夏に起こりやすいガス機器の不具合とその対策
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- 賃貸管理トラブル事例
はじめに
ガス機器は一年を通じて利用されますが、季節によって不具合の傾向が異なります。特に夏は高温多湿や気象条件の変化によって、冬場とは違ったトラブルが発生することが少なくありません。ガス給湯器やガスコンロが突然使えなくなると、生活に大きな支障をきたします。今回は、夏に特有のガス機器不具合について、その原因や事例、そして予防策を詳しくご紹介します。
1. 夏場に増える不具合の特徴
1-1 湿気や雷雨による電子基盤のトラブル
夏はゲリラ豪雨や台風など、激しい雷雨が発生します。その際に落雷や電圧変動が原因でガス機器内部の基盤が故障するケースが多く見られます。また湿気がこもると、内部回路に結露が生じ、誤作動やエラー表示の原因になります。
1-2 給湯器の「ぬるいお湯」問題
夏は水道水の温度自体が高いため、給湯器の出湯温度に影響します。例えば冬は水道水温が10℃前後ですが、夏場は25〜30℃になることもあります。その結果、設定温度が40℃でも実際にお湯がぬるく感じることがあり、入居者から「お湯が熱くならない」という問い合わせが増加します。
1-3 排気不良・燃焼不良
夏は湿度が高いため、排気筒内に湿気がこもり、排気不良のエラーが発生することがあります。特にベランダ設置型や屋外設置の給湯器は、湿気や虫の侵入によって燃焼部分が不安定になりやすいのが特徴です。
1-4 長期間の不使用による着火不良
学生や単身赴任者が帰省や出張で長期不在にするケースも多い夏。しばらく使用していないとガスメーターが遮断していたり、点火プラグが湿気で劣化して着火しにくくなることがあります。
2. 実際によくあるトラブル事例
事例1:お湯が熱くならない
8月に入居者から「シャワーがぬるい」との連絡。現地確認すると給湯器に異常はなく、水道水温が28℃であったため、設定温度40℃では実際の湯温が体感的に低く感じられていた。→ 対策として「夏場は設定温度を45℃以上にする」よう説明。
事例2:ゲリラ豪雨後に給湯器が停止
突然の夕立のあと、給湯器が「611エラー(排気異常)」を表示。確認すると排気口に雨水が吹き込み、内部が湿っていたことが原因。→ 排気カバーの交換と排水処理を実施。
事例3:長期不在後のガスコンロ着火不良
一か月帰省していた入居者が戻り、コンロを点火しようとしたが火がつかない。調査すると、点火プラグ周辺に湿気とホコリがたまり、スパークが飛ばない状態になっていた。→ 清掃と乾燥で復旧。
事例4:落雷による基盤破損
台風の日、近隣で落雷があり、その直後から給湯器が一切動かなくなった。基盤交換が必要となり、修理費が高額に。火災保険の「電気的・機械的事故」補償で対応できたケース。
3. 夏の不具合を防ぐためのチェックポイント
3-1 設定温度の工夫
夏場は水温が高いため、設定温度を45℃以上に調整することで「ぬるい」と感じるトラブルを防止できます。
3-2 排気口の点検
排気口が雨水で塞がれていないか、虫が入り込んでいないかを定期的に確認することが重要です。市販の防虫ネットを取り付けると効果的ですが、目詰まりしないようメンテナンスも必要です。
3-3 雷対策
落雷による基盤破損を防ぐため、サージ保護付きのコンセントを利用するのも一つの方法です。また長期不在時は給湯器の電源プラグを抜いておくことも有効です。
3-4 長期不使用前後の対応
長期の帰省や出張前には、ガスの元栓を閉めるとともに、帰宅後は点火しにくい場合に備えて点火部分の清掃をしてから使用すると安心です。
4. 管理会社・オーナー側の対応ポイント
4-1 入居者への事前案内
「夏はお湯がぬるく感じやすい」「雷雨の後にエラーが出やすい」といった季節特有の注意事項を入居者に案内しておくことで、不要なトラブルコールを減らすことができます。
4-2 定期点検の強化
夏前に給湯器やコンロの点火確認、排気筒の点検を行うことで故障を未然に防げます。特に築年数が経過した物件は注意が必要です。
4-3 保険の活用
落雷や浸水による故障は、火災保険や設備機器保険でカバーできる場合があります。修理費が高額になる前に、契約内容を確認しておくことをおすすめします。
4-4 更新時期の見極め
給湯器は一般的に10〜15年が寿命とされます。夏場にトラブルが頻発する場合、故障リスクが高まっている可能性があるため、早めの交換も検討が必要です。
夏トラブルを減らす実務ポイント
A. 「ぬるいお湯」のもう一歩深掘り
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サーモ混合栓の最低流量に満たないと温度制御が不安定になります。シャワーヘッドの節水切替を一度オフ、吐水量を増やしてから温度調整を。
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給湯器の「エコ」や「学習機能」が夏場に過度な出力抑制をすることがあります。体感が合わない場合は一時的に機能をオフ→設定温度45〜46℃で試運転。
