手を出したら危険?不動産投資で失敗しないための「危険なエリア」の見極め方|賃貸アパート・賃貸マンション経営の知識
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- 不動産投資
はじめに
「不動産投資の成功は立地が9割」この言葉を一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。どんなに素晴らしい物件でも、立地選びを間違えれば、空室や家賃下落に悩まされ、最悪の場合、資産価値が大きく毀損してしまう可能性があります。
しかし、「良い立地」を選ぶことと同じくらい重要なのが、「危険なエリア」を確実に避けることです。目先の利回りの高さや、営業担当者の甘い言葉に惑わされ、長期的な視点を欠いたまま契約してしまうと、取り返しのつかない失敗につながりかねません。
では、不動産投資における「危険なエリア」とは、具体的にどのような場所を指すのでしょうか。それは単に治安が悪い、住環境が良くないといった話に限りません。むしろ、「賃貸経営が成り立ちにくく、資産価値が将来にわたって下落していく可能性が高いエリア」と定義するべきです。
本コラムでは、これから不動産投資を始める方、すでに物件を所有しているが2棟目以降を検討しているオーナー様に向けて、手を出してはいけない「危険なエリア」の具体的な特徴を7つの視点から徹底的に解説します。さらに、そうしたエリアを自力で見抜き、失敗を回避するための具体的な調査方法まで踏み込んでご紹介します。この記事を読めば、あなたの不動産投資におけるエリア選定の解像度が格段に上がり、大切な資産を守るための羅針盤となるはずです。
不動産投資で避けるべき「危険なエリア」7つの共通点
「危険なエリア」には、必ずと言っていいほど共通する特徴があります。ここでは、特に注意すべき7つのポイントを挙げ、その見極め方を解説します。
1. 人口減少が著しいエリア
不動産投資の根幹を支えるのは、言うまでもなく「賃貸需要」です。そして、その需要は人口、特に賃貸物件のメインターゲットとなる生産年齢人口(15~64歳)の数に大きく左右されます。人口が継続的に減少しているエリアは、将来的に以下のリスクを抱えることになります。
・空室率の上昇:入居希望者が減るため、空室が埋まりにくくなります。
・家賃の下落圧力:入居者を確保するために、家賃を下げざるを得ない状況に陥ります。
・資産価値の低下:収益性(利回り)の低下は、そのまま物件の売却価格(資産価値)の低下に直結します。
【見極め方】 人口動態は、不動産投資における最も重要なマクロデータです。必ず公的なデータでファクトを確認しましょう。
・総務省統計局「国勢調査」:5年に一度実施される最も信頼性の高いデータです。過去からの人口推移を確認できます。
・国立社会保障、人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口」:市区町村単位で2050年までの人口がどう変化していくかを予測しています。投資を検討しているエリアの将来性を測る上で必見のデータです。
各自治体のウェブサイト:市区町村が独自に公表している人口動態統計(毎月の転入・転出者数など)も参考になります。特に「社会増減(転入者数-転出者数)」がマイナス続きのエリアは、地域としての魅力が低下し、人が流出している証拠であり、特に注意が必要です。若年層の流出が著しいエリアも危険信号と捉えるべきでしょう。
2. 賃貸物件の供給が過剰なエリア
人口が維持、あるいは微増していても、それ以上に賃貸物件が次々と建てられている「供給過剰」なエリアも危険です。特に、特定のターゲット(例:単身者)を狙ったワンルームマンションやアパートが乱立しているエリアは注意が必要です。
供給過剰は、入居者の選択肢が増えることを意味し、オーナー間の熾烈な競争を引き起こします。その結果、
・家賃競争の激化:「家賃1ヶ月無料」のフリーレントや、敷金・礼金のゼロ化が常態化し、収益性が圧迫されます。
・設備の陳腐化による競争力低下:新しい物件はより魅力的な設備(無料インターネット、宅配ボックス、浴室乾燥機など)を備えているため、少し古い物件はあっという間に見劣りしてしまいます。
・広告費の増大:多くの物件の中に埋もれないよう、不動産仲介会社に支払う広告料(AD)を上乗せしないと、入居者付けが困難になるケースもあります。
