家賃収入の税金対策!課税所得を減らす方法を徹底解説|賃貸アパート経営・マンション経営の知識
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- 相続・税金
目次
はじめに
不動産投資で得られる家賃収入は、安定した資産形成の柱となる非常に魅力的なものです。しかし、その収益を最大化するためには、物件選びや管理運営だけでなく、避けては通れない「税金」への対策が極めて重要になります。
「頑張って満室経営しているのに、確定申告をしたら思った以上に税金が高く、手残りが少なかった…」 「何が経費になるのか分からず、とりあえず家賃収入のまま申告してしまった…」
このような経験を持つ大家さん・オーナー様は少なくありません。不動産投資における税金は、**「知っているか、知らないか」**で納税額に数十万円、時には数百万円もの差が生まれるシビアな世界です。
しかし、ご安心ください。税金の仕組みを正しく理解し、合法的な節税策を計画的に実行すれば、税負担を大きく軽減し、大切なキャッシュフローを守ることが可能です。
本記事では、家賃収入にかかる税金の基本から、今すぐ実践できる具体的な経費計上術、そして事業規模が拡大した際に検討したい応用戦略まで、課税所得を減らすための税金対策を網羅的に、そして分かりやすく徹底解説します。賢く税金をコントロールし、不動産投資の成功を確固たるものにしましょう。
まずは基本から!家賃収入にかかる税金の仕組み
効果的な税金対策を講じるためには、まず敵である「税金」がどのように計算されるのかを知る必要があります。計算プロセスは大きく3つのステップに分かれます。
ステップ1:不動産所得を計算する
税金の対象となるのは、家賃収入の総額ではありません。年間の家賃収入から、賃貸経営にかかった「必要経費」を差し引いた利益部分、これを「不動産所得」と呼びます。
計算式
ここでの最重要ポイントは、必要経費を漏れなく計上することです。経費が多ければ多いほど不動産所得は圧縮され、税金を抑える第一歩となります。
ステップ2:課税所得を計算する
次に、算出された不動産所得と、他の所得(会社員の方であれば給与所得など)を合算します。その合計額から、個人の状況に応じて適用される「所得控除」を差し引いた金額が、最終的に税率を掛ける対象となる「課税所得」です。
計算式
- 所得控除の例: 基礎控除、配偶者控除、扶養控除、社会保険料控除、生命保険料控除、iDeCoの掛金など。
つまり、税金対策のゴールは、この「課税所得」をいかに低く抑えるかにあるのです。
ステップ3:税額を計算する
最後に、課税所得金額に所得税の税率を掛けて、納めるべき税額を算出します。日本の所得税は、所得が高くなるほど税率も高くなる「累進課税制度」が採用されています。
所得税の速算表(令和5年分以降)

※別途、復興特別所得税(所得税額の2.1%)と住民税(原則10%)が加わります。
例えば、課税所得が500万円の人と800万円の人では、適用される税率が20%と23%で異なります。この税率の壁を一つ下げるだけでも、納税額は大きく変わります。この仕組みを理解した上で、具体的な対策を見ていきましょう。
【基本戦略編】税金対策の王道!必要経費を漏れなく計上する
税金対策の原点にして頂点とも言えるのが、必要経費の計上です。「賃貸経営のために支払った費用はすべて経費にできないか?」という視点を常に持つことが重要です。
① 最重要経費「減価償却費」を使いこなす
不動産投資における最大の経費項目であり、最も戦略的に活用すべきものが減価償却費です。
減価償却とは、建物や設備などの高額な資産は年月の経過とともに価値が減少するという考え方に基づき、その取得費用を法定耐用年数にわたって分割し、毎年経費として計上する会計処理のことです。
最大のポイントは、実際の現金の支出を伴わずに経費を計上できる点です。ローン返済は進んでいるのに、帳簿上は大きな経費を計上できるため、キャッシュフローを悪化させずに所得を圧縮できる、非常に強力な節税手法なのです。
- 法定耐用年数の例:
- 木造アパート:22年
- 鉄骨鉄筋コンクリート造マンション:47年
