3. 響く「言葉」で物件の魅力をストーリーとして伝える
写真で興味を引いたら、次はキャッチコピーと説明文で心を掴みます。ターゲットとなる入居者像(例:都心勤務の20代単身女性、新婚カップル、小さな子供のいるファミリーなど)を明確に設定し、その人に語りかけるように文章を作成しましょう。
- 抽象的な表現を具体的にする:
- (NG)日当たり良好 → (OK)「南向きの大きな窓から、毎朝気持ちの良い朝日が差し込むリビングです」
- (NG)駅近で便利 → (OK)「JR〇〇駅の改札まで実測で徒歩5分!雨の日もほとんど濡れずに帰宅できます」
- 数字と固有名詞で信頼感を出す:
- (NG)スーパーが近い → (OK)「24時間営業の『〇〇スーパー』まで150m。仕事帰りの買い物にも困りません」
- ライフスタイルを提案する:
- 「週末は、物件のすぐ裏にある〇〇公園の緑道をジョギングしたり、おしゃれなカフェ『△△』でブランチを楽しんだり。オンもオフも充実する暮らしが、ここで待っています」
- デメリットはメリットに転換する:
- (例)駅から少し遠い → 「駅前の喧騒から離れた、静かで落ち着いた住環境です。窓を開ければ鳥のさえずりが聞こえます」
4. 募集条件の「柔軟性」で門戸を広げる
物件や情報発信に問題がない場合、募集条件がネックになっている可能性があります。家賃そのものを下げる前に、初期費用やその他の条件を緩和することで、入居のハードルを下げることができます。
- 敷金・礼金ゼロ(ゼロゼロ物件):特に引越しの閑散期において、「初期費用が安い」という点は絶大なアピールポイントになります。退去時の原状回復費用が心配な場合は、保証会社への加入を必須にしたり、クリーニング費用を特約で定めたりする対策を併用しましょう。
- フリーレントの導入:入居後、一定期間(例:1ヶ月分)の家賃を無料にする方法です。「フリーレント1ヶ月」は、実質的に年間の家賃収入が1/12減るのと同じですが、入居者にとっては初期費用が大幅に抑えられるため、非常に魅力的に映ります。家賃を値下げするよりも、将来的な家賃水準を維持できるメリットがあります。
- 条件緩和の検討:周辺の競合物件の状況を調査した上で、「ペット可(小型犬1匹まで、敷金1ヶ月追加など条件付き)」「DIY可(原状回復義務を緩和)」などを検討するのも有効な差別化戦略です。思わぬターゲット層からの需要を掘り起こせる可能性があります。
5. 「プチ・ホームステージング」で未来の暮らしを魅せる
何もないガランとした空室は、広く見える一方で、実際の生活がイメージしにくいというデメリットがあります。かといって、本格的なホームステージングはコストがかかります。そこで有効なのが、低コストでできる「プチ・ホームステージング」です。
- 置くだけで印象が変わるアイテム:
- 玄関:きれいなスリッパ、小さな観葉植物
- リビング:床にラグを敷き、小さなローテーブルとクッションを置く
- キッチン:おしゃれなケトルやきれいな布巾を置く
- 洗面所・トイレ:清潔なタオル、ハンドソープ、小さな芳香剤を置く
- これらの小物を配置するだけで、部屋は温かみのある空間に変わり、内見者は「ここに住んだらこんな感じかな」とポジティブな想像を膨らませることができます。
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6. 仲介会社を「最強の営業マン」にする
入居者募集の最前線にいるのは、言うまでもなく仲介会社の営業担当者です。彼らを味方につけ、「この物件を何としても決めたい!」と思わせることが、空室対策の鍵を握ります。
- 「物件の売り」をまとめた資料(マイソク)を渡す:物件の基本情報だけでなく、あなたが考えるアピールポイント、周辺環境の魅力、ターゲット入居者像などをまとめた独自の資料を作成し、担当者に渡しましょう。写真も、ご自身で撮影した選りすぐりのものをデータで提供します。これにより、担当者の物件への理解が深まります。