【見極め方】 供給過剰のサインは、市場を注意深く観察することで見つけられます。
・大手不動産ポータルサイト:SUUMOやHOME’Sなどで、検討エリアの賃貸物件がどれくらい掲載されているかを確認します。同じような間取り、家賃帯の物件が大量にヒットし、その多くが「新築」「築浅」である場合は供給過剰の可能性があります。
・空室率の確認:「満室経営」を謳う不動産会社のセールストークを鵜呑みにせず、客観的なデータを参照しましょう。詳細なエリアの空室率データは有料の場合が多いですが、地域の複数の不動産仲介会社にヒアリングするだけでも、肌感覚は掴めます。「最近、このエリアは物件が増えて決まりにくくなりましたね」といった本音が聞ければ、それは重要なサインです。
・建設現場の観察: 現地調査の際に、アパートやマンションの建設現場がやけに多いと感じたら、供給過剰への警戒を強めるべきです。
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3. 災害リスクが高いエリア
日本は災害大国であり、不動産投資において災害リスクの確認はもはや必須事項です。災害リスクの高いエリアは、以下のような深刻な問題に直面する可能性があります。
・資産の滅失・毀損:地震による倒壊、火災による焼失、水害による浸水など、物件そのものが物理的なダメージを受けるリスクです。
・修繕費用の増大:一度の災害で、数百万円から数千万円単位の修繕費用が発生することがあります。火災保険や地震保険でカバーできる範囲もありますが、保険料の値上がりや、そもそも加入が難しいケースも考えられます。
・入居者の退去と募集難:危険なエリアという認識が広まると、入居者はより安全なエリアへ移ってしまい、新たな入居者を見つけることも困難になります。
・資産価値の暴落:災害リスクが顕在化したエリアの不動産は、買い手がつかず、売却しようにも二束三文になってしまう恐れがあります。
【見極め方】 災害リスクは、自治体が公表しているハザードマップで必ず確認してください。インターネットで「〇〇市 ハザードマップ」と検索すれば、誰でも簡単に見ることができます。
・洪水ハザードマップ:河川が氾濫した場合に想定される浸水の深さを示しています。色が塗られているエリアは浸水リスクがあり、特に色の濃い(浸水深が深い)エリアは要注意です。
・内水ハザードマップ:大雨によって下水道などで排水しきれない水が溢れる「内水氾濫」のリスクを示します。地形的に窪地になっている場所などで起こりやすい現象です。
・地震ハザードマップ:地震の揺れやすさや、建物倒壊の危険度、液状化の危険度などが示されています。特に、埋立地や河川沿いの地盤が緩いエリアは液状化リスクに注意が必要です。
・土砂災害警戒区域:がけ崩れや土石流などの危険があるエリアです。山の麓や急な斜面の近くに位置する物件は必ず確認しましょう。
ハザードマップで少しでも色が塗られているエリアは、なぜそのリスクがあるのか(地形、河川との位置関係など)を理解し、許容できるリスクなのかを慎重に判断する必要があります。
4. 交通の便が極端に悪いエリア
入居者の多くは、通勤・通学の利便性を重視します。特に都心部やその近郊では、交通の便の良し悪しが賃貸需要に直結します。
・駅から遠すぎる:「駅徒歩〇分」の表示は、不動産公正取引協議会により「80mを1分」と定められていますが、坂道や踏切、信号の待ち時間は考慮されません。一般的に、賃貸需要が安定しているのは「徒歩10分以内」とされています。これを大幅に超える物件は、敬遠されがちです。
・バス便のみ:最寄り駅までバスを利用しなければならない物件は、電車に比べて利便性が劣ると判断されます。バスは天候や交通渋滞で遅延しやすく、運行本数や終バスの時間も限られるため、車を持たない入居者にとっては大きなデメリットです。
・マイナー路線、駅:各駅停車しか停まらない駅や、都心へのアクセスに何度も乗り換えが必要な路線の物件は、人気路線に比べて需要が弱くなります。
【見極め方】 地図上の情報だけでなく、必ず自身の足で確認することが重要です。
・実際に歩いてみる:スマートフォンのアプリで時間を計測しながら、駅から物件まで歩いてみましょう。夜道は安全か、街灯はあるか、坂道はきつくないか、なども合わせてチェックします。
・公共交通機関のダイヤ確認:平日の朝のラッシュ時や、帰宅時間帯の電車の本数、終電の時間を調べます。バス便の場合は、運行頻度や最終バスの時間も確認が必須です。
