空き家を再生する。メリット・デメリットや、失敗しないためのポイントを解説|アパート経営・マンション経営の知識
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- リフォーム・原状回復
目次
はじめに
「親から実家を相続したけれど、自分は住む予定がない…」 「長年使っていない家が、ただ固定資産税を払い続けるだけの『負の資産』になっている…」
近年、このようなお悩みを持つ空き家オーナー様が増えています。総務省の調査によれば、日本の空き家は増加の一途をたどり、今や社会的な課題となっています。しかし、見方を変えれば、空き家は「新たな価値を生み出す可能性を秘めた資産」です。
放置すればリスクだらけの空き家も、適切な「再生」という手を加えることで、収益を生む資産に生まれ変わったり、地域に貢献する宝となったりする可能性があります。
本コラムでは、空き家再生を検討されているオーナー様のために、その具体的な手法から、メリット・デメリット、そして最も重要な「失敗しないためのポイント」まで、網羅的に解説していきます。この記事を読み終える頃には、ご自身の空き家に対する漠然とした不安が、未来への具体的な一歩を踏み出すための希望に変わっているはずです。
そもそも「空き家再生」とは?具体的な活用方法
「空き家再生」とは、単に古くなった家を修繕する(リフォームする)だけではありません。現代のニーズに合わせて間取りやデザインを刷新したり(リノベーション)、元の用途とは全く違う使い方に変えたり(コンバージョン)することで、新たな価値を創造する取り組み全般を指します。
まずは、どのような活用方法があるのか、具体的な事例を見ていきましょう。
1. 賃貸住宅として再生する(戸建て・アパート)
最も一般的で、安定した収益を見込みやすいのが賃貸住宅としての活用です。
- ファミリー向け戸建て賃貸: 周辺に学校や公園があるなど、子育て世帯に人気のエリアであれば、高い需要が見込めます。適切なリノベーションを施すことで、新築同様の住み心地を提供できれば、長期的な入居に繋がりやすくなります。
- 単身者・若者向けシェアハウス: 部屋数が多い一戸建てであれば、シェアハウスへの改修も有効です。初期費用は掛かりますが、複数の入居者から家賃を得られるため、高い利回りが期待できます。
- 高齢者向け賃貸住宅: バリアフリー改修を施し、手すりの設置や段差の解消を行うことで、高齢者が安心して暮らせる住まいとして再生できます。地域の見守りサービスなどと連携することも考えられます。
2. 宿泊施設として再生する(民泊・ゲストハウス)
観光地やその周辺に物件がある場合、宿泊施設への転用は大きな収益機会となり得ます。
- 民泊(ホームステイ型・家主不在型): 訪日外国人観光客の増加や国内旅行の多様化に伴い、民泊の需要は高まっています。特に、古民家など日本らしい趣のある建物は、外国人観光客から絶大な人気を誇ります。ただし、旅館業法や住宅宿泊事業法(民泊新法)などの法規制を遵守する必要があります。
- 一棟貸しのゲストハウス: グループ旅行や家族旅行向けに、一棟丸ごと貸し出すスタイルです。プライベートな空間を提供できるため、コロナ禍以降、さらに需要が高まっています。
3. 事業用施設として再生する(店舗・オフィスなど)
立地条件が良ければ、住宅以外の用途にコンバージョンすることで、より高い収益性を目指せます。
- カフェ・レストラン: 人通りが多い場所や、景観の良い場所であれば、飲食店としての活用が考えられます。建物の雰囲気を活かした内装にすることで、独自の魅力を打ち出せます。
- コワーキングスペース・サテライトオフィス: 働き方の多様化により、都心から離れた場所でもオフィス需要が生まれています。Wi-Fi環境や電源などを整備し、快適なワークスペースを提供します。
- 小規模な店舗(雑貨店・アトリエなど): クリエイターや起業家向けに、小規模な店舗やアトリエとして貸し出す方法です。地域に新しい風を吹き込むきっかけにもなります。
4. 地域貢献施設として再生する(コミュニティスペースなど)