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追い焚き付き浴槽では循環フィルターの目詰まりも出湯低下の原因。フィルター清掃で回復する例が多数。
B. 屋外設置機の“夏だけ”排気エラー
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ベランダで室外機(エアコン)と近接している場合、吹き返しの熱気で吸気が温められ燃焼が不安定に。物の設置位置・風向を見直すと改善します。
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雷雨後は排気カバーやドラフトの水滴残りで一時的に611系エラーが出ることも。乾燥後に解消するケースがあるため、復旧手順(電源リセット→10分放置)を案内できると良いでしょう。
※エラーコードの意味はメーカーで異なります。無理な自己分解は禁物です。
C. 害虫・湿気対策のコツ
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排気口や吸気口、ベンドキャップ周辺にクモの巣・小虫が蓄積すると燃焼空気が不足。月1回の掃き出しと乾拭きをルーティン化。
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防虫ネットは細かすぎると目詰まりを招きます。設置時は通気確保と定期清掃の前提で。
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梅雨明け直後は筐体内の結露が増えます。直射日光と打ち水の同時発生(温度差急変)も内部結露の一因。
D. 長期不在後の再開チェック(入居者配布用)
1)窓・換気扇を開ける(可燃性ガス滞留対策)
2)ブレーカー・給湯器主電源・ガス元栓を順に開く
3)キッチンで点火→浴室シャワーで湯張り→エラー表示確認
4)異音・異臭・煤の跡があれば使用中止し管理会社へ連絡
E. よくある誤解
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「設定温度を上げる=光熱費が必ず増える」→夏場は給水温度が高く、必要な昇温幅が小さいため、体感ぬるさ解消のための+5〜6℃上げは費用増が限定的な場合が多いです。
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「エコモードは常に得」→夏は需要が短時間・断続的で、機種によっては立ち上がりが鈍り体感不満につながります。季節で使い分けが無難。
F. 交換判断の目安と費用感
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一般に10〜15年が更新目安。基板・熱交換器など高額故障が出て、修理見込みが本体価格の30〜50%を越える場合は交換優位。
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オーナー向けには「累積修理費+空室・クレーム対応コスト」を含む総コストで比較提示すると合意形成がスムーズです。型式・年式・号数を現地写真で控え、見積もりの横並び比較を。
G. 管理実務:案内文テンプレ(入居者向け)
夏季は水道水温の上昇により、お湯が体感でぬるく感じやすくなります。シャワーは「節水切替オフ+吐水量アップ→設定45〜46℃」でお試しください。雷雨後の一時エラーは電源入れ直し後10分で復旧する場合があります。改善しない、異臭・異音がある、炎色がオレンジに見える等は使用を中止し、管理窓口までご連絡ください。
H. 連絡時のヒアリング・写真チェックリスト
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症状(いつから/どこで/常時か断続か)
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エラー表示の有無(数字・ランプ点滅回数)
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給湯器の設置場所・型式・年式の銘板写真
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雷雨・強風・停電の有無、ベランダの設置物(カバー・洗濯物)
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混合栓の種類(サーモ式・シングルレバー)と節水切替の状態
まとめ
夏は「お湯がぬるい」「雷雨でエラーが出る」「久しぶりに使ったら点かない」といった、冬場とは異なるガス機器トラブルが多発します。これらは一見故障に思えるものの、実際には季節特有の現象であることも少なくありません。入居者への情報提供、定期点検、保険活用といった対策を組み合わせることで、管理会社・オーナーにとっても大きなトラブルを未然に防ぐことができます。
ガス機器は生活に直結する設備であるからこそ、夏の特徴を踏まえた対応が重要です。本記事が、日々の管理や入居者対応にお役立ていただければ幸いです。
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