・主要駅へのアクセス:ターミナル駅(新宿、渋谷、東京、池袋、品川など)まで、乗り換えを含めて何分かかるかを具体的にシミュレーションしてみましょう。
将来の新駅開業や路線延伸計画を当てにする投資もありますが、計画が遅延・変更・中止になるリスクもゼロではありません。あくまで現時点での利便性をベースに判断するのが賢明です。
5. 周辺環境に問題があるエリア
入居者は「住まい」だけでなく、その周辺の「住環境」も重視します。どんなに物件が良くても、周辺環境に問題があれば、入居者は定着しません。
・騒音、悪臭:幹線道路や線路沿いの騒音、工場の排気や飲食店の臭い、ゴミ処理場からの悪臭などは、生活の質を著しく低下させます。これらは入居者からのクレームや退去の直接的な原因になります。
・嫌悪施設:一般的に避けられる傾向にある施設(墓地、火葬場、刑務所、風俗店、暴力団事務所、産業廃棄物処理施設など)が近隣にある場合、資産価値にマイナスの影響を与える可能性があります。心理的な抵抗を感じる人が多いため、入居者募集の足かせになり得ます。
・治安への不安:夜道が暗く人通りが少ない、落書きやゴミのポイ捨てが多い、街灯が少ないといったエリアは、特に女性やファミリー層から敬遠されます。
【見決める方】 周辺環境のチェックは、現地調査なくしては不可能です。
・時間帯と曜日を変えて複数回訪問:平日の昼間は静かでも、夜になると雰囲気が一変するエリアは少なくありません。平日と休日、昼と夜、最低でも2〜3回は足を運び、五感を使って現地の空気を感じ取ることが重要です。
・周辺の散策:物件の周り半径500m〜1km程度を歩き、どのような施設があるか、街が清潔に保たれているか、どのような人が住んでいるかを観察します。
・地元の人へのヒアリング:コンビニの店員や、地元の不動産仲介会社のスタッフなどに、地域の評判や治安についてさりげなく尋ねてみるのも有効な情報収集です。
6. 再開発計画が頓挫・縮小したエリア
「近々、駅前に大きな商業施設ができる」「新しい道路が通る」といった再開発計画は、将来の人口増加や利便性向上への期待から、不動産価格を押し上げる要因となります。しかし、その計画が頓挫したり、大幅に縮小されたりした場合、期待が失望に変わり、価格が急落するリスクを孕んでいます。
特に、経済情勢の悪化や事業主体の財政難などにより、計画が「凍結」「見直し」となるケースは少なくありません。不動産会社の営業担当者が「将来性」を強調するエリアほど、その計画の確実性を冷静に見極める必要があります。
【見極め方】 営業トークを鵜呑みにせず、一次情報にあたることが鉄則です。
・自治体の公式発表を確認: 再開発計画は、必ず事業主体である自治体やデベロッパーのウェブサイトで公式に発表されます。都市計画決定の告示や事業認可の状況など、計画の進捗ステージを確認しましょう。「検討中」「構想段階」といった曖昧な状態の計画を過度に信用するのは危険です。
・計画内容の精査: どのような施設が、いつまでに完成する予定なのか、事業主体は誰なのかを具体的に把握します。過去に計画の遅延や変更がなかったかも調べておくとよいでしょう。
・地元の不動産情報: 地元のニュースや不動産会社のブログなどで、再開発に関するネガティブな情報が出ていないかもチェックします。
7. 特定の産業や大学に依存しているエリア
地方都市に多く見られるのが、大手企業の工場や、大規模な大学キャンパスの存在によって、賃貸需要の大部分が支えられている「企業城下町」「学生街」です。これらのエリアは、一見すると安定した需要が見込めるように思えますが、その依存対象がなくなった瞬間に、需要が蒸発してしまうという大きなリスクを抱えています。
・工場の撤退、縮小:企業の経営方針の転換や、海外への生産拠点移転などにより、ある日突然工場が閉鎖されることがあります。そうなれば、従業員やその家族が一斉に街を去り、アパートやマンションは空室だらけになってしまいます。
・大学キャンパスの移転:少子化の影響や、都心回帰の流れを受けて、郊外のキャンパスを閉鎖し、都心部に統合・移転する大学が増えています。数千人から数万人規模の学生がいなくなれば、そのエリアの賃貸市場が壊滅的な打撃を受けることは想像に難くありません。
【見極め方】 地域の経済構造や人口構成を分析することが重要です。
・地域の産業構造を調べる:自治体が発行している統計資料などで、地域の主要産業を確認します。特定の企業への依存度が高くないか、産業が多角化されているかをチェックします。
