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管理会社を変更した直後に起こりやすいトラブルと予防策|賃貸アパート・賃貸マンション経営の知識

「今の管理会社は連絡が遅い」「空室対策の提案が少ない」「修繕費の説明が分かりにくい」

このような不満から、管理会社の変更を検討する賃貸オーナーは少なくありません。管理会社を変更することで、対応品質の改善や空室期間の短縮、管理状況の見える化などが期待できます。

しかし、管理会社は契約書や鍵を預かっているだけではありません。家賃の集金、入居者対応、更新手続き、修繕、退去精算、保証会社との連携など、賃貸経営に関する多くの情報を管理しています。

そのため、引継ぎが不十分なまま切り替えると、変更直後に思わぬトラブルが発生することがあります。

この記事では、管理会社を変更した直後に起こりやすいトラブルと、その予防策について、不動産に詳しくないオーナーにも分かりやすく解説します。

目次

管理会社の変更直後は、なぜトラブルが起こりやすいのか

管理会社の変更は、単に連絡先を変える手続きではありません。

前の管理会社が保有している情報や書類、金銭、鍵、対応履歴などを、新しい管理会社へ正確に移す必要があります。

国土交通省が公開している賃貸住宅標準管理委託契約書でも、管理業務には賃料等の徴収、契約更新、契約終了に関する業務などが含まれています。つまり、管理会社の切替時には、複数の業務を同時に引き継ぐ必要があるということです。

引継ぎ項目が多いにもかかわらず、実際には次のような事情によって準備期間が短くなることがあります。

  • 前の管理会社との関係が悪化している
  • 解約期限が迫っている
  • 空室募集を急いでいる
  • 修繕や入居者トラブルが進行中である
  • オーナーが保有書類を把握できていない

こうした状態で管理を変更すると、情報不足や認識のずれが表面化しやすくなります。

大切なのは、管理会社を変更すること自体を急ぐのではなく、切替後に業務が止まらないよう準備することです。

トラブル1 入居者が新しい家賃振込先を把握していない

管理会社変更後に起こりやすいのが、家賃の振込先に関するトラブルです。

新しい管理会社が家賃を集金する場合、入居者に対して、管理会社の変更日や新しい振込先、問い合わせ窓口などを案内する必要があります。

通知が遅れたり、案内内容が分かりにくかったりすると、入居者が以前の管理会社の口座へ家賃を振り込んでしまうことがあります。

二重請求と誤解されることもある

前の管理会社と新しい管理会社の双方から案内が届くと、入居者が混乱することがあります。

特に、口座振替の変更が間に合わず、新しい管理会社から振込依頼が送られた場合、入居者から見ると「家賃を二重に請求されているのではないか」と感じることもあります。

管理会社変更はオーナー側の事情であるため、入居者に不安や余計な手間を与えない配慮が必要です。

予防策

入居者への通知は、できる限り切替日の前に行います。

案内書には、少なくとも次の内容を記載しておくとよいでしょう。

  • 管理会社が変更になる日
  • 新しい管理会社の名称
  • 電話番号やメールアドレス
  • 営業時間と緊急連絡先
  • 家賃の新しい支払方法
  • 口座振替の変更手続き
  • 修繕や解約に関する連絡先

国土交通省の資料でも、管理に関する重要な変更があった場合、対象住戸の借主に対して変更内容を周知するための措置を取る考え方が示されています。

通知方法は郵送だけに限定せず、必要に応じてSMSやメール、掲示板などを組み合わせると、見落としを防ぎやすくなります。

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トラブル2 家賃や敷金の送金内容が合わない

管理会社の変更時には、家賃や共益費、駐車場代、敷金などの金銭情報も引き継がれます。

このとき、未送金の家賃や滞納分、立替修繕費などの処理が不明確だと、オーナーが想定していた金額と実際の送金額が合わないことがあります。

よくある金銭上のずれ

例えば、次のようなケースです。

  • 前月分の家賃が旧管理会社に入金されている
  • 滞納家賃の一部が回収済みである
  • 更新料や解約精算金が未送金である
  • 修繕費が送金前に差し引かれている
  • 敷金の管理主体が明確になっていない
  • 入居者からの過入金や預り金が残っている

