賃貸物件を狙った犯罪例~賃貸物件の付加価値をセキュリティで高める|アパート経営・マンション経営の知識
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- リフォーム・原状回復
目次
はじめに
近年、賃貸物件を巡る犯罪は巧妙化・多様化しており、オーナー様にとって入居者の安全確保は喫緊の課題となっています。単に空室を埋めるだけでなく、入居者が安心して暮らせる環境を提供することは、物件の価値を高め、ひいては安定した経営を実現するための不可欠な要素です。
本コラムでは、賃貸物件を狙った具体的な犯罪事例を挙げながら、オーナー様が認識すべきリスクとその対策について深く掘り下げます。そして、これらのリスクを低減し、物件の付加価値を向上させるための「セキュリティ」という視点に焦点を当て、具体的な導入例やその効果を解説します。
第1章:賃貸物件を狙った犯罪の多様化と巧妙化
「うちの物件は大丈夫だろう」という油断は禁物です。残念ながら、賃貸物件は犯罪者にとって魅力的なターゲットとなり得ます。その理由は、不特定多数の人が出入りする可能性があること、入居者のプライバシーが確保されていること、そして何よりも「そこに資産がある」という点にあります。
侵入盗(空き巣・居空き・忍び込み)
最も古典的でありながら、未だに最も多い犯罪が侵入盗です。
- 空き巣: 入居者が不在の間に侵入する手口。窓からの侵入が最も多く、特に2階以下の物件や、足場となるような構造物がある物件は狙われやすい傾向にあります。ピッキングによる玄関からの侵入も依然として多く見られます。
- 居空き: 入居者が在宅中に、短時間目を離した隙に侵入する手口。ゴミ出しや買い物、散歩などで短時間家を空ける際に、鍵をかけ忘れたり、無施錠の窓を開けたままにしていると狙われることがあります。
- 忍び込み: 入居者が就寝中に侵入する手口。無施錠の窓やドア、あるいは合鍵などを用いて深夜に侵入し、金品を盗みます。入居者が気づかずに被害に遭うこともあり、精神的ショックは甚大です。
近年では、SNSなどで入居者の行動パターンを事前に把握し、効率的に犯行に及ぶケースも増えています。宅配業者や点検業者を装ってインターホンを鳴らし、在宅確認を行う手口も確認されています。
窃盗(自転車盗・オートバイ盗・車上荒らし)
集合住宅の敷地内は、自転車やオートバイ、自動車が置かれているため、窃盗の温床となることがあります。
- 自転車盗・オートバイ盗: 駐輪場の施錠が甘かったり、防犯カメラがない物件では、容易に盗難被害に遭ってしまいます。高級自転車や電動アシスト自転車、人気のあるオートバイなどは特に狙われやすい傾向があります。盗難された車両が、他の犯罪に利用されるケースもあります。
- 車上荒らし: 駐車場に停めてある車の窓を割ったり、鍵をこじ開けたりして、車内の金品やカーナビなどを盗む手口です。夜間や人目の少ない場所は特に狙われやすく、車上荒らしの際に駐車場の照明が暗いことや、防犯カメラがないことが犯行を助長します。
特殊詐欺(オレオレ詐欺・還付金詐欺など)
賃貸物件そのものが直接のターゲットとなるわけではありませんが、入居者を狙った特殊詐欺の被害も後を絶ちません。
- 不審な電話や訪問: 警察官や銀行員、役所の職員などを装って入居者に電話をかけ、現金をだまし取ったり、キャッシュカードを騙し取ろうとする手口です。
- 宅配業者を装った詐欺: 宅配業者を装って自宅を訪問し、不在票を置いてあると見せかけて、実際は個人情報を聞き出そうとするケースもあります。
特に高齢者が多く居住する物件では、オーナー様が日頃から詐欺への注意喚起を行うことも、入居者の安全を守る上で重要になります。
器物損壊・落書き
共有部分の器物損壊や落書きは、物件の美観を損ねるだけでなく、入居者の治安に対する不安を高めます。エントランスのガラスを割られたり、壁に落書きされたりする被害は、物件の管理が行き届いていないという印象を与え、空室率の増加にもつながりかねません。
不法侵入・不審者の徘徊
不法侵入者は、犯罪目的でなくても、入居者に不安を与える存在です。敷地内への無許可での立ち入りや、共用部分でのたむろ、住居侵入の下見なども含まれます。特に女性の一人暮らしが多い物件では、不審者の徘徊は入居希望者が敬遠する要因となります。