特に中古物件は、この減価償却費による節税メリットが大きくなります。中古物件は、残りの耐用年数が短くなるため、1年あたりの減価償却費を大きく計上できます。例えば、法定耐用年数(22年)を超えた木造物件を購入した場合、簡便法により「22年 × 20% = 4.4年 → 4年」という短い期間で建物の購入費用を償却でき、短期間に大きな経費を生み出すことが可能です。
② 判断が分かれる「修繕費」を正しく計上する
入居者の退去に伴う原状回復費用や、建物の維持管理のために行う定期的なメンテナンス費用は「修繕費」として、その年に一括で経費計上できます。
- 修繕費の例:
- 壁紙の張替え、ハウスクリーニング
- 給湯器やエアコンの修理・交換
- 外壁塗装、屋上防水工事
ここで注意が必要なのが「資本的支出」との違いです。資本的支出とは、単なる現状維持にとどまらず、資産の価値を高めたり、使用可能期間を延長させたりする支出を指します。例えば、和室を洋室にリフォームしたり、非常階段を新たに取り付けたりする工事が該当します。
資本的支出と判断された費用は、修繕費のように一括で経費にはできず、減価償却資産として耐用年数にわたって分割して経費計上することになります。
【判断の目安】 一般的に、一つの修繕費用が20万円未満である場合や、その支出が資産の取得価額のおおむね10%以下である場合は、修繕費として処理することが認められています。計画的な修繕は、物件の価値を維持するだけでなく、税金対策の観点からも非常に重要です。
③ ローン金利や税金も立派な経費
多くの方が利用する不動産投資ローン。毎月の返済額のうち、金利に相当する部分は経費として計上できます。(元本返済部分は経費になりません。)
また、不動産を所有・取得する際に支払う以下の税金も、必要経費となります。
- 経費にできる税金:
- 固定資産税・都市計画税
- 不動産取得税
- 登録免許税
- 事業税
- 印紙税
- 経費にできない税金:
- 所得税・住民税
特に不動産取得税は金額が大きいため、忘れずに計上しましょう。
④ 日々の「こまごま経費」も見逃さない
減価償却費や修繕費といった大きな経費以外にも、賃貸経営に関連する日々の細々とした支出も積み重なれば大きな金額になります。
- 管理会社への管理委託料
- 火災保険料、地震保険料
- 不動産会社との打ち合わせや物件視察のための交通費
- 情報収集のための書籍代やセミナー参加費
- 税理士や司法書士への報酬
- 通信費(電話、インターネットなど)
- 文房具などの消耗品費
領収書やレシートは必ず保管し、一つひとつ丁寧に仕分けしていく習慣をつけましょう。
【応用戦略編】制度を活用して所得をダイナミックに圧縮する
経費計上をマスターしたら、次は税制上の優遇制度をフル活用して、よりダイナミックに所得を圧縮するステップに進みましょう。
① 青色申告:節税大家さんの必須科目
確定申告には白色申告と青色申告がありますが、不動産投資を行うのであれば青色申告一択です。事前に税務署への届出と複式簿記での記帳という手間はかかりますが、それを補って余りある絶大な節税メリットを享受できます。
- メリット1:青色申告特別控除(最大65万円) 不動産所得から無条件で最大65万円(※)を差し引くことができます。課税所得500万円の人であれば、所得税・住民税を合わせて**約19.5万円(65万円 × 30%)**もの節税になります。 (※事業的規模で電子申告等の要件を満たす場合。それ以外は55万円または10万円)
- メリット2:青色事業専従者給与 配偶者や親族に管理業務などを手伝ってもらっている場合、支払った給与を全額経費にできます。所得を家族に分散させることで、世帯全体での納税額を抑える効果があります。
- メリット3:純損失の繰越控除 大規模修繕などで不動産所得が赤字になった場合、その赤字を翌年以降3年間にわたって繰り越し、将来の黒字と相殺できます。
これらのメリットを享受するには、原則として不動産経営が「事業的規模」(概ね5棟10室以上)である必要があります。事業的規模に達したら、速やかに「青色申告承認申請書」を税務署に提出しましょう。
② 資産管理法人:高所得者のためのパワフルな選択肢