管理会社ごとに送金締日や精算方法が異なるため、単純に管理開始日だけで区切れるとは限りません。

予防策

切替前に、旧管理会社から最終精算書を提出してもらうことが重要です。

確認したい主な項目は次のとおりです。

  • 部屋ごとの契約賃料
  • 当月の入金状況
  • 滞納金額
  • 未送金額
  • 敷金や預り金
  • 更新料や違約金
  • 未払いの工事費
  • オーナーへの立替金
  • 最終送金予定日

新しい管理会社にも同じ資料を共有し、管理開始時点の残高を確認してもらいます。

賃貸住宅管理業者には、入居者などから受領した家賃や敷金等を、自社の財産と分けて管理することが求められています。

ただし、分別管理が行われていることと、個別物件の精算内容に間違いがないことは別問題です。オーナー側でも最終明細を確認することが大切です。

トラブル3 賃貸借契約書や更新履歴がそろっていない

管理変更後に、新しい管理会社が入居者対応を始めようとしても、契約書や更新書類が不足している場合があります。

賃貸借契約書がなければ、賃料、契約期間、更新条件、解約予告期間、特約などを正確に確認できません。

契約内容を誤って案内する危険がある

例えば、入居者から解約の連絡があったとします。

契約書が確認できなければ、解約予告が1か月前なのか2か月前なのか判断できません。

更新時にも、更新料の有無や事務手数料、保証会社の更新条件が分からなければ、誤った請求をしてしまう可能性があります。

ペット飼育、短期解約違約金、退去時クリーニング費用などの特約についても、契約書を確認せずに判断することはできません。

予防策

管理会社変更前に、次の書類が部屋ごとにそろっているか確認します。

  • 賃貸借契約書
  • 重要事項説明書
  • 更新契約書や更新合意書
  • 入居申込書
  • 入居者と連帯保証人の情報
  • 保証会社の契約書
  • 火災保険の加入情報
  • 駐車場や駐輪場の契約書
  • 特約や覚書
  • 解約通知書
  • 退去精算に関する書類

紙だけでなく、PDFなどの電子データでも受け取っておくと、紛失リスクを抑えられます。

契約書が見つからない場合には、入居者側が控えを保有していることもあります。ただし、安易に入居者へ提出を求めると不安を与えるため、新しい管理会社を通じて丁寧に事情を説明することが望ましいでしょう。

トラブル4 修繕やクレームの対応履歴が引き継がれていない

管理変更時に見落とされやすいのが、進行中の修繕案件や入居者クレームです。

契約書や家賃情報は書類として残っていても、担当者同士の電話やメールだけで進んでいた案件は、十分に記録されていないことがあります。

過去の経緯を知らず、対応が振り出しに戻る

例えば、上階からの騒音について、入居者が旧管理会社へ何度も相談していたとします。

その履歴が新しい管理会社へ共有されていなければ、新しい担当者は初回相談として対応してしまいます。

入居者からすると、「何度も説明しているのに、また最初から話さなければならない」という不満につながります。

水漏れや設備故障の場合は、過去の修理内容が分からず、同じ応急処置を繰り返してしまうこともあります。

予防策

未完了案件一覧を旧管理会社に作成してもらい、新しい管理会社へ共有します。

一覧には、次の内容を記録しておくと引継ぎがスムーズです。

  • 物件名と部屋番号
  • 入居者からの申告内容
  • 受付日
  • 対応履歴
  • 修繕業者の連絡先
  • 見積金額
  • オーナー承認の有無
  • 現在の進捗
  • 次に行う対応
  • 入居者への回答期限