集合ポストからの個人情報抜き取り
集合ポストに投函された郵便物から個人情報を抜き取り、悪用するケースも存在します。クレジットカードの明細やDMなどから氏名、住所、電話番号などを入手し、詐欺や嫌がらせに利用される可能性があります。
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第2章:なぜ狙われる?犯罪者が目を付ける「隙」
犯罪者が賃貸物件をターゲットにする際、いくつかの共通した「隙」が存在します。これらの「隙」を理解することは、効果的な防犯対策を講じる上で不可欠です。
防犯意識の低さ
- 施錠の不徹底: 窓やドアの無施錠は、最も基本的ながら最も多い隙です。短時間の外出でも施錠しない、補助鍵をかけないといった意識の低さが狙われます。
- 情報管理の甘さ: SNSでの行動公開や、カーテンを閉め忘れることによる室内の状況露出なども、犯罪者に情報を与えることになります。
物件の物理的脆弱性
- エントランスのセキュリティ不足: オートロックがない、あっても簡単に突破できるなど、不審者の侵入を許しやすい構造は狙われやすいです。
- 窓・ドアの防犯性能の低さ: 防犯ガラスではない、補助鍵がない、鍵の耐久性が低いなど、侵入に時間がかからないと判断される物件は危険です。
- 死角の多さ: 駐車場や駐輪場、建物の裏側など、人目につきにくい場所が多いと、犯罪が行われやすくなります。
- 照明の不足: 夜間に暗い通路や駐車場は、犯罪者が身を隠しやすく、犯行に及びやすい環境となります。
- 侵入経路の確保: 物件の周囲に足場になるような構造物(配管、物置、植栽など)がある場合、それらを伝って上階に侵入されるリスクが高まります。
管理体制の不備
- 清掃・点検が行き届いていない: ゴミが散乱している、電球が切れたままになっているなど、管理がずさんに見える物件は、犯罪者に「この物件は管理が甘い」という印象を与えます。
- 防犯設備のメンテナンス不足: 防犯カメラが作動していない、インターホンが故障しているなど、せっかく導入した防犯設備が機能していない場合、全く意味がありません。
- 入居者への注意喚起不足: 定期的な防犯啓発が行われていない場合、入居者の防犯意識も低下しがちです。
第3章:セキュリティ強化が賃貸物件の「付加価値」となる理由
賃貸経営において、「セキュリティ」は単なるコストではなく、むしろ物件の「付加価値」を高め、競争力を向上させるための重要な投資と捉えるべきです。
入居率の向上と安定した経営
- 入居希望者の安心感: 物件を探す際、特に女性や高齢者、小さなお子さんのいる世帯にとって、セキュリティの高さは最優先事項の一つです。防犯設備が充実している物件は、入居希望者に安心感を与え、選ばれやすくなります。
- 空室対策: 周囲に競合物件が多い場合、セキュリティの高さは他物件との差別化要因となります。「オートロック完備」「防犯カメラ多数設置」などの文言は、強力なアピールポイントです。
- 長期入居促進: 安心して快適に暮らせる環境は、入居者の満足度を高め、長期的な入居につながります。入居期間が長くなれば、オーナー様は募集費用や原状回復費用を抑えることができます。
物件イメージの向上とブランド力強化
- 「安全な物件」としての評判: 犯罪被害が少ない物件は、地域での評判も高まります。口コミやインターネット上での評価は、新たな入居希望者の獲得にもつながります。
- 物件の格上げ: 最新のセキュリティシステムを導入することは、物件全体のグレードアップにつながり、築年数によらず高い価値を維持することができます。
資産価値の維持・向上
- 犯罪被害による損害の抑制: 侵入盗などによる物的損害(窓ガラスの破損、ドアの破壊など)や、入居者の退去に伴う原状回復費用などを抑えることができます。
- 保険料の優遇: セキュリティ設備が充実している物件は、火災保険や家財保険、施設賠償責任保険などの保険料が優遇される場合があります。
- 将来的な売却時のアピールポイント: 物件を売却する際にも、セキュリティの高さは買い手にとって魅力的な要素となり、より高値での売却につながる可能性があります。
管理コストの削減
- トラブル対応の減少: 犯罪や不審者によるトラブルが減少すれば、オーナー様や管理会社の対応にかかる時間や労力を削減できます。