直接的な収益化よりも、地域への貢献を主目的とする活用方法です。
- コミュニティスペース・サロン: 地域の住民が誰でも気軽に集まれる場所として開放します。イベント開催やサークル活動の拠点となり、地域の繋がりを深める役割を果たします。
- 子育て支援施設・学童保育: 待機児童問題が深刻な地域では、子育て支援の拠点として活用することで、社会的な意義が非常に大きくなります。
- 移住者のお試し居住施設: 地方への移住を検討している人向けに、短期間滞在できる施設として提供します。地域の魅力を知ってもらうきっかけとなり、移住定住の促進に繋がります。
このように、空き家の再生方法は多岐にわたります。ご自身の物件の特性や立地、そして何よりも「この家をどうしたいか」というオーナー様の想いを掛け合わせることで、最適な活用方法が見えてくるでしょう。
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知っておきたい!空き家を再生する4つの大きなメリット
空き家を再生することは、単に厄介払いをすることではありません。オーナー様ご自身、そして地域社会にとっても多くのメリットをもたらします。
メリット1:新たな収益源となり「資産」に変わる
最大のメリットは、これまでコストを払い続けるだけだった空き家が、家賃収入や事業収入を生み出す「収益資産」に生まれ変わることです。安定したインカムゲインは、将来の生活設計においても大きな支えとなります。また、適切なリノベーションによって建物の魅力が向上すれば、物件そのものの資産価値も高まり、将来的な売却時にも有利に働く可能性があります。
メリット2:税金の負担が軽減される
空き家を放置し、自治体から「特定空家等」に指定されてしまうと、固定資産税の住宅用地特例が適用されなくなり、税額が最大で6倍に跳ね上がる可能性があります。空き家を再生し、人が住める状態や事業に利用できる状態にすることで、このリスクを回避できます。 さらに、賃貸経営を行う場合、改修にかかった費用(減価償却費)や固定資産税、修繕費などを必要経費として計上できるため、所得税や住民税の節税に繋がる場合もあります。
メリット3:地域の活性化に貢献できる
再生された空き家に新しい住民が移り住んだり、新しいお店がオープンしたりすることは、地域に活気をもたらします。景観が改善され、人の出入りが増えることで街が明るくなり、防犯上の効果も期待できます。特に、コミュニティスペースや移住者支援施設のような活用は、地域の課題解決に直接的に貢献し、オーナー様にとっても大きなやりがいとなるでしょう。
メリット4:大切な思い出や建物の価値を次世代に継承できる
相続した実家など、思い入れのある建物を解体してしまうことに、寂しさや罪悪感を感じる方は少なくありません。空き家再生は、建物の歴史や家族の思い出を大切にしながら、現代の暮らしに合わせてその価値を未来へと繋いでいく選択肢です。柱や梁など、使える部分を活かしたリノベーションは、新築では決して出せない温かみと物語を宿した空間を生み出します。
目をそらさずに直視すべきデメリットとリスク
一方で、空き家再生は「やれば必ず成功する」という甘い話ではありません。始める前に、デメリットやリスクを正しく理解しておくことが極めて重要です。
デメリット1:高額な初期投資が必要になる
最大のハードルは、やはり費用です。建物の状態にもよりますが、リノベーションには数百万円から、場合によっては1,000万円以上の費用がかかることも珍しくありません。特に、築年数が古い木造住宅では、耐震補強や断熱改修、水回りの全面交換など、目に見えない部分に想定以上のコストが発生する可能性があります。
デメリット2:収益化までに時間がかかり、不確実性も伴う
改修工事には数ヶ月単位の時間がかかります。その間、当然ながら収益はゼロです。さらに、完成したからといって、すぐに借り手や利用客が見つかるとは限りません。周辺の家賃相場の下落や、経済状況の変化によって、想定していた収益が得られない「空室リスク」や「収益減少リスク」は常に付きまといます。