写真、見積書、メール履歴、作業報告書なども合わせて引き継ぎます。

特に、水漏れ、漏電、給湯器故障、鍵紛失、騒音、滞納など、緊急性や継続性の高い案件は、管理開始前に新旧管理会社間で打合せを行うことが望ましいです。

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トラブル5 鍵が不足している、どの鍵か分からない

管理会社は、空室の募集用鍵、共用部の鍵、設備室の鍵、宅配ボックスの設定キーなど、複数の鍵を預かっていることがあります。

引継ぎ時に鍵の本数や用途が確認されていないと、内見や修繕対応に支障が出ます。

空室募集が止まることもある

空室の鍵が新しい管理会社へ届かなければ、仲介会社が内見できません。

物件情報を公開して反響が入っていても、鍵の手配ができなければ、申込みの機会を逃すことになります。

また、鍵には部屋番号を書かず、管理番号だけで保管している会社もあります。その場合、鍵台帳がなければ、どの鍵か判別できない可能性があります。

予防策

鍵の引継ぎでは、単に封筒を受け取るだけでなく、鍵台帳と現物を照合します。

確認する項目は次のとおりです。

  • 物件名
  • 部屋番号
  • 鍵の種類
  • 本数
  • 鍵番号
  • 保管場所
  • 貸出中かどうか
  • 共用部や設備用かどうか

空室については、実際に開錠できるか確認しておくと安心です。

キーボックスを設置している場合は、設置場所と暗証番号も変更または引き継ぎます。

トラブル6 保証会社との連携が取れていない

近年の賃貸借契約では、家賃保証会社を利用しているケースが多くあります。

管理会社が変わった場合、保証会社への届出や送金先の変更、滞納報告の方法などを確認する必要があります。

手続きが遅れると保証に影響する可能性がある

保証会社によっては、滞納が発生した際に、一定期間内の報告を求めている場合があります。

管理変更の連絡がされていなかったり、新しい管理会社が保証契約の内容を把握していなかったりすると、滞納報告が遅れることがあります。

保証内容や手続きは会社や契約プランによって異なるため、一律に判断することはできません。

予防策

部屋ごとに保証会社の利用状況を一覧化します。

確認したい内容は次のとおりです。

  • 保証会社名
  • 契約番号
  • 保証範囲
  • 初回保証料
  • 更新保証料
  • 集金代行の有無
  • 滞納報告の期限
  • 管理会社変更時の手続き
  • 緊急連絡先

新しい管理会社が保証会社と提携していない場合でも、既存契約を継続できることがあります。

ただし、保証会社や契約内容によって取扱いが異なるため、必ず個別確認が必要です。

トラブル7 退去予定や更新予定が見落とされる

管理変更の前後に更新期限や退去日が重なると、手続き漏れが発生しやすくなります。

例えば、管理変更月に契約更新を迎える部屋があるにもかかわらず、旧管理会社は「変更後に対応するもの」と考え、新管理会社は「旧管理会社が案内済み」と認識しているケースです。

このような認識のずれによって、更新案内が遅れたり、更新料の請求が漏れたりすることがあります。

退去予定の部屋では、立会いの手配や原状回復工事の見積り、敷金精算が止まる可能性もあります。

予防策

管理変更日から前後3か月程度の予定を一覧にします。

  • 更新予定
  • 解約予定
  • 退去立会い予定
  • 定期借家契約の満了
  • 保険の更新
  • 保証会社の更新
  • 法定点検
  • 消防設備点検
  • 清掃や設備保守の契約更新

原状回復については、国土交通省がガイドラインを公開しており、通常損耗や経年変化、借主負担の考え方などが整理されています。

管理会社が変わったからといって、退去精算の基準を急に変えると、入居者とのトラブルにつながる可能性があります。過去の契約内容や入居時の状態、修繕履歴を踏まえて判断する必要があります。

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トラブル8 旧管理会社との契約が完全に終了していない

新しい管理会社との契約を先に進めたものの、旧管理会社との解約手続きが完了していないケースもあります。

管理委託契約には、解約予告期間や違約金、契約終了後の引継ぎ方法などが定められていることがあります。

内容を確認せずに切り替えると、一定期間、管理契約が重複する可能性があります。

予防策

まず、現在の管理委託契約書を確認します。

特に確認したいのは次の項目です。

  • 契約期間
  • 自動更新の有無
  • 解約予告期間
  • 解約方法
  • 違約金
  • 書類や鍵の返還時期
  • 未収金の取扱い
  • 解約後の修繕や退去案件の取扱い