- 修繕費の削減: 器物損壊などの被害が減少することで、修繕にかかる費用も抑えられます。
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第4章:賃貸物件のセキュリティを強化する具体的な方法
それでは、具体的にどのようなセキュリティ対策を講じればよいのでしょうか。物件の規模や特性、予算に応じて最適な組み合わせを検討することが重要です。
エントランス・共用部分の強化
- オートロックの導入・強化:
- 既存物件への後付け: 多くのオートロックシステムは、既存の物件にも後付け可能です。マンションタイプだけでなく、アパートタイプでも導入できます。
- 鍵の種類: 複製されにくいディンプルキーや、よりセキュアなICカードキー、非接触型キー、指紋認証システムなどを検討しましょう。
- モニター付きインターホン: 不審者の侵入を防ぐだけでなく、セールスや勧誘対策にも有効です。録画機能付きであれば、万が一の際の証拠にもなります。
- 防犯カメラの設置:
- 設置場所: エントランス、駐車場、駐輪場、エレベーター内、通路の死角となる場所など、効果的な位置に設置します。
- 高画質化・夜間対応: 顔やナンバープレートが鮮明に識別できる高画質カメラを選び、赤外線機能などで夜間でもしっかり撮影できるものを選びましょう。
- ダミーカメラの活用: 本物のカメラと併用することで、視覚的な抑止効果を高めます。ただし、ダミーカメラのみでは効果が薄い点に注意が必要です。
- 録画データの保存期間: 法的な要件も考慮し、最低でも1週間、可能であれば1ヶ月程度の保存期間を設けるのが望ましいです。
- 照明の増設・LED化:
- 常夜灯: 共用部分や駐車場、駐輪場に常夜灯を設置し、夜間でも明るさを保つことで、不審者の隠れる場所をなくします。
- 人感センサーライト: 人の動きに反応して点灯するライトは、省エネ効果もありながら、不審者への威嚇効果も期待できます。
- LED化: 長寿命で消費電力の少ないLED照明に切り替えることで、維持コストを抑えられます。
- 防犯性の高い集合ポスト:
- ダイヤル錠・シリンダー錠付き: 鍵付きのポストにすることで、郵便物の抜き取りや個人情報の盗難を防ぎます。
- 投函口の工夫: 手を入れにくい構造のポストを選びましょう。
各住戸の強化
- 玄関ドアの強化:
- ワンドア・ツーロック: 鍵を2つ以上設置することで、ピッキングなどによる侵入に時間をかけさせ、諦めさせる効果があります。
- ディンプルキーへの交換: 従来のディスクシリンダーキーに比べて、ピッキングが非常に困難なディンプルキーへの交換を推奨します。
- 鎌デッドボルト錠: 扉と枠をがっちりとかみ合わせるタイプの鍵で、バールなどによるこじ開けに強いです。
- ドアガード・ドアスコープ: ドアガード(U字ロック)や、広角ドアスコープを設置することで、ドアを開ける前に訪問者を確認できます。
- 窓の強化:
- 防犯フィルムの貼付: ガラスを割るのに時間がかかるようになるため、侵入を諦めさせる効果があります。飛散防止効果も兼ね備えています。
- 補助錠の設置: 窓に補助錠を複数箇所設置することで、侵入に手間取らせることができます。
- 面格子・シャッター: 1階や2階、ベランダに面格子やシャッターを設置することで、物理的な侵入を防ぎます。特に不審者の侵入経路となりやすい場所には有効です。
- 防犯ガラスへの交換: 耐破壊性能の高い防犯ガラスは、フィルムよりもさらに高い防犯効果を発揮します。
- ホームセキュリティシステムの導入:
- 個別契約の推奨: 入居者自身で契約するホームセキュリティシステムは、月額費用はかかりますが、異常時に警備会社が駆けつけるサービスが含まれるため、高い安心感を提供します。オーナー様がシステム導入費用を一部負担することで、入居率向上につながることもあります。
- センサー設置: ドアや窓に開閉センサー、室内に人感センサーを設置し、異常を検知すると警報を発したり、警備会社に通報したりするシステムです。
敷地環境の整備
- 侵入経路の遮断:
- 足場になるものの撤去: 物件の周囲に、よじ登れるような物置や植栽、ゴミ箱などを置かないようにします。