・企業の動向をチェック:依存している企業の業績や、中期経営計画などを調べ、海外移転やリストラのリスクがないかを確認します。
・大学の将来計画:投資対象エリアに大学がある場合、その大学のウェブサイトやニュースリリースで、キャンパス再編計画の有無を必ず確認しましょう。「都心回帰」のキーワードには特に注意が必要です。
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失敗しないためにオーナーが取るべき具体的行動
危険なエリアの特徴を理解した上で、次に重要になるのが、それらのリスクを自らの力で見抜き、回避するための具体的なアクションです。
1. 情報収集の徹底(データに基づく判断)
感覚や営業トークに頼らず、客観的なデータに基づいて判断する癖をつけましょう。
・公的データの活用:前述した「国勢調査」「将来推計人口」「ハザードマップ」は、エリア選定における三種の神器です。必ず目を通し、マクロな視点でエリアの将来性を評価してください。
・民間データの活用:不動産ポータルサイトで賃料相場や競合物件の状況を把握するだけでなく、不動産調査会社が提供する詳細なマーケットレポート(有料の場合あり)などを活用するのも有効です。
・信頼できるパートナー選び:最終的には、現地の情報に精通した、誠実な不動産会社や管理会社をパートナーに持つことが成功の鍵となります。複数の会社とコンタクトを取り、データに基づいた客観的なアドバイスをくれる担当者を見つけましょう。
2. 現地調査の徹底(フィールドワークの鬼になる)
データだけでは分からない「生の情報」を得るために、現地調査は絶対に欠かせません。以下のチェックリストを参考に、フィールドワークの鬼になりましょう。
・駅からの道のり:実際に歩き、時間、坂道、歩道の有無、街灯、交通量を確認。
・周辺施設:コンビニ、スーパー、ドラッグストア、病院、学校、公園などの生活利便施設をチェック。同時に、騒音・悪臭源や嫌悪施設がないかを確認。
・街の雰囲気:清潔感、住民の様子(年齢層、家族構成など)、建物の管理状態(ゴミ捨て場の乱れ、共用部の清掃状況など)を観察。
・時間帯と曜日を変えて訪問:平日と休日、朝・昼・夜で、街の表情や人通りがどう変わるかを体感する。特に夜の雰囲気は、女性入居者の安心感に直結するため重要です。
3. 出口戦略(売却)を意識したエリア選び
不動産投資は、家賃収入(インカムゲイン)だけでなく、将来の売却(キャピタルゲイン)まで見据えて初めて成功と言えます。購入時に「この物件を5年後、10年後に買いたいと思う人はいるだろうか?」という視点を持つことが重要です。
・流動性の高いエリア:一般的に、人口が多く、交通の便が良く、生活利便性の高いエリアは、買いたい人が多いため「流動性」が高いと言えます。こうしたエリアは、万が一売却が必要になった際にも、スムーズに買い手を見つけやすいというメリットがあります。
・将来性のあるエリア:現在は多少不便でも、確実性の高い再開発計画や新駅設置が予定されているエリアは、将来的な資産価値の上昇が期待できます。ただし、前述の通り、計画の確実性は慎重に見極める必要があります。
まとめ:危険なエリアを避け、賢明な投資判断を
不動産投資における「危険なエリア」は、一見すると利回りが高く、魅力的に見えることがあります。しかし、その裏には人口減少、供給過剰、災害リスクといった、賃貸経営の根幹を揺るがしかねない重大なリスクが潜んでいるのです。
これらのリスクを回避するためには、表面的な情報に惑わされず、
- 公的なデータに基づき、マクロな視点でエリアを分析すること
- 自らの足で現地を訪れ、ミクロな視点で住環境を体感すること
- インカムゲインだけでなく、将来の出口戦略まで見据えること
この3つの鉄則を守ることが不可欠です。
不動産投資は、情報戦であり、準備の差が結果に直結します。本コラムでご紹介した7つの特徴と具体的な調査方法を参考に、ぜひご自身の目で「本当に価値のあるエリア」と「手を出してはいけない危険なエリア」を見極める力を養ってください。その地道な努力こそが、あなたの大切な資産を守り、長期的に安定した収益をもたらす不動産投資の成功へとつながる最も確実な道なのです。
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