個人の所得税率は最大45%(住民税と合わせると55%)ですが、法人税の実効税率は約20%〜34%程度です。そのため、不動産所得や給与所得が大きくなり、高い所得税率が適用されるようになった段階で有効なのが資産管理法人の設立です。
個人で不動産を所有するのではなく、法人を設立してその法人が不動産を所有・管理する形を取ります。
【法人化の主なメリット】
- 税率差の活用: 個人の所得税率が法人税率を上回る所得水準(一般的に課税所得800万〜900万円が目安)に達した場合、法人の方が税負担は軽くなります。
- 所得の分散: オーナー自身や家族を法人の役員とし、役員報酬を支払うことで所得を分散できます。役員報酬は給与所得控除が適用されるため、個人で不動産所得として受け取るより税制上有利です。
- 経費計上範囲の拡大: 生命保険料や役員への退職金など、個人事業では認められない費用も、法人であれば損金(経費)として計上できる場合があります。
- 相続対策: 個人の財産ではなく法人の株式として相続することになるため、相続対策がしやすくなります。
ただし、法人の設立費用や維持コスト(税理士報酬、社会保険料負担など)が発生するため、メリットがデメリットを上回るかを慎重に見極める必要があります。
【盤石戦略編】控除制度で将来への備えと節税を両立する
経費計上とは別に、課税所得そのものを減らす「所得控除」の制度を活用することで、節税効果をさらに高めることができます。
① 小規模企業共済:経営者のための退職金制度
個人事業主や小規模企業の役員のための国の退職金制度です。事業的規模の不動産オーナーも加入できます。最大の魅力は、掛金(月額最大7万円、年額最大84万円)が全額、所得控除の対象となることです。
例えば、課税所得800万円の方が年間上限の84万円を拠出した場合、所得税・住民税合わせて**約28万円(84万円 × 33%)**もの節税につながります。将来の自分への退職金を積み立てながら、現在の税金を大幅に削減できる、一石二鳥の非常に優れた制度です。
② iDeCo(個人型確定拠出年金):老後資金作りの優等生
iDeCoは、自分で掛金を拠出し、運用商品を選んで老後資金を形成する私的年金制度です。こちらも掛金の全額が所得控除の対象となります。
さらに、運用期間中に得た利益(利息や分配金)は非課税となり、将来年金として受け取る際にも公的年金等控除などの税制優遇が受けられます。老後資金2,000万円問題が叫ばれる中、節税と資産形成を同時に進められる有効な手段です。
これだけは守りたい!税金対策の注意点
最後に、税金対策を行う上で絶対に守るべきルールを確認しておきましょう。
- 節税と脱税は全く違う: 本記事で紹介した方法はすべて合法的な「節税」です。収入を隠したり、架空の経費を計上したりする「脱税」は犯罪行為であり、発覚した際には本来の税金に加え、重いペナルティ(重加算税など)が課せられます。
- 証拠書類の保管義務: 経費計上の根拠となる領収書や契約書、請求書などは、法律で定められた期間(青色申告の場合、原則7年間)の保管が義務付けられています。
- 専門家への相談: 税金のルールは複雑で、法改正も頻繁に行われます。特に法人化など高度な判断が必要な場合は、自己判断せず、必ず不動産に強い税理士に相談しましょう。顧問料はかかりますが、それ以上の節税効果や安心感を得られるはずです。
まとめ:賢い大家さんは税金をコントロールする
不動産投資における税金対策は、一度行えば終わりというものではありません。日々の経費を記録し、確定申告で適切に処理し、事業規模の拡大に合わせて青色申告や法人化といった戦略を検討していく、継続的な取り組みが不可欠です。
まずは、この記事を参考に、ご自身の賃貸経営で経費にできそうなものをリストアップすることから始めてみてください。そして次のステップとして、事業的規模に達している方は、ぜひ青色申告に挑戦してみましょう。
税金は、賃貸経営における最大のコストです。しかし、それは正しい知識と行動によってコントロールすることが可能です。専門家の力も借りながら最適な節税戦略を構築し、大切な資産とキャッシュフローを守り抜き、不動産投資の成功をその手に掴んでください。
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