- 定期的なコミュニケーション:募集を依頼して終わりではなく、定期的に店舗を訪問したり、電話をかけたりして、「最近の反響はどうですか?」「何か困っていることはありませんか?」とコミュニケーションを図りましょう。オーナーの熱意は必ず担当者に伝わります。
- 広告料(AD)の上乗せ:これはコストがかかる施策ですが、家賃を下げるよりはるかに効果的かつ短期的な対策です。仲介会社にとって広告料は直接的なインセンティブになるため、優先的に物件を紹介してくれるようになります。相場は家賃の1〜2ヶ月分ですが、エリアや時期によって変動しますので、仲介会社に相談してみましょう。
7. 「ちょっとした気遣い」で好感度を上げる
最後のひと押しは、オーナー様の「おもてなしの心」です。
- ウェルカムドリンクの用意:夏場であれば冷たいペットボトルのお茶、冬場であれば温かい缶コーヒーなどを「ご自由にお飲みください」というメッセージと共に室内に置いておくだけで、内見者の心は和みます。
- 周辺情報の提供:オーナー様自作の「周辺お散歩マップ」や「おすすめ飲食店リスト」、地域のハザードマップなどをファイリングして置いておくのも良いでしょう。物件への愛着と、入居者への配慮が伝わります。
- 香りの演出:きれいに清掃した上で、ほのかに香る程度の芳香剤を置くのも効果的です。ただし、香りの好みは人それぞれなので、強すぎない自然な香りを選びましょう。
【費用対効果で選ぶ】人気設備投資ランキング
上記の対策を試してもなお、反響が薄い場合、物件の設備そのものに競争力がない可能性があります。多額のリフォームは難しい場合でも、比較的手頃な投資で、入居者に強くアピールできる人気の設備があります。
全国賃貸住宅新聞が発表する「人気設備ランキング」は、その年の入居者ニーズを知る上で非常に参考になります。近年のランキングで常に上位を占める、費用対効果の高い設備をご紹介します。
- 【単身者向け物件の必須アイテム】無料インターネット:今や電気・ガス・水道と同じインフラと認識されています。特に学生や若い単身者にとって、「インターネット無料」は物件選びの絶対条件になりつつあります。全戸一括で導入すれば、1戸あたりの月額コストは数千円で済み、家賃に上乗せすることも可能です。
- 【共働き・単身者の救世主】宅配ボックス:不在時でも荷物を受け取れる宅配ボックスは、ECサイトの利用が当たり前になった現代において、非常に人気の高い設備です。後付け可能な製品も多数あり、設置スペースさえ確保できれば導入のハードルは高くありません。
- 【防犯意識の高まりに応える】モニター付きインターホン:来訪者の顔を確認できるモニター付きインターホンは、特に女性やファミリー層から絶大な支持を得ています。セキュリティの高さをアピールできる、費用対効果が非常に高い設備投資です。
その他にも、「温水洗浄便座」「独立洗面台」「浴室換気乾燥機」なども、空室対策として有効な投資です。すべてを導入する必要はありません。ご自身の物件のターゲット層と、競合物件の設備状況を比較しながら、最も効果的なものから検討しましょう。
まとめ:愛される物件づくりが、最大の空室対策
空室が続く焦りから、家賃を下げるという安易な選択に走る前に、できることは本当にたくさんあります。
原因を分析し、 物件を磨き上げ、 その魅力を正しく、そして情熱をもって伝える。
今回ご紹介した対策は、決して難しいものではありません。オーナー様がご自身の物件に愛情を注ぎ、「自分が住むならどうだろう?」という入居者目線に立って、一つひとつ丁寧に行動に移すことがすべてです。
清掃が行き届き、魅力的な写真と文章で紹介され、仲介会社が熱心に勧めてくれる物件。内見に訪れれば、オーナーの細やかな気遣いが感じられる空間。そのような「愛される物件」であれば、家賃を下げなくとも、必ずや良き入居者との出会いが訪れるはずです。
安定した賃貸経営は、目先の利益ではなく、物件の価値を維持・向上させていく長期的な視点から生まれます。このコラムが、あなたの賃貸経営を成功に導く一助となれば幸いです。
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