解約通知は、口頭だけでなく書面やメールなど、記録が残る方法で行うことが重要です。

新しい管理会社との管理開始日は、旧管理会社との契約終了日と整合させます。

管理の空白期間が生じても、重複期間が生じてもトラブルの原因になるため、日付を明確にしておきましょう。

管理会社変更前に作成したい引継ぎチェックリスト

管理会社の変更を安全に進めるには、書類を受け取ったかどうかだけでなく、新しい管理会社が実際に業務を開始できる状態になっているかを確認することが重要です。

契約関係

  • 管理委託契約の解約日
  • 新管理会社の管理開始日
  • 賃貸借契約書
  • 更新書類
  • 特約や覚書
  • 保証会社関係書類
  • 火災保険情報

金銭関係

  • 賃料一覧
  • 入金状況
  • 滞納一覧
  • 敷金一覧
  • 未送金額
  • 預り金
  • 未払い修繕費
  • 最終精算書

物件管理関係

  • 鍵と鍵台帳
  • 設備一覧
  • 修繕履歴
  • 点検記録
  • 清掃会社や工事会社の情報
  • 共用部の暗証番号
  • メーターや設備室の情報

入居者対応関係

  • 入居者連絡先
  • 緊急連絡先
  • クレーム履歴
  • 修繕中の案件
  • 滞納対応履歴
  • 更新予定
  • 退去予定

募集関係

  • 空室一覧
  • 募集条件
  • 広告料
  • 図面
  • 室内写真
  • 内見方法
  • 鍵の場所
  • 申込み対応中の案件

これらを一覧表にして、新旧管理会社とオーナーの三者で確認すると、認識のずれを減らしやすくなります。

管理会社変更は「切替日」より「準備期間」が重要

管理会社を変更する際、多くのオーナーは「いつから新しい会社に任せるか」を気にします。

しかし、実務上は切替日そのものより、切替日までにどこまで準備できているかが重要です。

できれば管理開始日の1か月程度前から、新しい管理会社と引継ぎ項目を整理しておくと安心です。

ただし、現在の管理会社との契約内容や物件の状況によって、必要な準備期間は異なります。

空室が多い物件、滞納がある物件、修繕中の物件、退去予定が重なっている物件は、通常より慎重な引継ぎが必要です。

また、管理会社を選ぶときは、管理料や会社規模だけでなく、切替実務への対応力も確認したいところです。

例えば、次のような質問をしてみるとよいでしょう。

  • 引継ぎ項目のチェックリストはあるか
  • 入居者への通知は誰が作成するか
  • 旧管理会社との調整をどこまで支援するか
  • 保証会社の変更手続きに対応できるか
  • 未完了の修繕案件を引き継げるか
  • 管理開始前に契約内容を確認してもらえるか

変更後の管理内容だけでなく、変更時の進め方を具体的に説明できる会社かどうかも、大切な判断材料です。

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まとめ

管理会社を変更した直後には、家賃振込先の間違い、契約書不足、鍵の引継ぎ漏れ、修繕案件の停滞、保証会社との連携不足などが起こることがあります。

これらの多くは、管理会社を変更したこと自体が原因ではありません。

本当の原因は、引継ぎ項目が整理されていないことや、新旧管理会社の役割分担が曖昧なことにあります。

管理変更を成功させるためには、次の点が重要です。

  • 旧管理会社との契約終了日を確認する
  • 新しい管理会社の開始日を明確にする
  • 入居者への通知を早めに行う
  • 契約書や金銭情報を部屋ごとに整理する
  • 修繕やクレームの未完了案件を一覧化する
  • 鍵と台帳を照合する
  • 更新や退去の予定を共有する

管理会社の変更は、賃貸経営の体制を見直す良い機会でもあります。

現在の管理状況に不安がある場合は、いきなり解約を進めるのではなく、まず管理委託契約書や入居者一覧、送金明細などを整理してみることをおすすめします。

引継ぎに必要な書類や進め方が分からない場合には、管理変更の実績がある管理会社へ早めに相談することで、トラブルを防ぎながら切替を進めやすくなります。


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この記事を書いた人

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