デメリット3:専門知識が必要で、法的な制約も多い
空き家再生には、建築、不動産、法律、税務など、多岐にわたる専門知識が求められます。 例えば、以下のような法規制をクリアしなければなりません。
- 建築基準法: 大規模な改修や用途変更を行う場合、現在の法律に適合させる「既存不適格」の解消が必要になることがあります。特に、再建築不可物件の場合は、改修できる範囲が厳しく制限されます。
- 消防法: 不特定多数の人が利用する宿泊施設や店舗に用途変更する場合、火災報知器や誘導灯の設置など、厳しい消防設備の基準を満たす必要があります。
- 都市計画法: 物件が所在する「用途地域」によっては、建てられる建物の種類や規模が制限されており、希望する用途への変更ができない場合があります。
これらの調査や手続きをオーナー様一人で行うのは非常に困難です。
デメリット4:維持管理の手間とコストが継続的に発生する
建物は完成したら終わりではありません。賃貸経営や事業運営を始めれば、設備の故障対応や入居者からのクレーム処理、定期的な清掃やメンテナンスなど、継続的な管理業務が発生します。また、固定資産税や火災保険料、将来の修繕のための積立金など、ランニングコストもかかり続けます。
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後悔しないために!空き家再生を成功に導く7つの重要ポイント
では、これらのデメリットやリスクを乗り越え、空き家再生を成功させるためには、具体的に何をすればよいのでしょうか。ここでは、失敗しないための特に重要な7つのポイントを、手順を追って解説します。
ポイント1:【目的設定】「なぜ再生するのか?」という目的とコンセプトを明確にする
全ての始まりは、ここにあります。「収益を最大化したいのか」「地域に貢献したいのか」「自分のセカンドハウスとして活用したいのか」。目的によって、最適な活用方法やお金のかけ方は全く異なります。 併せて、「誰に(ターゲット)」「どのような価値を(コンセプト)」提供したいのかを具体的に言語化しましょう。 (例:「都会の喧騒を離れて静かに仕事がしたいフリーランス向けの、古民家サテライトオフィス」など) この軸がブレてしまうと、後の計画が全て中途半端になってしまいます。
ポイント2:【物件調査】専門家による「建物診断」で物件の状態を徹底的に把握する
再生計画を立てる前に、まずは「敵を知る」ことが重要です。つまり、ご自身の空き家の現状を正確に把握する必要があります。自己判断は禁物です。必ず、建築士などの専門家による「ホームインスペクション(建物状況調査)」を依頼しましょう。 構造体の劣化状況、雨漏りの有無、シロアリ被害、断熱性能、給排水管の状態などを客観的に診断してもらうことで、どこにどれくらいの費用がかかるのか、精度の高い見積もりが可能になります。特に、旧耐震基準(1981年5月31日以前)の建物は、耐震診断が必須です。
ポイント3:【市場調査】役所調査と現地調査で「勝てる場所か」を見極める
建物自体のポテンシャルと同時に、その物件が置かれている「立地」のポテンシャルを見極めることが成功の鍵を握ります。
- 役所調査: 市区町村の建築指導課や都市計画課などで、前述の「用途地域」「再建築の可否」「接道義務」などの法的な制約を確認します。これは非常に重要なので、不動産会社や建築士などの専門家と共に行うことをお勧めします。
- 現地・周辺調査: 実際に物件の周りを歩き、駅からの距離、周辺の施設(スーパー、学校、病院など)、騒音や日当たり、地域の雰囲気などを自分の目で確かめます。また、近隣の不動産会社にヒアリングを行い、賃貸需要や家賃相場、どのような層に人気があるのかといった「生の情報」を集めましょう。
ポイント4.:【資金計画】「出口」まで見据えた現実的な収支シミュレーションを行う
夢や希望だけで事業は成り立ちません。シビアな数字の裏付けが必要です。
- 初期費用(イニシャルコスト)の算出: 改修工事費、設計料、各種税金(不動産取得税、登録免許税)、ローン手数料などを漏れなくリストアップします。必ず複数社から相見積もりを取り、詳細な内訳を比較検討しましょう。