- フェンス・塀の設置: 敷地の境界に、乗り越えにくい高さのフェンスや塀を設置します。
- 植栽の管理:
- 低木化・見通しの確保: 死角を作らないよう、植栽は低く剪定し、見通しを良くします。
- トゲのある植物の活用: 敷地の境界に、侵入をためらわせるようなトゲのある植物(例えば、ピラカンサなど)を植えるのも効果的です。
- 清掃・美化の徹底:
- 物件全体の清潔感: ゴミがなく、整理整頓されている物件は、管理が行き届いている印象を与え、犯罪者が敬遠する傾向があります。
- 定期的な点検: 照明の切れや設備の故障がないか、定期的に点検・修理を行い、常に良好な状態を保ちます。
ソフト面の対策(入居者・管理会社との連携)
- 防犯情報の共有と啓発:
- 入居者への注意喚起: 地域の犯罪情報や、最近の手口などを定期的に提供し、入居者の防犯意識を高めます。
- 防犯チラシの配布: 集合ポストへの鍵掛け徹底、ゴミ出しの時間厳守など、基本的な防犯マナーを啓発するチラシを配布します。
- 緊急連絡先の明示: 管理会社や警察署の緊急連絡先を明確にし、不審者発見時の連絡体制を整えます。
- 管理会社との連携強化:
- 巡回頻度の確認: 管理会社と連携し、敷地内の巡回頻度や点検項目を確認します。
- 異常発生時の報告体制: 不審者情報やトラブル発生時に、オーナー様への速やかな報告がなされるよう、連携体制を構築します。
- 地域との連携:
- 自治会や警察との連携: 地域全体で防犯に取り組むことで、より高い効果が期待できます。必要に応じて、自治会や地域の警察署と連携を取り、防犯パトロールなどへの協力も検討しましょう。
第5章:セキュリティ投資の費用対効果と補助金制度
セキュリティ設備の導入には費用がかかりますが、長期的に見れば、その費用は十分に回収できる投資となります。
費用対効果の考え方
- 空室期間の短縮: 高いセキュリティは、空室期間を短縮し、家賃収入を最大化します。
- 家賃設定の優位性: 周辺の同条件の物件と比較して、セキュリティ設備が充実していれば、若干高めの家賃設定も可能になる場合があります。
- 修繕費・原状回復費の削減: 犯罪被害や器物損壊が減少すれば、それに伴う修繕費用や、入居者退去時の原状回復費用を削減できます。
- 保険料の削減: セキュリティ設備の導入により、火災保険や施設賠償責任保険などの保険料が割引になるケースがあります。
- 入居者満足度向上による退去率の低下: 安心して暮らせる環境は、入居者の定着率を高め、再募集にかかるコストを削減します。
これらの要素を総合的に考慮すると、セキュリティ投資は賃貸経営の安定化と収益性向上に寄与することが理解できます。
補助金・助成金制度の活用
地方自治体によっては、防犯設備の設置に対して補助金や助成金制度を設けている場合があります。
- 市区町村の防犯対策助成金: 防犯カメラの設置や、防犯灯のLED化などに対して、費用の一部を補助する制度が存在します。
- マンション管理組合向けの補助金: マンション全体での防犯対策を推進する目的で、管理組合に対して補助金を支給するケースもあります。
これらの制度は地域によって異なるため、お住まいの地域や物件所在地を管轄する自治体のウェブサイトや窓口で、最新情報を確認することをお勧めします。
まとめ:安全・安心な賃貸物件が選ばれる時代へ
賃貸物件におけるセキュリティは、もはや「あれば良いもの」ではなく、「なくてはならないもの」へとその位置づけを変えつつあります。入居者は、住居に単なる「場所」を求めるだけでなく、「安全」と「安心」という目に見えない価値を強く求めています。
オーナー様が積極的にセキュリティ対策に取り組むことは、入居者の安全を守る社会的な責任を果たすだけでなく、ご自身の賃貸物件の魅力を最大限に引き出し、競争の激しい賃貸市場で優位に立つための戦略的な投資となります。
本コラムでご紹介した犯罪事例とその対策、そしてセキュリティがもたらす付加価値を参考に、ぜひご自身の賃貸物件の防犯対策を見直し、入居者にとって本当に「選ばれる物件」を目指してください。それが、結果としてオーナー様の安定した賃貸経営と、物件の永続的な発展に繋がるものと確信しております。
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