- 運営費用(ランニングコスト)の算出: 固定資産税、火災保険料、管理委託費、共用部の光熱費、定期的な修繕費などを年単位で試算します。
- 収入の予測: 周辺の家賃相場や稼働率(空室率)を現実的な数値(例:80%〜90%)で設定し、年間の家賃収入を予測します。
- 収支シミュレーション: これらの数値を元に、年間収支や表面利回り(年間家賃収入 ÷ 物件価格)、実質利回り((年間家賃収入 – 年間運営費用) ÷ (物件価格 + 初期費用))を計算します。ローンを組む場合は、返済計画も考慮に入れ、何年で投資を回収できるのか、長期的な視点で計画を立てましょう。
ポイント5:【制度活用】使える補助金・助成金は全て活用する
空き家対策は国や自治体にとっても重要な課題であるため、再生を後押しする様々な補助金・助成金制度が用意されています。これらを活用しない手はありません。
- 国の制度例: 長期優良住宅化リフォーム推進事業、地域型住宅グリーン化事業など
- 自治体の制度例: 空き家改修費用補助、耐震改修補助、移住者向け住宅改修支援など
制度の内容や申請条件、期間は自治体によって大きく異なるため、まずはご自身の物件がある市区町村のウェブサイトを確認するか、担当窓口に直接問い合わせてみましょう。
ポイント6:【パートナー選び】成功の9割は「信頼できる専門家」で決まる
空き家再生は、オーナー様一人では決して成し遂げられません。各分野の専門家とチームを組んで進める必要があります。
- 不動産会社: 地域情報や賃貸需要に精通し、客付けまで見据えた提案をしてくれる会社。
- 設計事務所・建築士: オーナー様の想いを形にし、デザイン性と機能性を両立させ、法規制をクリアする設計をしてくれる専門家。古民家再生など、特殊な実績が豊富かどうかもポイントです。
- 施工会社(工務店): 設計図通りに、質の高い工事を行ってくれる会社。地元での評判や実績を重視しましょう。
これらのパートナーを選ぶ際は、単に費用が安いというだけで決めず、コミュニケーションが円滑か、親身に相談に乗ってくれるか、そして何より「空き家再生」に対する情熱と実績があるか、という視点で慎重に見極めることが重要です。
ポイント7:【運営計画】管理・運営方法を具体的に決めておく
再生後の運営方法を、計画段階から具体的に考えておくことも大切です。
- 自主管理か、管理委託か: 賃貸経営の場合、家賃の集金やトラブル対応、清掃などを自分で行う「自主管理」と、手数料を払って不動産管理会社に任せる「管理委託」があります。ご自身の時間や専門知識、物件との距離などを考慮して選択しましょう。
- 集客方法: どのようにして入居者や利用客を集めるのか。不動産ポータルサイトへの掲載、SNSでの情報発信、地域メディアとの連携など、ターゲット層に合わせた集客戦略を立てておきます。
まとめ:空き家は、未来を拓く可能性の宝庫
空き家を所有していることは、多くのオーナー様にとって悩みの種かもしれません。しかし、本コラムで解説してきたように、空き家は決して「負の資産」ではなく、適切な知識と手順、そして信頼できるパートナーとの連携によって、収益を生み、地域を豊かにする「価値ある資産」へと生まれ変わる可能性を秘めています。
もちろん、そこへの道のりは決して平坦ではなく、費用や手間、リスクも伴います。だからこそ、最も大切なのは、焦って結論を出さず、一つひとつのステップを丁寧に進めることです。
「目的を定め、現状を知り、市場を学び、計画を練り、仲間を探す」
このプロセスこそが、空き家再生を成功へと導く王道です。
この記事が、オーナー様にとって、ご自身の空き家と向き合い、新たな一歩を踏み出すきっかけとなれば幸いです。まずは、お住まいの自治体の空き家相談窓口や、地元の専門家に相談することから始めてみてはいかがでしょうか。眠っていた建物が、あなたの手で再び輝きを取り戻す日を応援しています。
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